北京大学入試研究院の院長は、高校生たちは成績優秀だが、個性と臨機応変の能力が欠如し、まるで画一に生産された家具を見るようだったと語った。写真は2014年、高考を受けに会場へ向かう高校生たち(AFP/Getty Images)

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 北京大学考試(試験)研究院の院長が、上海で大学入学の面接試験を行った。受験した高校生たちは完璧なほど成績優秀だが、個性と臨機応変さに欠け、「まるで画一的に生産された家具を見るようだった」と院長がその印象を語っている。中国共産党が推進してきた点数偏重の教育制度が、またも非難を浴びる格好となった。

 中国青年報のサイト「中青在線」は8月15日、北京大学考試研究院の秦春華院長が上海で面接試験を行ったときのことを記した文章を掲載した。

 それによると、高校生たちは例外なく優秀な成績を誇り、何らかの楽器の演奏もでき、各種科学コンテストの受賞歴もあるなど、一見、欠点など見当たらないように思えた。だが院長には、彼らがあまりに完璧で、そして互いにあまりによく似ていて、まるで画一的に生産された家具のように思えてならなかった。

 それは面接の時の生徒たちの様子が、非常に画一化されたもので、礼儀正しく、適度な微笑を浮かべてはっきりとメリハリのある話し方をするが、面接官には、その生徒自身の姿が見えてこないからだった。

 ある生徒は、二言目には「子曰く…」と話し始めるので、秦院長はこの生徒の話をさえぎり、名前を尋ねた。すると生徒は名乗り終えるとまた「子曰く…」と続けようとするので、院長は再び生徒の話をさえぎり、「私は『子』が何を言ったかではなく、君が何を考えているかに関心があるのだが」と告げたところ、その生徒は顔を真っ赤にして、それ以上話し続けることができなくなってしまった。

 またある生徒は、自信に満ちあふれた様子で面接者の前に座り、質問されるのを待っていた。だが秦院長は、君に質問することはないので、君から私に聞きたいことはないかと尋ねた。するとこの女子生徒は、予想外の展開に驚きパニックに陥ってしまい、泣き出す寸前だったという。

 秦院長は、生徒たちは明らかに面接前に、ある程度の面接対策を積んできたはずだが、本番の面接では自分の本当の姿を前面に押し出す必要があると教えてもらったことは、これまで一度もなかったのだろうと推察した。

 面接を通じて秦院長が最も驚いたのは、将来どんな人間になりたいかと尋ねた時、きちんと答えることのできた生徒が非常に少なかったことだ。「今までそんなことは考えたこともなかった」と生徒たちは口をそろえた。

 恐らく全ての教師や親たち、そして高校生自身にとっての唯一の関心事は、どれくらいの成績を上げればどこの大学に入れるかに尽きるのだろう。

 中国の教育は進学を目的として簡略化され、全てのプロセスはその最終結果、つまり北京大学やハーバード大学に入学するためだけに存在している。秦院長は高校生たちに、北京大学に入学後はどうしたいのかと尋ねてみたい衝動に駆られると語っている。

 ネット上では、現在の中国の教育界は有名大学に進学することだけに躍起になるあまり、単なる試験ロボットを養成しているにすぎないと憂慮する声が後を絶たない。

 中国の教育制度の弊害は、子供たちの心身の健康や想像力、価値観をむしばんでいることだ。こうした風潮を徹底的に覆さなければ、後世にまで禍根を残すことになるだろう。

(翻訳編集・島津彰浩)