■連載/Londonトレンド通信

 7月最後の土日となった30日、31日、ライドロンドンが開催された。交通手段として、またスポーツとしての自転車に親しむことを目的とし、ロンドンが自転車に開放される2日間だ。5万人を超える参加者があった2013年の初回から、年々、規模を大きくし、世界最大級の自転車イベントとなっている。

 ロンドンのサイクリング都市化はボリス・ジョンソン前市長の頃から積極的に進められてきた。自転車用道路の整備、数百メートルおきに設置されたステーションのどこからでも乗り降りできるレンタル自転車なども成果をあげ、サイクリング人口の増加につながっている。今年、就任したサディク・カーン新市長もそのサイクリング都市化は引き継いでいくようだ。

 そして、30日の朝9時にライドロンドン・フリーサイクルがオープン。車用道路の一部を自転車に開放するものだ。ビッグ・ベン、セント・ポール寺院、バッキンガム宮殿とロンドンのランドマークをつないで悠々サイクリングできる機会とあって、多数の参加者でにぎわった。家族連れも多く、ちびっ子サイクリストや自転車につないだベビーカーで参加の赤ちゃんも。

1 RL (C)Yukari Yamaguchi

 開催地域は上記のようなロンドン中心部だけではない。各行政区がそれぞれフリーサイクルを設け、街中まで出ずとも自宅から行ける範囲で参加できる。

 道路がフリーサイクル化された一方、広場や公園はイベント会場となった。セント・ポール寺院の前では、馬ならぬ自転車にまたがりスティックで球を打つポロや、空中で自転車ごと宙返りするなど曲乗りが披露された。

2 RL (C)Yukari Yamaguchi

 バッキンガム宮殿脇のグリーン・パークは、流れ込んでくるのも自転車なら、催し、展示も自転車で広大な園内が自転車一色となっていた。マウンテンバイク用コース、ミニ自転車レース、巨大自転車の車輪を回してのくじ引きなどもあった。ぐるりと設置されたブースでは各種自転車関連グッズも紹介された。その場にいながら360度の景色を楽しみつつ走れるハイテク機器なども。

3 RL (C)Yukari Yamaguchi

 その日の各種催しが映し出される巨大画面を見ながら、疲れを癒すサイクリストで芝生の上も満杯。フードコートもあり、栄養補給も万全だ。

4 RL (C)Yukari Yamaguchi

 フリーサイクルは夕方4時に終了し、以降はスポーツとしてのサイクリングが主役となった。イギリスはその分野でも強豪だ。筆頭には、トラックレースのサー・クリス・ホイがいる。五輪ほかで金メダル多数を獲得、ナイトの称号を授与され、スポーツにおける偉人の列に加わった。そして、ロードレースで今、乗っているのがクリス・フルーム選手だ。この夏のツール・ド・フランスで3度目の総合優勝を果たしたのも記憶に新しいところ。

 ライドロンドンに戻ると、フリーサイクル終了後、5時にスタートした66km女子レース、ライドロンドン・クラシックでオランダのクリステン・ワイルド選手が優勝、女子のワンデイレースとしては最高額となる2万5千ユーロ(約285万円:1ユーロ=114円で計算)の賞金を獲得した。

 翌31日は朝6時からライドロンドン-サリー・クラシックがスタート。ロンドンからお隣のサリーにまたがる202kmの男子レースだ。フルーム選手も登場、期待を集めるも41位と振るわず、ベルギーのトム・ボーネン選手に優勝をさらわれた。

 レースではフリーサイクルとなったルートの一部がコースとして使われた。ゴールとなったのも、レース前にはちびっ子サイクリストが気持ち良さそうに走っていたバッキンガム宮殿に続く道、モール。自分が自転車で走ったのと同じ道を疾走する選手を見るのは、レースをより身近なものにしてくれそうだ。あるいは、そういうちびっ子サイクリストの中から、将来のツール・ド・フランス、また五輪選手が出てくるのかもしれない。

5 RL (C)Yukari Yamaguchi

文/山口ゆかり

ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

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