■連載/阿部純子のトレンド探検隊

◆明治屋「おいしい缶詰」が50アイテムを突破

 2014年から販売を開始した明治屋「おいしい缶詰」が、8月発売の新製品9品を含め全52品に達した。畜肉系(牛肉・鶏肉・豚肉)25アイテム、魚介系(青魚・貝類・いか)27アイテムで、人気ベスト3は1位『プレミアムほぐしコンビーフ 粗挽き黒胡椒味』、2位『燻製 粗挽きチョリソー』、3位『国産鶏砂肝の粗挽き黒胡椒味』。伸長するグルメ缶市場の中でも「おいしい缶詰」は右肩上がりで推移しており、本年度も昨年比15%増の11万ケースの販売を見込んでいる。

これが缶詰?という驚きのおいしさ「おいしい缶詰」シリーズの新しい楽しみ方

 新製品は畜肉系が『国産鶏の塩麹ロースト(オレンジ風味)』『国産蒸し鶏のピリ辛ごまソース味』『ゆで豚の和風玉ねぎソース味』『牛トリッパとオリーブのトマト煮込み』の4品、魚介系が『国産帆立貝柱と水くわいのオリーブ油漬(洋風トマト アヒージョ)』『本まぐろホルモンのにんにくオリーブ油漬(洋風アヒージョ)』『国産焼き小いわしと香味野菜の甘辛味』『トップシェルの魚介クリームソース味(ヴァンブランソース)』『北海道産つぶ貝の白ワイン蒸し(レモン風味)』の5品。

◆ソースに注目して味わいたい、開発者イチオシの3アイテム

 商品開発担当の宮崎 利恵さんから、新製品のラインアップの中から注目の3品が紹介された。“気軽に立ち寄れるバルの惣菜メニュー”がテーマで、食材とソースの相乗効果でおいしさを倍増させるという手法を用いた。以下に紹介する3アイテムは、従来の素材にソースを合わせる方法とは異なり、玉ねぎやごまといった注目の健康素材を使ったソースを最初に開発、ソースに合った食材を組み合わせて相乗効果を打ち出したという。

○『ゆで豚の和風玉ねぎソース味』

「ゆで豚の和風玉ねぎソース味」

「血液サラサラなど健康要素として注目されている玉ねぎを使ったソース。コクと深みを出すために、しっかりと炒めた玉ねぎと、風味と食感を残すため軽くソテーした玉ねぎの2種類を使った。ソースを含めて1缶まるごと食べていただきたいので、少し酸味を加えた食べやすいソースに仕上げた。ソースに合う食材として牛、豚、鶏を試し、一番相性が良かった豚肉の肩肉を使っている。肉の厚さも3〜7mmの中から、柔らかくおいしく食べられる6mm厚を採用。素材の柔らかさに注目して欲しい」

○『国産帆立貝柱と水くわいのオリーブ油漬(洋風トマト アヒージョ)』

「国産帆立貝柱と水くわいのオリーブ油漬(洋風トマト アヒージョ)」

「アヒージョは既存商品で出ているが、今回はトマトを使った。従来はニンニク、香辛料を入れた香味油を作ってそこに素材を漬け込む手法だったが、帆立貝柱のうまみや甘みを調味液に移したいと考え、崩れやすくはなったがヒモを外して貝柱のみにした。単調な味を避けるためドライトマトを多めに使用して酸味を加えた。

帆立貝柱だけだと柔らかく食感が単調になりがちなので、ゴボウやタケノコ、こんにゃくなど異なる食感を加えて試行錯誤。水くわいをは缶詰にしてもシャキシャキとした食感を残る素材だったので採用した」

○『トップシェルの魚介クリームソース味(ヴァンブランソース)』

「トップシェルの魚介クリームソース味(ヴァンブランソース)」

「最近市場でも良く見かけるトップシェル(アカニシ貝)は、磯くささといった魚介独特の風味があることから焼いて塩を振る、薄い味付けで煮付けるというのが主な食べ方だった。アカニシ貝のうまさをソースとうまく融合させておいしさをさらに引き立てたいと考え、フレンチで良く使われる生クリームと白ワインと魚介だしを加えたヴァンブランソースを合わせた。アカニシ貝とヴァンブランソースは白ワインと相性が良い」

◆ワインジャーナリストおすすめのおいしい缶詰とワインのマリアージュ

 発表会ではワインジャーナリストの柳 忠之さんによる、「おいしい缶詰」に合うおすすめのワインセレクトが披露された。

「おうちワインで楽しむ記事の企画で、有名なソムリエの方々と一緒にグルメ缶詰40種類を試食する機会があった。缶詰とワインの相性を検証したが、その中で1位に選ばれたのが明治屋の『おいしい缶詰 ぶり大根煮』。汎用性が高く様々な味のワインに合い、味付けが上品でアクセントのショウガの香りがブドウ品種と接点を見つけられる缶詰だと驚いた。

 おいしい缶詰シリーズは随所にこだわりが感じられて、開発の段階からワインとの相性を追求されているのでワインと合わせやすい。しかも缶詰なので調理を必要とせず、開けるだけでワインとのペアリングを楽しめる。

 特徴としては、まず素材重視ということ。缶詰は魚介でも肉でも同じような食感のものが多いが、豚は豚、牛は牛といった素材感がしっかりしているので、このワインで行けるのではと脳内ペアリングですんなりと頭に浮かぶ。また、スパイスやハーブをうまく上品に効かせているので、このスパイスなこのタイプの赤ワイン、この酸の効かせ方ならこのタイプの白ワインと容易に組み合わせやすい。

 新製品は夏場のせいかピリ辛が多くて、正直、これだったらビールの方が合うかなと思うものもあったが(笑)、明治屋はワインに関しても幅広いポートフォリオをお持ちなので、その中から国、産地、ブドウ品種をばらして、ピンポイントでそれぞれのペアリングが楽しめるものを選んだ」(柳さん)

 会場では新製品9品に合わせた柳さんセレクトのワインとのマリアージュを試食することができた。

○北海道産つぶ貝の白ワイン蒸し(レモン風味)+パスカル・ブシャール・シャブリ(フランス・シャブリ)またはシェリー酒・マンサニージャ・アレグリア(スペイン)

これが缶詰?という驚きのおいしさ「おいしい缶詰」シリーズの新しい楽しみ方

「つぶ貝の持つヨード感(磯っぽさ)と、レモンの風味の爽やかな酸味からそれに同調するワインで、予定調和的だがシャブリを選んだ。シャブリはフランス・ブルゴーニュ地方の冷涼な地でシャルドネ種から作られたワインだが、これは樽熟成を効かせず、ステンレスタンクだけで発酵させている。非常にピュアなスタイルの白ワインで酸味があり、つぶ貝のレモンの風味とも同調すると思う」

○牛とトリッパとオリーブのトマト煮込み+エバ・モレッリーノ・ディ・スカンサーノ(イタリア・トスカーナ)

これが缶詰?という驚きのおいしさ「おいしい缶詰」シリーズの新しい楽しみ方

「ハーブ、スパイスをふんだんに使っており、トマトは酸味も甘みも両方含むので、ぱっと浮かんだのがイタリアワイン、しかも酸と果実味というところで、サンジョヴェーゼ種が有利だろうと。サンジョヴェーゼ種でもトスカーナ地方の山寄りだと酸と反発するかもしれないと、海寄りのマレンマ地方のエバ・モレッリーノ・ディ・スカンサーノを選んだ」

○国産鶏の塩麹ロースト(オレンジ風味)+バビッチ・イーストコースト・ピノノワール(ニュージーランド)

「オレンジの甘酸っぱい風味。味わいとして照り焼きのイメージがわいて、敢えて赤で合わせた」

○国産蒸し鶏のピリ辛ごまソース味+ウェンテ・リヴァランチ・リザーヴ・シャルドネ(アメリカ・カルフォルニア)

「ビールが一番合いそうだが(笑)、ごまソースのコクから樽醸造のこってりとしたシャルドネで。あるいはセミヨン主体のボルドーでも」

○ゆで豚の和風玉ねぎソース味+ラ・ホヤ・グランレセルヴァ・ヴィオニエ(チリ)またはルバイヤート甲州樽貯蔵(日本)

「玉ねぎの甘みが協調された甘辛風味。赤よりも白の方が断然合うと思う。しっかりとした味わいながら和風なので樽仕込みの甲州、またはオイリーなテクスチャーのヴィオニエで、口の中の食感のバランスを取る。酸味の効いたワインは避けたい」

○国産焼き小いわしと香味野菜の甘辛味+ギガル・タヴェル・ロゼまたはラ・ヴィエイユ・フェルム・リュベロン・ブラン(共にフランス・コート デュ ローヌ)

「揚げたいわしの香ばしさ+野菜のうまみ+甘辛風味という難しい組み合わせ。ローヌの白(たとえばクローズエルミタージュ・ブラン)、タヴェル・ロゼなど」

○本まぐろホルモンのにんにくオリーブ油漬(洋風アヒージョ)+ヒューゲル・ゲヴュルツトラミナー(フランス・アルザス)またはテラザス・レセルヴァ・トロンテス(アルゼンチン)

「ピリ辛なスパイシーさは、アルザスのゲヴュルツトラミナーやアルゼンチンのトロンテスを」

○トップシェルの魚介クリームソース味(ヴァンブランソース)+ジュヴェ・カンプス・ヴィンテージ・ブリュット(スペイン)またはベサニー・リースリング・イーデンヴァレー(オーストラリア)

「磯くささをクリームソースで抑えているが、若干磯っぽさは残る。クリームといっても乳化した程度でこってり感が強くないので、サルデーニャのヴェルメンティーノや、伝統的製法でヨードっぽさが醸し出されたスパークリングワイン(カバなど)が合う。ニューワールドのドライリースリングでも」

○国産帆立貝柱と水くわいのオリーブ油漬(洋風トマト アヒージョ)+シェリー酒のドライ・サック・ミディアム(スペイン)またはレ・ドマイニエール・コート・ド・プロヴァンス・ロゼ(フランス・プロヴァンス)

「肉感のある帆立とシャキシャキとしたくわいのコントラスト。そこにトマトとニンニクの風味が入るので、ハーブ感のあるプロヴァンス・ロゼで。あるいはアモンティリャードのシェリーも面白い」

◆「おいしい缶詰」と都内7店舗のバルがコラボレーション

 9月1日から10月15日まで、都内7店舗のバルにて「おいしい缶詰」を使ったコラボメニューを各店舗2品ずつ、500円(税別)で提供する「おいしい缶バルキャンペーン」を実施。新製品の中からひとつと、人気ナンバー1の「プレミアムほぐしコンビーフ 粗挽き黒胡椒味」を使ったメニューが提供される。

これが缶詰?という驚きのおいしさ「おいしい缶詰」シリーズの新しい楽しみ方

 協力店はニクバルダカラ大崎店、有楽町ワイン倶楽部、室町ワイン倶楽部、ACORN 東京駅グランルーフフロント店、N9Y Butcher’s Grill New York、タパスブランコ アキバトリム店、ワインレストラン ドミナスの7店舗。

 会場には「ニクバルダカラ大崎店」のシェフ・近藤 純弘さんと(画像中央)、「有楽町ワイン倶楽部」のソムリエ・松田 祐也さん(画像右)の二人がメニューのお披露目を行なった。

これが缶詰?という驚きのおいしさ「おいしい缶詰」シリーズの新しい楽しみ方

○ニクバルダカラ大崎店

 名古屋を中心に20店舗展開。肉を中心としたメニュー構成で8割が肉料理。黒毛牛の一頭買いをしており、部位別に12種類のステーキを提供。牛タンのローストビーフなど他では味わえないメニューも展開。

「プレミアムほぐしコンビーフのリゲット」

これが缶詰?という驚きのおいしさ「おいしい缶詰」シリーズの新しい楽しみ方

 同店で使用しているマッシュポテトとみじん切りにした玉ねぎ、牛乳で柔らかなパテを作りバゲットにのせていただく。合わせるワインはアメリカ産の赤ワイン「ハンドクラフト」。柔らかなタンニンがリエットと相性がよく、スムーズに飲める。

「国産帆立貝柱と水くわいと九条ネギのアヒージョ」

これが缶詰?という驚きのおいしさ「おいしい缶詰」シリーズの新しい楽しみ方

 ガーリックオイルを敷いた器に缶詰と隠し味にレモンカットを入れて盛って煮込み、上に九条ネギをのせる。素材の味をさらに引き出しワインに合う一品。フランス産の白ワイン「ドメーヌ・デュ・タリケ」は、フルーティーな辛口の白ワインでアヒージョに入れた隠し味のワインとも相まっておいしく飲める。

○有楽町ワイン倶楽部

 ステーキとワインをコンセプトにしたワインバル。ワイン倶楽部の7店舗のうち、有楽町店だけはワインショップも併設していて、そこで購入したものを店内に持ち込める。

「プレミアムほぐしコンビーフ ザワークラウトのタルタル風」

これが缶詰?という驚きのおいしさ「おいしい缶詰」シリーズの新しい楽しみ方

 コンビーフ自体に黒胡椒のアクセントが強くワインと合わせるのが難しかったため、少量のマヨネーズとザワークラウトの酸味を足して、刻んだ黒オリーブを加えタルタル風に。合わせるワインはイタリアの「ファレスコ モンテリーヴァ カベルネ・ウンブリア・ロッソ」。バリックをかけて熟成しているワインで、フレッシュな果実味もありつつ樽由来の熟成感がほんのり感じる。後味でスパイシーさが乗ってくるので、そのニュアンスとコンビーフの黒胡椒、肉のうまみが合う。

「トップシェルの魚介クリームソース味のソテー(アカニシ貝のブルゴーニュ)」

これが缶詰?という驚きのおいしさ「おいしい缶詰」シリーズの新しい楽しみ方

 ブルゴーニュバターを入れたソースをベースにしてコクのある味と、アカニシ貝の魚介らしさが合う料理に。ブルゴーニュ料理はエスカルゴを合わせること多いが、今回はアカニシ貝の缶詰で仕上げた。ブルゴーニュバターに合うワインはブルゴーニュが浮かぶが、あえてアルゼンチンの「ティリア シャルドネ」で。このワインは樽熟成も行っているので、バターのニュアンスと合いやすい。樽のタッチはさほど強くなくて、少しミネラル感の加わった酸味もあるのでアカニシ貝にも調和する。

【AJの読み】この秋は家飲みでも外飲みでも「おいしい缶詰」が楽しめる

「おいしい缶詰」は家飲みワインのつまみとして定番になっているが、あと一品欲しいときのおかずとしても重宝する。新製品の中では「牛トリッパとオリーブのトマト煮込み」とショートパスタを合わせて味を調えて食べてみたらとてもおいしかった。アレンジメニューは公式サイトにも掲載されているので参考に。

 バルとのコラボメニューは紹介した2店舗以外でも、ワインに合う手軽なワインコインメニューが揃っているのでワインを飲みたくなったらぜひ試してほしい。個人的に気に入ったメニューはタパスブランコ アキバトリム店の「メカジキと本マグロホルモンソースのタルタル仕立て」(「本まぐろホルモンのにんにくオリーブ油漬け」を使用)と、ワインレストラン ドミナスの「牛トリッパとアンティーブ、ブルーチーズのサラダ はちみつソース」(「牛トリッパとオリーブのトマト煮込み」を使用)の2品。

文/阿部 純子

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