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○ホスティングの市場規模は約2倍、マネージドクラウドは年率18%増に

米ヴイエムウェアは8月28日から9月1日までの5日間、ネバダ州ラスベガスのMANDALAY BAYホテルにおいて、同社の年次カンファレンス「VMworld 2016」を開催している。今年で13周年を迎える同カンファレンスは年々規模が拡大し、今回は世界各国から2万3000人を超えるパートナー/顧客が参加した。日本からも約250名が参加している。期間中は、400を超えるセッションやハンズオンラボ、基調講演が開催される予定だ。

今回のカンファレンステーマは「be_TOMORROW」。ビジネスのデジタル・トランスフォーメーションが加速する中、企業はモバイルファーストやIoT(Internet of Thing)などへの対応を迫られている。「例えば、リアルタイムデータを次のビジネスに活用するといった動きは当たり前となった。デジタル化は企業のIT部門だけが推進するものではなく、あらゆる部門で必須となる。“明日”のITトランスフォーメーションに向けての準備を促す意味が込められている」(同社)という。

8月29日に行われたイベント・キックオフとなる基調講演には、米ヴイエムウェアでCEOを務めるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏が登壇。デジタル・トランスフォーメーションの必要性を力説するとともに、新たなマルチクラウド戦略となる「Cross-Cloud Architecture」を発表した。

冒頭、Gelsinger氏は、「新たなビジネスと伝統的なビジネスは対立するものではない。新しいビジネスは既存のビジネスの上に成り立っており、すべてのビジネスはデジタルに牽引されている。そして、それを支えているのがクラウドだ」と強調。デジタル・トランスフォーメーションの必要性を訴えた。

とはいえ、デジタル・トランスフォーメーションを推進している企業は少数派だ。米国IDCの調査によると、デジタル・トランスフォーメーションに積極的な企業は、全体の20%にすぎないという。実際、2016年のグローバルITワークロードのうち、15%がパブリッククラウドで、12%がプライベートクラウドで実行されている。Gelsinger氏は、「パブリッククラウドがワークロードの半数を超えるのは、2030年になると予測されている。今、ホスティングの市場規模は600億ドルで、2021年には1100億ドルになると予測されている。マネージドクラウドは年率18%増が見込める分野だ。ここに大きなチャンスがある」と語った。

また、同氏は「クラウドがプライベートからパブリックに移行するとIT市場が縮小すると主張する人がいるが、私はそう思わない。パブリッククラウドが企業に根付き、ITのコスト効果が高くなれば、ITに対する投資は拡大する。今後ITは、技術部門だけに縛られるのではなく、企業のあらゆる部署で活用されるようになる」との見解を示した。

ただしこうした環境では、「シャドーIT」と呼ばれる、企業の管理下にないITが業務で利用されるようになる。Gelsinger氏は「企業に必要なのは、自由度とコントロール性を両立したマルチクラウドであり、それを実現するのが、SDDC(Software-Defined Data Center)であると」と説いた。

○あらゆるクラウドをつなぐ「Cross-Cloud Architecture」

今回のカンファレンスでヴイエムウェアは、新たなマルチクラウド戦略として「Cross-Cloud Architecture」を発表している。これは、プライベート/パブリックを問わず、どのようなクラウドプラットフォーム上にあるアプリケーションに対しても、デプロイ、セキュリティポリシーの適用、可視性、ガバナンスを効かせることを可能にするアーキテクチャだ。

「Cross-Cloud Architecture」は、統合SDDCプラットフォームの「VMware Cloud Foundation」と、パブリッククラウド上で稼働するアプリケーションを横断的に管理できる「VMware Cross-Cloud Services」で構成されている(関連記事)。

VMware Cloud Foundationは、パブリッククラウド環境に求められる、すべてのSDDC機能を「as a service(サービスとして)」で提供するオプションを備える。一方、「VMware Cross-Cloud Services」は、「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」といったパブリッククラウド上で稼働するアプリケーションも横断的に管理するものだ。

ヴイエムウェアは、「顧客のクラウド利用状況やニーズを鑑みると、現在利用しているクラウドサービスから(ヴイエムウェアのクラウドに)乗り換えるのではなく、クラウド上で稼働しているアプリケーションを自由かつ適切にコントロールすることのほうが重要だ」と「Cross-Cloud Architecture」の意義を説明する。

基調講演には、2016年2月に戦略的提携を発表したIBMから、同社Cloud担当シニアバイスプレジデントのRobert LeBlanc(ロバート・ルブラン)氏が登壇。LeBlanc氏は、「IBMはVMware Cloud Foundationの最初のパートナーであることをうれしく思う。これにより、VMware vSphere、VMware Virtual SAN、VMware NSX、SDDC Managerなどを"as a service"として(IBMの)顧客に提供できるようになった。これは顧客の環境を迅速に拡張できることを意味する。さらに、セキュリティや各企業に必要なコンプライアンスも提供できる」と、そのメリットを強調した。

基調講演の最後には、米デルのCEOであるマイケル・デル(Michael Dell)氏が登壇した。デルは2016年10月までに、ヴイエムウェアの親会社であるEMCの買収を完了させる予定だ。買収後、ヴイエムウェアはデル傘下となるが、「現時点において、製品開発などに大きな変更はない」(ヴイエムウェア関係者)と言われている。

デル氏は、「買収によって(DELLは)大きな組織になるが、ヴイエムウェアが掲げる『オープンエコシステム戦略』は継続して奨励していく」と明言。さらに、今回発表した「Cross-Cloud Architecture」については、「かねてから顧客が簡単にクラウドを導入するには何が有用なのかを考えていた。Cross-Cloud Architectureはパワフルであり、クラウド管理を簡易化するものだ」と評価した。

(鈴木恭子)