「読書の秋」ってそもそもどうやって定着したの?

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秋といえば…どんな秋を思い浮かべますか?○○の秋と言われているものはたくさんあります。その中でも、昔から言われているのは、やっぱり「読書の秋」ですね。読書の秋と呼ばれるようになったのはいつからでしょうか?どうやって世間に定着したのでしょうか?秋は読書をしようかな…と考えている人も、まずは読書の秋と呼ばれるようになったきっかけについて、考えてみましょう。

■ 読書の秋といわれるようになったきっかけ

秋といえば読書の秋…となりますが、最初に読書の秋と表現されたのは、1918年9月21日の読売新聞だった、といわれています。読書の秋にはイメージとなったものがあります。それは、中国の唐時代に存在していた詩人、韓愈の漢詩にあった、「燈火稍く親しむ可く」という一節です。この一節から、秋は読書にふさわしい季節である…と考えられるようになりました。「秋は過ごしやすいから、夜は明かりを灯して読書をするのがいい」という意味の詩になっています。あくまで由来の一つではありますが、最も有力な説です。日本では当たり前のように秋といえば読書の秋、と言われていますが、実はイメージとなったものが中国からだった、ということには驚きですよね。

そしてこの詩を、日本で有名な作家である夏目漱石が「三四郎」という小説の中で、「そのうち与次郎の尻が落ち付いてきて、燈火親しむべしなどという漢語さえ借用して嬉(うれ)しがるようになった」という一節にて取り上げたことにより、日本では読書の秋が一斉に広まっていった、ということです。その頃はまだ明治や大正時代はそれほど読書の秋という言葉は使われていなかったのですが、ようやく昭和になって読書の秋という言葉を目にするようになっています。戦後は全国紙でも読書の秋は秋になれば見出しになる言葉となりました。

■ 読書の秋が定着したのはいつ?

読書の秋の由来の次に、知っておきたいのは読書の秋が定着をした時期です。これは、読書週間が秋に実施されることが影響していた、といわれています。読書週間は、1924年の11月に図書館週間として始まりました。日本図書館協会が、1923年の5月におこなわれた総会で、図書館週間を11月1日から11月7日としたのです。

そして昭和14年からは読書普及運動となり、11月8日から12日までの5日間へと変更あされ、昭和16年には一度中止となります。戦後の昭和22年に、日本出版協会を中核とて、団体が参加し読書週間実行委員会が結成されました。読書の力を使って、平和な文化国家をつくろうという目的があったからです。初回は11月17日から23日までを読書週間としてきました。これはアメリカが1919年から、子供にもっと本を親しんでもらおうと始まった啓発運動である、チルドレンズ・ブック・ウイークが参考となりました。期間が短いことなどから、2回目からは10月27日から11月9日という日程へと改められています。そして読書週間は今も受け継がれており、それによって秋は読書をするもの、という世間のイメージが定着してきたのです。

■ 秋はやっぱり読書に最適?

読書の秋だから…と読書を始める人が多い時期ですが、実際に読書をしてみると、やはり秋の気候は読書に最適ですよね。人間は暑いときや寒いときは、何かに集中する気が起きなくなってしまいます。ですが、過ごしやすくなった秋の夜を迎えれば、本を読むのに最適です。秋の夜長とよく言いますが、夜が長くなるのでゆったり過ごせる時間も増えますよね。人が集中するのに最適な温度というのがあり、それが18度前後といわれています。少し寒いかなと思うかもしれませんが、集中する温度を考えると、それぐらいがいいのだとか。春から夏の移り変わりでは、これから温度が高まる時期になっていくので、同じ温度でも蒸し暑さが伴っていました。でも夏から秋の場合は、温度が下がっていく時期なので、湿気がなくより過ごしやすいでしょう。過ごしやすさ=集中しやすさ、となります。本はある程度集中して本の世界に入り込んでこそ、楽しめるものです。集中できる時期に読む本はより楽しみやすく、感情移入もしやすくなるので、本を一層面白く感じられる季節ではないでしょうか。

■ 「○○の秋」が多いのはなぜ?

読書の秋に限らず、様々な「○○の秋」がありますよね。読書の秋以外の○○の秋を知っておきましょう。より秋が楽しめるようになります。

◎ 食欲の秋

秋の味覚と呼ばれる食べ物はたくさんあります。実りの秋、収穫の秋にもつながりますよね。おいしい食べ物がたくさん収穫される時期だからこそ、食欲の秋と呼ばれるようになりました。松茸やサンマ、栗など…秋だから食べたいものも色々思い浮かびますね。食欲の秋と呼ばれるようになった時期は明確になっていませんが、秋に収穫を迎える食べ物が多かったことから、たくさん旬のものが食べられる、という意味で食欲の秋と呼ばれるようになったといわれています。夏バテで食欲があまりなかった人も、暑さも落ち着いてくることで食欲が増すことから、食欲の秋という言い方もしています。

◎ スポーツの秋

秋はスポーツが盛んになる時期、ともいわれています。秋は体育の日がありますし、プロスポーツもシーズンを終盤とするものが多く、よりスポーツが盛り上がる時期になります。プロスポーツが盛り上がるときには、それに影響されてスポーツを始める人も多くなります。1964年の10月10日、日本では東京オリンピックが開催されました。それ以降体育の日が誕生し、それがそのままスポーツの秋とつながっています。

◎ 芸術の秋

秋になると、様々な場所で芸術展が多く開催されるようになります。日本では二科展・日展・院展といった有名な美術公募展がありますが、これらはすべて秋の開催となっています。芸術品を作るのにも、鑑賞するのにもふさわしい季節といえるでしょう。気温が落ち着くと同時に心も穏やかになりやすいので、ゆったりと芸術を楽しむのに適していますね。

■ 読書の秋、を始めるチャンスにしよう

読書の秋にはきっかけや定着した時期はそれぞれあるとはいえ、確実なきっかけや定着した時期はわかっていません。今でも有力な説でしかなく、はっきりといつが始まるか、ということは誰にもわからないのです。しかし、読書の秋をきっかけにして、秋は読書をしてみようかな…と考える人も多いですよね。読書の秋を理由に、今まで読んだことのない本を読んでみる、手に取ったことがないジャンルに挑戦してみる…というきっかけにしてみてはどうでしょうか。外出するのにも気温が落ち着いてきて最適な季節になってくるので、お散歩がてら書店に立ち寄って、本選びを楽しむことから始めるのはどうでしょうか?読書のお供に、秋の味覚を楽しみながら…そして息抜きにはスポーツをしながら…様々な○○の秋を味わって、楽しく過ごしましょう。

(image by amanaimages)
(著&編集:nanapi編集部)