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米国の宇宙企業スペースXは8月30日、今年4月に打ち上げ・回収した「ファルコン9」ロケットをもう一度打ち上げる、「再使用打ち上げ」を実施すると発表した。打ち上げ時期は今年の秋以降の予定で、実現すればスペース・シャトル以来となる再使用衛星打ち上げロケットの復活となり、またスペースXが主張する、ロケット再使用によるコスト削減が本当に実現するかが期待される。

再使用が行われるロケットは、今年4月8日に国際宇宙ステーションへ向けて「ドラゴン」補給船運用8号機を打ち上げた機体で、その後第1段機体は大西洋上のドローン船「もちろんいまもきみを愛している」号への着地に成功。陸へ戻され、点検や整備などを受けていた。打ち上げ時期は2016年の第4四半期の予定とされており、ロサンゼルス・タイムズ紙やSpaceflight Nowによると、10月ごろになるだろうとしている。

スペースXはこれまでに6機のロケット回収に成功している。今回再使用される機体は、そのなかでも着陸時にかかる負荷が小さかった機体のひとつである。なお再使用されるのは第1段機体のみで、第2段機体や衛星ファリングは新しいものが使用される。

同社はこれまでに、再使用打ち上げに向けて、他の回収した機体を使った地上試験などを繰り返し行っているが、実際に打ち上げを行ったことはない。つまりSES-10の打ち上げが、ファルコン9にとって正真正銘初の再使用打ち上げとなる。

打ち上げられる衛星は、ルクセンブルクの衛星通信会社SESの通信衛星「SES-10」。打ち上げ契約そのものは、すでに2014年に結ばれていたが、今回その打ち上げに、一度打ち上げに使った機体を再使用することで、両社が合意したという。SESはかねてより、ファルコン9の再使用打ち上げに高い関心を示しており、今年初めには「再使用されるファルコン9の最初の顧客になりたい」とも明らかにしていた。

この再使用打ち上げに向けて、部品交換など、機体にどの程度の手が加えられたのか、またそそれにかかった費用や、新造機の打ち上げと比べどれくらい安くなっているのか、またSESが支払った価格などについては、一切明らかにされていない。

ただ、スペースXのグウィン・ショットウェル社長は以前に、第1段機体の再使用で30%のコストダウンになると明らかにしている。ファルコン9の現在の価格は6120万ドル(現在のレートで約63億円)であり、もし単純に打ち上げ価格も30%引きとなるのであれば、再使用による打ち上げ価格は約4300万ドル(約44億円)になる。

ロサンゼルス・タイムズ紙によると、SESは、初の再使用打ち上げということでいくらか割引があったことを認めているという。また打ち上げ失敗時の保険を提供する保険業者も、スペースXやファルコン9に高い信頼を寄せており、ファルコン9の再使用打ち上げにかかる保険料は、新造機を使う際と比べ、目立った変化はなかったという。

スペースXのイーロン・マスクCEOは「SESの、スペースXに対する長年の信頼に感謝します。私たちはあなたとこのマイルストーンを越えることを、とても楽しみしています」と述べた。

SES-10は欧州のエアバス・ディフェンス&スペースが製造した衛星で、西経67度の静止軌道から、ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルーのアンデス共同体をはじめ、メキシコから中央・南アメリカ、カリブ地方へ向けて衛星通信サービスを提供することを目的としている。打ち上げ時の質量は約5300kgと、通信衛星としては比較的大型にあたる。

【参考】
・SES-10 LAUNCHING TO ORBIT ON SPACEX’S FLIGHT-PROVEN FALCON 9 ROCKET - SES.com
 
・SpaceX signs first customer for launch of a reused rocket - LA Times
 
・SpaceXさんのツイート: "First launch of flight-proven first stage will use CRS-8 booster that delivered Dragon to @Space_Station in April"
 
・SES agrees to launch satellite on ‘flight-proven’ Falcon 9 rocket - Spaceflight Now
 

(鳥嶋真也)