■連載/カーツさとうの週刊★秘境酒場開拓団

ハラルレストランで酒好きはどうなる?『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』の評価

オヤジス度    ★
エルドラ度    ★★
オヤジナリティー ★★★

 ハラルレストランにオープン試食会に行ってきた。ここで賢明な読者の皆々様ならハッと気付くだろう。

「ハラルって、イスラム教の戒律に則したレストランだから、アルコール飲めないんじゃないの?」

 その通りだ!! この連載にもっとも重要なアイテム“お酒”が飲めない飲食店なのだ。しかしこの試食会の話を聞いた時、オレは逆の意味で行きたくなっていた!

 そういう環境に酒好きが入り込んだ時、酒好きは耐えられるのだろうか? それにムスリムの人が愛飲する“モクテル”というアルコール抜きのカクテル。アレ、イスラム圏でメニューで見たことはあっても、実はまだ呑んだことがないんで、一度飲んでみたい! もしかするとそこには新しい世界が待っているんじゃないか?

 これはオレも含めて酒好きのみなさんへ、ぜひお伝えしなけれはいけないシミュレーションなんじゃないか!? そう思って行ってきました、愛知県は常滑市の常滑イオンの1階にございます、その名も『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』!

ハラルレストランで酒好きはどうなる?『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』

 ムスリムの方のレストランと聞いて、中近東的なお店を連想してたんですが、まぁその雰囲気はまるでゼロ! カジュアルなレストランである。なにしろ店名からして『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』だ。名前聞いただけだと完全に、ボストンクラムチャウダーとかアトランティックロブスターとかを売りにするアメリカ東海岸風シーフードレストランだもんね。

 いや、実際そういう料理の店なのだ。この店は発祥はマレーシアで、2002年の第一号店オープン以来、シンガポール、タイ、インドネシア、スリランカ、オマーン、ミャンマー、インド、バングラディッシュ、カタール、そして日本と69店舗(!!)を展開しているんだけど、ようするにアジアで大成功したアメリカ東海岸風シーフードチェーンですよ。ただ、たまたま発祥国がイスラム圏だったんで、ムスリムの戒律に乗っ取ったハラルレストランになったというくらいに考えた方がいいと思う。

 この常滑の店も、近くにセントレア空港があるのでインバウンドでのムスリムの方の利用も考えているそうだが、80%は日本人客の利用を想定しているそうだし、ニューヨークのフルトン魚市場にインスパイアされた店造りをしてるんで、こりゃもう普通に洒落たファミリーレストランですよ。

 そしてついにアルコール抜きの試食がはじまるのだった!

『ノンアルながら脳にガツンと響くドリンク!』

 世間の人が「とりあえずビール!」という感じでテーブルに登場したドリンクが『シトラス ミント』のスムージー(580円)。

ハラルレストランで酒好きはどうなる?『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』

 キンキンに冷えてることを確信させる汗をかきまくったグラス! ストローで飲み物呑むのは久しぶりな気がするがチュルチュル〜と吸ってみる……ちょっとコメカミがキーンとするくらいの刺激がきてやけにウマイ! ミントのさっぱり感もいいぞ! これに合わせるかのように登場した前菜が、『フライド カラマリ(680円)』と『フライド カントリー マッシュルーム(580円)』。

ハラルレストランで酒好きはどうなる?『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』

本来2つのメニューを試食用にひとつの皿に盛ってくれた、いわゆるイカのフリッターとマッシュルームのフリッター。これ、どう考えても白ワインとか飲みたくなる、最高に酒が進んじゃうヤツですよ。カラマリはチポトレーソース、マッシュルームはハニーマスタードで食べるのがお薦めってことで口にポイッと放り込むと、いや〜イカはプリプリしてるし、マッシュルームは噛みしめればキノコ独特の旨味の詰まったジュースが口中に染み渡るわ、その残り香的な残り味を追っかけるようにワインでも流し込みたいところ、シトラスミントをチュルチュルいってみる……なんかいいぞ!! いや、本当にイイ!!

 アルコールならではのガツン感はないけど、それに近いような冷えたフローズンの刺激が、この料理を引き立てる!!

 これがもしも、横で酒飲んでるヤツがいて、それなのにオレはアルコール抜きって状況なら気持ちも違うかもしれない。で、その横で酒飲んでるヤツがこれ見よがしにオレの目の前に酒のグラスをみせびらかしでもしたら、そりゃム〜ッとなるかもしれない!

 でもみんなアルコール抜きだから、この店は! そうなってくると、もう業に入れば業に従えでさ、全然問題ない! むしろ飲んでて「いや〜今日のオレって、いつになく健康だぞ!!」なんてイイ気分にすらなってくる。

『揺れる炎が心を燃やす!!』

 そしてくると思ってました『クラムチャウダー(Lite380円・Reg450円)』も登場! あれ、写真撮ってねェ。ごめんなさい、うまくて一気に呑んじゃったんだわ、これ!! 前のフリッターの写真に小さく写ってる。いや、そのくらい仕事忘れていただいちゃいました。

 そしてついにメインがやってくる。『スモール フレイム(1680円)』でございます!

ハラルレストランで酒好きはどうなる?『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』

 ガーリックハーブライスとフライドポテトの上に、エビとドリーという魚のグリルが載っております。魚でドリーっていうと「あの映画のアレ?」て思う人がいるかもしれないけど、アレとは全く別種の、東南アジアで養殖されてて、ヨーロッパにもかなりの量が輸入されてる『パンガシウス ドリー』っていう、舌平目にも煮た味わいの淡白な淡水魚。

 で、この一皿。ただテーブルに運ばれるだけだと思ったら大間違い! 仕上げにフレイムという作業を客の目の前で行うのだ。それがコレッ!!

ハラルレストランで酒好きはどうなる?『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』

 バーナーで炙るワケですな〜。目の前に踊る炎を眺めながら、シトラスミントを一杯……ってもう飲みきっておりました。もう一杯なにかモクテルをください!! ということでお願いしたのが『ガミー ビアー(500円)』。

ハラルレストランで酒好きはどうなる?『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』

 ブルーキュラソーはリキュールだから入ってないんだろうけど、ブルーハワイのような青。これがモクテルですよ!

 底に溜まってるフルーツを混ぜ混ぜしつつ呑んでほしいということで、その通りに呑む。アルコールが入ってないから飲めば飲むほどシャキッとするのも新感覚だ! そして海老を食う、魚を頬張る、そしてまた青いのキューッと行く!!

 炎は人を原始の世界に引き戻すっていいますしね、カップルでもいいんじゃないすか、あのフレイムというバーナー炙りのプレゼンテーションは! オレも酔ってもないのに、なんだかいい気分になってまいりましたよ!

『ハラルレストランは酒飲みにアリなのか?』

 最後にはデザートも登場した。『マンハッタン マッド パイ(480円)』。

ハラルレストランで酒好きはどうなる?『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』

 チョコケーキにさらにチョコアイスのフィリングが掛かっている、濃厚な一皿で、これにモクテルってのも、新しい世界が広がりましたよ。

 他にもウマソ〜な料理は色々あって、代表的な料理を撮影用に並べてくれたんで、それを。

ハラルレストランで酒好きはどうなる?『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット』

 左下から時計回りに『ペッパーマヨ サーモンバーガー(1080円)』。『マンハッタン フレイミング シーフード プラッター(2980円)』大人数用のメニューっすね。『スモール グリル(1580円)』。『フィーーーシュ アンド チーーーズ(1180円)』フィッシュアンドチップスにチーズをかけたパージョン。『メディタレニアン ベイクドフィッシュ(1180円)』。『スパゲッティ イン ザ シー(1280円)』。

 こうやって料理を見ると、そして今まで色々食べたオレ自身もそう思ったんだけど、ハラルレストランってこと、忘れちゃうというか、全然意識しなくなってる。ただただまっとうに旨いシーフードレストラン。ただ酒はないんだけど、もう今までの経過でわかるように、それも特にもう気にならない!

「今日は飲むぞ〜!」ってこの店に来て“酒がない”って事実を初めて知ったならショックだろうけど、「ここは飲めません!」って知って来店したならば、それはそれで楽しいんですよ。

 それどころかさ“今日はオレ、飲めない”って時があるじゃない、人間って。明日が健康診断とかさ、二日酔いで酒の“さ”の字も見たくないとか、これから大事な仕事があるとか。そんな時はまずここだ!

 いやいや!! そんな特別な時じゃなくても車できたとか、自分は運転してなくても同席に車で来た人がいる時なんて、自分だけ呑むの悪いじゃない? だから呑まないなんて時がよくあるでしょ? そんな時には、ヘタにアルコールがあると“無理して我慢してる感”が強いけど、最初っからないなら、もう我慢もクソもない! 平然として酒を呑まないことを受け入れられ、さらに店としても酒がない上でのメニュー構成になってるから、逆に居心地いいはずだ!

 ましてさ、この常滑イオンっていうのが郊外型の超巨大モール。来店者の九割は車でアクセスしてる感じなんですよ。すぐ近くに駅あって、オレはそこから行ったんだけど、駅からイオンに向かう人、ほとんどいなかったもん。ってことは、こういう車でのアクセスが主流の郊外型モールでは、ハラルレストランってベストの選択なんじゃないの?

 今後このチェーンは2020年までに5店ほど日本に出店予定(すでに一号店は池袋にあり、この常滑が二号店)があって、さらなるイオン内での出店も予定してるそうだけど、郊外のイオンに車で行って、この店あったら、オレは免許なくて同乗してるだけだけど、間違いなくこの店行くよ! それが一番気持ちいいもん。酒があろうがなかろうが、食事は気持ちイイのが一番っすから。

試食会に呼んでいただいたので最後にお店のデータを入れないと。

『ザ マンハッタン フィッシュ マーケット イオンモール常滑店』
電話0569-47-9855
愛知県常滑市りんくう町2-20-3 1F 常滑のれん街内
営業時間11:00〜22:00(ラストオーダー21:30) 無休

文/カーツさとう

コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。

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