最終予選の始まりだからなのか。それとも、UAEとの対戦に因縁を覚える人が多いのか。

 いずれにしても、9月1日の埼玉スタジアムは、超満員の観衆で膨れ上がるようだ。チケットはすでに完売である。

 何かと危機感を煽るような雰囲気が、どうにもしっくりとこない。

 UAEには昨年1月のアジアカップで敗れている。ただ、内容で圧倒されたわけではない。フットボーラーにとってのロシアン・ルーレット──PK戦で負けただけである。

 UAEに勝ち切る強さを示せなかったのは事実で、アジアにおける優位性が薄らいでいるとの印象も漂っている。日本と他国の成長スピードを比べると、日本のほうがゆっくりとしているのは間違いないだろう。

 だが、日本のホームに乗り込んでくるUAEが、ノープレッシャーでピッチに立つことはない。そんなことはできない、と言ってもいい。

 アジアカップの日本戦は、彼らにとって最高のシナリオだったと言っていい。序盤にシンプルな攻撃から先制点を奪い、その後はカウンターに専念する。リスクの少ない試合運びである。

 9月1日の埼玉スタジアムでも、UAEは同じことを狙ってくるだろう。

 それは日本も承知している。承知できていなければおかしい。アフロヘアが印象的な司令塔オマル・アブドゥルラフマンも、彼のパスを受けるFWアリ・マブフートも、徹底的にケアするはずだ。彼らには一目置かなければいけないが、逆説すればとても分かりやすい。事前のスカウティングとは違う戦い方をしてくるといったことは、ほぼ気にしなくていい。警戒すべき選手を、しっかりと押さえればいいのだ。

 分かりやすいという意味では、日本も同じかもしれない。今回が2度目、3度目の最終予選となる選手が多いのは、それだけメンバーの入れ替わりが少ないことを意味している。チームの中核を成す北京世代をベンチに追いやるほどの勢いと結果、さらに言えばヴァイッド・ハリルホジッチ監督の信頼を得ている選手が、率直に見当たらないのは否定できない。期待できる選手、活躍できそうな選手は何人もいるが、誰もが推測の域を出ないのである。つまりは、上積みが見えていないのだ。

 そうだとしても、必要以上に危機感を煽ることには違和感がある。

 より根本的な視点に立てば、ロシアへの道のりは険しいのか。誤解を恐れずに言えば、決してそんなことはない。

 最終予選は6か国によるホーム&アウェイで争われるが、上位2か国はストレートで出場できる。3位でもプレーオフに可能性をつなげられる。アジアの「4・5枠」さえ危ういほど、日本代表の実力は落ちているのか。そうではないだろう。

 日本は5大会連続で出場しているのだ。アジアの出場枠が「3」しかなかった時代から、W杯への道のりを切り開いてきた。危機感を謙虚さに置き換えるのは良く分かるが、選手には自信を持ってピッチに立ってほしいし、我々は自信を持って送り出すべきだと思うのである。