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国立がん研究センター(国がん)は8月31日、日本人の非喫煙者を対象とした受動喫煙と肺がんとの関連について、複数の論文を統合・解析するメタアナリシス研究を行った結果、受動喫煙のある人はない人に比べて肺がんになるリスクが約1.3倍であることが示されたと発表した。

同成果は、国がん がん対策情報センター がん登録センター がん登録統計室長 片野田耕太氏らの研究グループによるもので、8月10日付けの学術誌「Japanese Journal of Clinical Oncology」に掲載された。

受動喫煙と肺がんの関連については、1981年に国立がんセンター研究所疫学部 平山雄部長(当時)が世界で初めて報告した後に研究が行われるようになり、2004年に国際がん研究機関(IARC)が環境たばこ煙の発がん性を認め、2006年に米国公衆衛生総監報告書が受動喫煙と肺がんとの因果関係を認めている。

日本人を対象とした研究もこれまでに多数発表されているが、肺がん全体に関する個々の研究では統計学的に有意でないなどの問題が指摘されており、受動喫煙における日本人を対象とした科学的根拠に基づく肺がんのリスク評価は「ほぼ確実」にとどまっていた。

同研究グループは今回、日本人の非喫煙者を対象に受動喫煙と肺がんの関連を報告した426本の研究のうち、適用基準を満たしたコホート研究論文4本、症例対照研究論文5本の合計9本の論文結果に対してメタアナリシスを実施。各論文について抽出されたリスク推定値から代表的なものを選び、すべての論文を統合した相対リスクを算出した。

この結果、受動喫煙と肺がんとのあいだには統計学的に有意な関連が認められ、受動喫煙による相対リスクは約1.3倍と、国際的なメタアナリシスの結果と同様になった。なお、研究デザイン、出版年、交絡因子の調整有無によって層別してもほぼ同じ結果であり、否定的な結果が出た研究は肯定的な結果が出た研究に比べて公表されにくいという出版バイアスを補完しても、結果は変わらなかったという。

また、今回の結果を踏まえ、国がんの社会と健康研究センターを中心とする研究班は、受動喫煙における日本人を対象とした科学的根拠に基づく肺がんのリスク評価を「ほぼ確実」から「確実」にアップグレード。これに伴い、ガイドライン「日本人のためのがん予防法」においても、他人のたばこの煙を「できるだけ避ける」から"できるだけ"を削除し、「避ける」へ文言の修正を行った。

国がんは、受動喫煙による健康被害を公平かつ効果的に防ぐために、世界49カ国(2014年現在)で実施されている公共の場での屋内全面禁煙の法制化など、たばこ規制枠組条約で推奨されている受動喫煙防止策を、日本においても実施することが必要であるとしており、理事長の中釜斉氏は、今回の結果を受けて、「日本では屋内全面禁煙がまだまだ行き届いていないが、今後は国を挙げて取り組んでいくべき。今回の結果がそういった対策への提言になれば」とコメントしている。

(周藤瞳美)