マチュピチュ旅行の起点となるクスコの街並み。クスコの標高は約3400m(田中美久 撮影)

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 皆様、こんにちは。

 前回は南米ボリビア滞在中の記事でしたが、実は7月16日に、約5カ月半に渡る中南米の旅を終了しました。今回の記事では、これから中南米を旅行される方に向けての情報発信も兼ねて、この5カ月半の旅を振り返ってみようと思います。

 2016年2月6日に日本を出発し、メキシコ、キューバ、グアテマラ、コロンビア、ペルー、ボリビア、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルの順番で、全9カ国の都市を訪れました。

 各国の滞在期間は以下の通りです。

 メキシコ 26日、キューバ 6日、グアテマラ 32日、コロンビア 14日、ペルー 17日、ボリビア 36日、アルゼンチン 9日、パラグアイ 14日、ブラジル 5日、計 159日(約5カ月半)。各都市における滞在期間は平均1週間でした。

 次に、旅行の費用です。この5カ月半で一体いくら使ったのでしょうか。日本を出発してからブラジルを出るまでにかかった費用は、およそ65万円でした。これには長距離移動費、短距離移動費、宿泊費、食費、観光費、ビザ申請費などが含まれています(出発するまでの準備費用を除く)。

壮大なスケールが圧巻だったマチュピチュ遺跡(田中美久 撮影)

 旅のスタイルとしては、基本的には節約を心がけ、たまに美味しいレストランで食事をしたり、気に入った現地の服を購入したりという贅沢をしていました。1日の生活費は2500円と決めていましたが、だいたいその予算内に収まっていました。主な出費は宿代、食費、長距離移動費です。節約するには宿代を抑えることが重要となってきます。宿は基本的にドミトリーという相部屋に泊まり、ドミトリーに疲れるとシングルルームに泊まっていました。物価の安い国では、500円程度から安宿を探すことができます。ちなみにアルゼンチンやブラジルなどは物価が高く、日本とさほど変わりませんでした。

 物価の安いボリビアやペルーなどでは、外食をして150円ほどで一食済ませることができます。またどの国にも「メルカド」と呼ばれる市場があり、そこではアボカドやズッキーニ、マンゴーなどの新鮮な野菜や果物を安く購入することができます。市場で食材を買って自炊すれば、大幅に出費を抑えられます。

ペルーの市場で食べた野菜たっぷりの鶏肉スープは150円(田中美久 撮影)

 気候で注意すべきなのは、標高の高さ、また南北で気候が全く異なるところです。例えばグアテマラでは、低地だと年間を通して温暖な気候ですが、高地は朝夕に冷え込み、冬服が必要となってきます。また、南米は日本と季節が逆転することにも注意が必要です。私は6月に外国人観光客から絶大な人気を誇る南米ボリビアのウユニ塩湖を訪れたのですが、この時期は外気が氷点下になるほどの極寒でした。持っている服を総動員し、靴下を3枚重ね履きしても、体が凍えて仕方がありませんでした。ヒートテックやダウンジャケット、カイロなどを駆使した防寒対策が必要です。また、中南米の気候には雨季と乾季があります。私は乾季に訪れたので、5カ月半の中で雨に降られた日はほぼありませんでしたが、雨季には注意が必要です。エリアによって気候が大きく異なるので、ご自身が行きたい場所のベストシーズンを調べて計画を立てられたらよいかと思います。

極寒の中で参加したウユニ塩湖のサンライズツアーにて(田中美久 撮影)

 さて、この5カ月半の間、女1人で旅してきましたが、幸いにも病気・事故・盗難など大きなトラブルには一度も見舞われることなく、無事に中南米を後にすることができました。中南米に限らず、安全かつ快適で楽しい旅をするために、旅先で心がけた方が良いと思うことを、自分の経験も踏まえてお伝えさせて頂きます。

 1つ目は、「情報収集をしっかりすること」。情報収集は、安全で快適な旅をするために必要不可欠な要素です。治安、物価、天候、国境越え、食べ物、両替、宿、各観光スポットの営業時間など、あらゆる情報を事前に把握しておくよう心がけました。特に宿選びには慎重になります。宿の居心地が悪いと、その街自体も嫌な思い出として記憶に残ってしまいかねません。中には盗難宿と言われる盗難発生率が高いホステルもあるので、ある程度の見極めが必要です。私はホステル予約サイトで高評価のレビューが多い宿を探し出し、予約をしました。

ブラジルのサンパウロ中心地広場。浮浪者が多く、体感治安は非常に悪い(田中美久 撮影)

 また国境越えをする際には、現地に着いてすぐ利用するであろうタクシーなどの値段の相場を予め掴んでおけば、ぼったくり被害なども回避しやすくなります。ストライキのような予想できないトラブルは仕方がないですが、情報はあればあるだけ取捨選択の幅も広がりますし、無駄のないスムーズな旅が可能になります。

 二つ目は、「危険なエリアには行かないこと」。当たり前のことだと思われるかもしれませんが、比較的安全と言われる場所でも、1本道を外れただけで危険度が一気に増すことがあります。情報を把握し、現地の方の忠告をしっかりと聞くことが大切です。

 どの国でも特に注意すべきなのは、首都と各都市にある「セントロ」と呼ばれる中心地です。 例えばメキシコのメキシコシティ、グアテマラのグアテマラシティ、ペルーのリマ、ボリビアのラパスなどは体感治安が非常に悪く、スリや強盗被害の話も頻繁に耳にしました。セントロには浮浪者などがうろついていることが多く、大勢の人で混み合ってもいるので危険度は高くなります。治安の良し悪しは、落ちているゴミの多さ、落書きの多さ、浮浪者やストリートチルドレンの多さなどでも判断できます。旅を長く続けていると、感覚的に分かるようになってきました。

 三つめは、「夜間の外出は控えること」。これも中南米の旅の基本中の基本です。強盗被害に遭った方の話を聞くと、夜に出歩いていたケースがほとんどでした。エリアにより治安の良し悪しは異なりますが、夜間は危険度が一気に増します。

 私は基本的に、18時〜19時くらいには宿に戻るようにしていました。もし出歩くとしたら、複数で行動するなりして、特に女性だけでの外出は極力控えます。移動時も、深夜や明け方到着のバス・列車は控えた方が無難です。どうしてもそういった時間に到着するのであれば、ケチケチせずにタクシーなどの安全性の高い乗り物で移動した方が良いでしょう。

 四つ目は、「体調管理をしっかりすること」。楽しい旅は健康な身体があってこそ。夜更かしをしない、また疲れすぎないよう旅のペースにゆとりを持つことを常に意識していました。水は、原則ミネラルウォーターを買って飲みます。水の付着した生野菜や生の海鮮は極力避けた方が無難です。また先に述べたように、中南米の高地では驚くほど朝夕の寒暖差が激しいので、夏服と冬服両方の用意が必要です。更に、ボリビアのウユニ塩湖やペルーのマチュピチュなど、人気のある観光地は標高が高く、高山病にかかるリスクもあります。私は高地に移動する前には高山病の薬を飲むようにしていました。また標高が高い場所はとても乾燥しているので、乾燥が気になる方はハンドクリームを用意していくと安心です。

グアテマラの市場の様子。グラム売りなので、1個のみの購入も可(田中美久 撮影)

 五つ目は、移動する街の治安に不安があるときは、「安全性の高い交通手段を使うこと」。旅をしていると、常に「安全か、値段の安さか」を天秤にかけて選択しなければならない時があります。例えば、メキシコのバスを選ぶ場合、値段は高いが安全で快適な一等バスにするのか、オンボロだけど格安な二等や三等のバスにするのか、いつも悩んでいました。勿論、安いバスでも無事に何事も無く目的地に到着することも多いのですが、乗り心地もそれなりであることを覚悟しておいた方がいいでしょう。実際、私は一度、三等バスに乗ってメキシコ内を移動したのですが、古い車体が途中で故障し、トラブルになりました。かなりストレスの多い経験だったので、それ以来、三等バスはいくら安くても利用していません。

 また、目的地や通過点が危険なエリアの場合は、よほどの理由が無い限り、多少高くても安全性の高い乗り物を選ぶべきだと思います。私は、グアテマラシティなどの治安が悪い場所を通過するバスに乗る時は、必ず一等にしていました。危険だと言われる場所で、安さを選んだが故にトラブルに遭うのは自業自得です。想定できるリスクは、可能な限り回避しましょう。

 最後に、「身の周辺の持ち物には細心の注意を払うこと」。まずはカバンやリュックです。人が多く行き交う大きな街や電車内などでは、盗難のリスクが高まります。リュックのチャックを開けられ貴重品を盗られるなどの被害も多いので、必ずリュックは前に持ってきて、背後に怪しい人がいないか定期的に確認するなどのチェックを行います。最近では、スマートフォンが最もスリに狙われやすい製品です。旅先で遭った多くの旅人が被害に遭っていました。特にiPhoneなどのApple製品は盗まれやすいので要注意です。最近は、ネット環境が無くてもGPS機能を使用できる地図のアプリケーションが開発されるなど、街歩きをする際にスマートフォンを使用する場面が増えています。治安の良し悪しに関わらず、外で使用する際は、壁がある所に背中を付けて両手で操作するなど、常に周辺を警戒していることが重要です。

アルゼンチンのカフェで飲んだカフェラテ。一杯320円。同じ南米でも物価は大きく違う(田中美久 撮影)

 以上、私が思う中南米旅行のまとめと留意点でした。その他、スペイン語でよく使うフレーズなどを覚えておくと、より旅がスムーズになります。英語は驚くほど通じません。

 中南米の治安は、全般的に悪いと言えます。私自身はたまたま運良く危険な目に合わなかっただけで、旅先ではスリや強盗被害に遭った旅人に何人も出会いました。しかしそれらの被害は、個人でしっかりと注意して行動していれば防げていたケースがほとんどです。注意はしすぎることはありません。私自身、今後も引き続き慎重な行動を心掛けたいと思います。

グアテマラの市場で購入した品物。これだけ買っても僅か200円(田中美久)

 魅力のいっぱい詰まった中南米。まだまだ行きたいところが沢山あります。なかなか日本から気軽に行ける場所ではないですが、また戻ってみたいと思っています。これから中南米をご旅行される方が、少しでも楽しく安全で快適な旅が出来るよう願っています。

 次回からは、ヨーロッパ編です。お楽しみに!

(田中 美久)