排卵日はおりものが多い日? おりものの状態から排卵日を予測する方法

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おりものって私たち女性にとってなんとなくうっとうしい存在ですよね。でもおりものには大事な役割がたくさんあり、女性の身体を守るための情報をもった大切な存在なのです。今日はおりものの状態からわかる様々なことをご紹介します。

おりものとは?

おりものとは、帯下やこしけとも呼ばれ、女性器の各部からの分泌物や浸出物が一緒になったものをいいます。おりものを構成しているのは、外陰部の皮脂腺、汗腺、バルトリン腺からの分泌物、膣内の細胞、多数の細菌、白血球、組織球、リンパ球などの浸出液、子宮内膜や卵管からの分泌液などです。

おりものは膣の粘膜をうるおす以外にも様々な働きがあります。なかでも大切なのは膣の自浄作用と呼ばれるもので、おりものは膣内を酸性に保ち、雑菌が膣の中に入り込むのをシャットアウトしてくれます。また排卵期には精子が子宮の中に入り、受精しやすいように手助けをします。

おりものの量は個人差がありますが、年齢によってもかなり違います。思春期にはほとんど分泌されず、成熟期になると多くなります。そして更年期になると減り始め、老齢期ではほとんど分泌されなくなります。

女性ホルモンとおりものの変化

おりものは女性ホルモンと深い関係があり、生理周期の中でも量、色、状態が変化しています。自分の正常な変化を認識しておくと、病気などによる色や状態の変化にいち早く気付くこともできるのです。

生理直後

おりものの量がもっとも少ない時期です。サラッとしていて粘り気のない状態です。

排卵前(卵胞期)

おりものはサラサラと粘り気のない状態です。色は白〜クリーム色で、量が少しづつ増える時期です。

排卵期

おりものは透明で水分は多くなり、たまごの白身のようなトロリとした状態。匂いはほぼ無臭で量がもっとも多い時期です。

排卵後(黄体期)

おりものは粘り気が徐々に減っていきます。色は透明から白濁したものに。匂いが強くなることもあります。量は減り始めますが、生理直前になるとまた少しづつ増え始めます。

おりものの異常

正常なおりものは、弱酸性なので少し甘酸っぱいにおいがすることがあります。しかし決して悪臭ではありません。ゆるいのり状で、色は透明〜クリーム色がかった白色で下着やおりものシートについて乾くと黄色っぽくなりますが、これは正常です。

では、どのようなおりものの場合、気をつければいいのか見ていきましょう。おりものの状態で、病気や感染症を発見できることもあります。

おりものの量が多い・色がついている

・白色やクリーム色で量が多い場合

正常な色のおりものでも、量が異常に多いときは、子宮膣部びらん、子宮頚管ポリープや子宮頚管炎の可能性もあります。下着を頻繁に取り替えなければならないようなら、婦人科の診断を受けましょう。

・白いカッテージチーズ状で量も多くかゆみがある

カッテージチーズ状、ヨーグルト状、酒粕状の白いおりものが多く出始め、外陰部にかゆみを伴いだしたら、カンジタ膣炎などのカビの一種に侵されている可能性があります。性行為でも感染するのでパートナーにも治療が必要になります。

・黄色いおりもの

黄色いおりものが出るときは、たとえ量が少なくとも膣トリコモナス症、老人性膣炎が考えられます。とくに膣トリコモナス症の場合は、灼熱感を伴う強いかゆみがあり、おりものに泡が見られることがあります。

膿のようなおりものが見られるときには子宮頚管炎、淋菌の感染による炎症、子宮内膜炎などが考えられ、これらは発熱や下腹部痛を伴うことが多いです。

おりものに悪臭がある

・むっとする悪臭がある

子宮頚がんの疑いがあります。またタンポンやコンドームなどの異物の取り忘れ、一部残留などでも異臭がします。タンポンは置き忘れだけでなく、長時間入れっぱなしにしていると雑菌が繁殖して膣炎になりやすいのでこまめに取り替えることが大切です。

・悪臭のあるおりものでかゆみもある

かゆみを伴うおりものは、細菌性の感染症による可能性が高いです。最も多いのは、膣トリコモナス症で性行為によって感染します。

おりものに血が混じる

・透明や白色のおりものに血が混じる

生理の中間頃に少量の血が混じる程度であれば排卵時出血なので問題ありません。それ以外の時に血が混じるのであれば、子宮膣部びらん、膣炎、子宮頚管ポリープ、子宮がんなどの可能性もあります。

・黄色で悪臭のあるおりものに血が混じる

進行した子宮がんの場合には、変性したがん組織に細菌が繁殖するため悪臭のある不正出血とともに膿のようなおりものが増えます。老人性膣炎でも同じように細菌の感染による黄色いおりものが出現し、症状だけでは子宮がんによるものとの区別が難しいこともあります。

・茶褐色のおりものと血が混じる

茶褐色のおりものの多くは少量の出血が膣の中で変性して変色するものです。なので感染症による膣の炎症、子宮膣部びらん、子宮頚管ポリープや子宮がん、膣がんなどでこの症状が出ます。また流産や子宮外妊娠の初期にもこのようなおりものが出ることがあります。

おりものからわかる女性特有の病気

先ほどお話しした、異常なおりものの原因となる子宮の病気について、ここで詳しく説明しておきます。

子宮膣部びらん

びらんとは本来、赤くただれた状態のこと。子宮膣部で赤く見えるものを子宮膣部びらんといい、成人女性の大多数にあると言われています。症状はおりものの量が増えて、少量の出血が見られることがあります。しかしほとんどの場合、これといった症状はありません。また子宮膣部びらん自体はよく見られる症状ですが、この部分から子宮頸がんが発生するので検診を受けてがんとの区別が必要です。

小さいびらんやとくに症状のないものは治療の必要はありません。おりものや出血などの症状がひどい場合は、膣座薬や凍結療法、レーザー療法などの方法があります。

子宮頚管ポリープ

子宮頸部の内膜が一部増殖して、血管が豊富な赤いできものとなって子宮口から外に出てきたものをポリープといいます。米粒大から親指の頭大まで大きさも様々です。症状は月経前後のだらだら出血や性交時、激しい運動の後などの不正出血があり、痛みはあまりありません。

治療法は、ポリープを根本から切って除去するだけの簡単な手術なので入院の必要はなく、すぐに終わります。ポリープ自体は良性の腫瘍なので、がんになることはほとんどありませんが、ごくまれにがんが隠れていることがあるのでポリープの組織検査と子宮がん検診もあわせておこなうと良いかと思います。

カンジタ膣炎

カンジタは真菌類というカビの一種で、健康な女性の膣内にも存在しています。健康なときには特に影響はありませんが、身体が極度に疲労したり、妊娠したとき、ピルの常用者、糖尿病にかかっている人、風邪や歯の治療で抗生物質を飲んだときなどに多発するようです。症状は最初に白色のおりものが増えてきて、ひどくなるとカッテージチーズのような白いボロボロしたおりものが限りなく出てきます。悪臭はありませんが、かゆみがあります。

治療法は、抗真菌剤の膣座薬や内服薬を使用します。ピンポン感染を防ぐため、パートナーにも治療してもらうことが大切です。過度の疲労をさける、抗生物質をむやみに服用しない、などカンジタ菌が繁殖しにくい状態に自分を持っていくようにします。カンジタ菌はむれた湿気の多いところを好むので、通気性のいい下着を着用して、おりものシートなどはこまめに付け替えて清潔な状態を保ちましょう。

膣トリコモナス症

初期にはほとんど自覚症状がありませんが、だんだんと悪臭を伴った濃い黄色のおりものが大量に出てきます。おりものに泡がまじっていることもあります。この多量のおりものによって外陰部がただれ、かゆみから痛みへとかわっていきます。さらに進むと排尿時や性交時に痛みを感じるようになります。

治療法は、症状に応じて、膣に座薬を入れる方法、外陰部に軟膏を塗る方法、内服液を飲む方法などがとられます。1〜2週間で症状は消えますが、潜在していることも多く再発することもあります。性行為によるピンポン感染を防ぐため、パートナーとともに治療しておく必要があります。

老人性膣炎

更年期に入ると卵巣は次第にその働きが鈍ってきます。そうなると月経も不順になりそのうち閉経します。すると今までエストロゲンとプロゲステロンの働きで潤いながら代謝を繰り返していた膣壁の粘膜が薄く、傷つきやすくなり、自浄作用も弱まり、膣炎が起こりやすくなります。

症状は濃い黄色のさらさらしたおりものが下着につき、ときには薄いピンクのおりものに変わります。ただし単なる老人性膣炎なのか、子宮がんや膣がんではないかの区別が大切です。

単なる老人性膣炎の場合の治療は、不足しているホルモンの注射や内服液の処方を受けたり、膣座薬を入れるなど簡単に済みます。

排卵日をおりものから予測

成熟期の健康な女性の普段のおりものの量は膣の内側を潤して、膣口からほんのりわずかに流れ出て、下着に付着する程度です。

しかし排卵期になると、頚管粘液が著しく増加し、膣からの流出感を感じるほど増えることがあります。そのため、このしくみを利用して排卵期を知ることができるのです。

また性的興奮を受けたときにも、おりものの量は増えます。さらに妊娠するとエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が増えるため、おりものの量が増えます。

自分でできる排卵期のおりものの調べ方

まずは細菌が膣内に入らないよう、念入りに手を洗い、清潔な状態にしましょう。片足をあげて小陰部を拡げ、膣にかるく差し入れて指先におりものをとります。指先を上下に開き、おりものの粘り具合を観察してみましょう。

排卵期以外ですと、おりものはだいたい1cmくらいしか伸びません。しかし排卵期になると、約10cm伸びるといわれています。

排卵日にかかわらず、週に1度くらいの頻度でおりものの状態を見ることで、自分の身体のリズムを把握することができます。

まとめ

おりもののお話をしてきましたが、いかがでしたか? なんとなく、不快でうっとうしい存在だったおりものが、身体のリズムや不調を知らせてくれる大切な存在、ということがおわかりいただけましたか? これからも、おりものの変化に敏感になり、排卵日を予測したり、女性特有の病気の発見に役立てたりと、おりものを有効活用していってくださいね。