今年は視聴者からのメッセージとやらの、背中が寒くなるようなヨイショ手紙の朗読がなくてよかった。純粋に懐メロの行列だったから、かえって昭和の歌が今よりはるかに優れていたことを再認識させたのである。
中ほどのグループサウンズ特集は、今でも現役の堺正章が部分司会者で張り切っていたし、ヨボヨボ年代のお歴々(司会の萩本欽一、菅原洋一、ペギー葉山、大津美子、ロス・インディオス、雪村いづみ、ら)も足元はおぼつかないが、歌は昔取った杵柄でそれぞれ味を出した。最も驚いたのは、かつての悪ガキ、荒木一郎で、ダンディなスーツに垂れ目のサングラス、歌も昔よりうまくて、「空に星があるように」をクールに歌って大喝采だった。
脳梗塞とかで、自分が歌手だったことさえ忘れていた内藤やす子が、外人の夫の懸命の支えで回復し、ソバージュの頭で「六本木ララバイ」をハスキーボイスで歌うかと思えば、ルックスはすっかり老けちゃったが、相変わらずの爽やかな美声で、倍賞千恵子が森繁久彌作の「オホーツクの舟歌」を歌った。しかも、ピアノ伴奏は亭主の小六禮次郎とは。贅沢で思いがけないコンビで楽しめた。
毎年毎年、偽善的な視聴者の手紙朗読で嫌になっていたが、今年は人選にも意外性があり、「とと姉ちゃん」の高畑充希は自局ドラマの宣伝要員だが、雪村いづみとの会話で、「ひばり、チエミ、いづみ」の3人娘を知らないらしくて呆れた。事前にレクチャーしてやれ。(放送2016年8月27日19時30分〜)

(黄蘭)