いつでも初心者の気持ちでいることが、サービス向上の鍵|閑歳孝子さん(株式会社Zaim代表取締役)

写真拡大

『BizLady』では、各界で輝かしく活躍している女性のみなさんに、ゲストライターとしてお話をうかがっています。今回のゲストライターは、日本最大級のオンライン家計簿『Zaim』を運営されている株式会社Zaimの閑歳孝子さん。前回に引き続き、今回はどんどん進化しているZaimのサービスや開発についてお話をお伺いしました。(編集部)

-Zaimについて簡単に教えてください。

Zaimは家計簿アプリとして2011年7月〜運営をはじめました。現在550万ダウンロード、日本で最大級の家計簿アプリとなりました。よく取り上げていただくのは、レシートを撮影したら自動的に入力される機能ですね。

Zaimを利用していただいている方たちに取材すると、その使い方の多種多様さに驚きます。今の時代、生き方の正解というものはありませんよね。そんな正解がない中でお金の面から人生をサポートしていきたいと思っているんです。例えば家を買うのか・買わないのか・引っ越すのか、それともどこか遠くに移住するのかを決断するときにZaimを見ながら決断してもらえると本望です。

-人生に関わるテーマは色々あると思うのですが、なぜお金に注目されたのですか?

せっかく長時間、自分の時間を費やして作るのだから、なるべく多くの人に、なるべく大きなインパクトが出せる可能性のあるサービスを手がけたい、と考えていました。お金は、ほぼすべての人に関わる、人生で大きな決断をする際に重要なものです。どう使うか次第で、満足度が大きく変わるので、テーマとしてはうってつけだと思いました。

-Zaimには医療費控除にあたる支出を自動抽出したり、住んでいる地方自治体の給付金を自動取得に対応したりと、きめ細やかさを感じる設計が多いのですが、どのようなことを意識されているのですか?

私が最も嬉しい瞬間は、自分の知らない人がZaimを勧めてくれているのを見たときなんです。そのために、使いやすいと思っていただける様に設計することには気を配っています。

以前、とある有名なサービスの創業者とお話したとき、 ご自分の特長を「初心者の気持ちにすぐなれること」とおっしゃっていたんです。私も同じようなところがあり、 “初めてそのサービスを触った時の気持ち”になって、文言一つ一つを考え直すようにしています。

「なんだかよく分からないけれど、使いやすい」「考えなくても、するする使える」という感想を持ってもらえることが一番ですね。

-プログラムに強いパートナーもいながら、なぜ自分でプログラムを書こうと思ったんですか?

プログラミングって最初はとっつきにくいのですが、じつは難しいものだけでなく簡単にできる部分もあると思っています。一緒に働いていたエンジニアに簡単に直せることをお願いするのが申し訳なくて、自分でできることくらい自分でやろうと思ったのがきっかけです。

自分でプログラミングができるとサービス自体のトライアンドエラーができるので、発見も大きかったです。今はプログラムを書かなくてもモックアップを簡単に作れるツールもあるのですが、私は実際に作らないとイメージができなくて……。自分の手で動かしながら正解を探しています。

プログラマーというと理系・男性のイメージが強いですが、システムの仕様を読み解く力やコミュニケーションなどは文系の方が得意かもしれません。たしかにロジックや計算は理系の方が得意かと思いますが、それ以外にもいろいろな要素があるんです。

女性のエンジニアを部下にしたこともありますが、不具合が少なく細かいところに気を配れる方も多かった。おもてなしの心があるというか。性別問わず、エンジニアがもっと増えると良いですね。

【著者】閑歳孝子(かんさい・たかこ)

Zaim 代表取締役。日経BP社にて専門誌の記者に従事した後、Web業界に転職。その後個人で開発していた家計簿サービス『Zaim』を2012年に株式会社化。550万ダウンロードを超える日本最大級のサービスへと成長している。経済産業省主催「流通・物流分野における情報の利活用に関する研究会」委員、公益財団法人日本デザイン振興会主催グッドデザイン賞審査委員。

【撮影】

黒石あみ(本誌)