うーん、厳しい質問ですね(苦笑)。 私はタイ王国代表選手のひとりに過ぎず、それに対しては何とも言えないです。言えるとするならば、やはり日本をはじめとしたアジアの強豪国との間にはまだまだレベルの差があると感じていますので、私たちは続けて成長しなければなりません。すべては私たち次第なんです。この最終予選も含めて成長し続ければ、2018年でも2022年でもチャンスはあると思っていますので頑張ります。
 
――先日、チームメイトの青山選手にもインタビューをさせていただいたんです。その時に彼が「ムイほどの凄い選手を見たことがない。日本は彼に注意しなければいけない」と話していて、日本のファンも「タイにそんな凄い選手が居るのか」とあなたに注目し始めています。
 
 そうなんですか? 後でアオ(青山選手のニックネーム)にありがとうと言わないといけないですね(笑)。日本のサッカーファンの方にも注目していただけていることは非常に嬉しく思い感謝します。でもサッカーは11人対11人で行なう競技です。私ひとりではどうすることも出来ません。私は自らが出来ることを一所懸命やるだけです。
 
――ティーラシン選手のプレーには、ブラジルの「ジンガ」(ポルトガル語で「揺れる」とか「フラフラ歩く」という意味の言葉)のような「しなやかでリズミカルな動き、ステップ」を思わせます。間合いの取り方だったり足の運び方であったり、そのスタイルには「タイ王国独自のジンガ」を持ち合わせていると感じるのですが、その「術」はどのようにして身に付けられたのでしょうか?
 
 あなたは褒め上手ですね(笑) どのようにと言われると非常に困るのですが、私は幼少期から今までずっとサッカーを楽しみながらやってきました。楽しむ気持ちを持って練習をすれば、自ずとそれが身体から表現されるのかも知れません。サッカーも人生も一緒だと思います。
 
――その言葉は深いです。考えさせられます(苦笑)。ティーラシン選手はプライベートで日本へいらっしゃったことはありますか?
 
 試合では何度か行ったことはありますが、プライベートではまだないんです。家族と一緒に旅行へ行ってみたい国のひとつです。
 
――8月20日の試合(パタヤ・ユナイテッド戦)が終わるとリーグ戦は一旦中断し、ドーハでの代表合宿へ向けて直ぐに出発されると聞きました。年齢的にも一番脂の乗った時期に迎えるロシアワールドカップ・アジア最終予選へ向けた抱負を聞かせてください。
 
 タイ王国女子代表は、2015年にカナダで行なわれた本大会に初出場をしているんです。妹もメンバーに選ばれました。タイサッカー界にとっても男子代表のワールドカップ出場は悲願であり、私たちは今、その挑戦権を手にしています。
 
 初戦(9月1日、リヤドで行なわれるサウジアラビア戦)まであと2週間。練習試合(8月25日にカタール代表と対戦、主軸を先発から外し0-3で敗れた)も組まれていますし、しっかりと調整してチーム一丸となって最終予選に臨みたいと思っています。
 
――最後に日本人としてあなたへ一言だけ忠告させてください。今日のインタビューが日本で発表された後、日本のファンやメディアは今まで以上にあなたに注目するはずです。試合以外のところでたくさんの「敵」から厳しいマークに付き纏われるかもしれませんよ。注意してくださいね。
 
 それは注意して生活しなければいけませんね(笑)。十分に気を付けます。また9月6日にスタジアムでお会い出来ることを楽しみにしています。ありがとうございました。
 
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