大阪で開かれた終活のイベント

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 自分の葬式を生前に手配できるサービスへの申し込みが急増している。ベンチャー企業のユニクエスト・オンラインが運営する「小さなお葬式」では、2014年3月から「早割」のサービスを始めた。生前にコンビニ等で500円のチケットを購入しておくと、本人の葬儀費用が割引になるというサービスだ(チケットは3親等内の親族の葬儀まで利用可能、最大6万6000円の割引)。

 チケットは初年度に5000枚が売れ、2年目には2万8000枚に達し、現在は3万枚を超えているという。生前に葬儀の概要を決めておけるメリットとしてはまず、「妻や子供に迷惑をかけずに済むという安心感」を挙げる人が少なくない。

 それに加えて、“自分の思ったような葬儀にしたい”という思いが実現できる点も大きい。北陸地方に住む70代の男性はこういう。

「友人の葬儀に行った時に、奥さんと話していたら“とにかく誰に連絡したらいいのかもわからずバタバタして、お葬式の中身は全部葬儀社にお任せ”といっていた。実は、友人は生きていた当時、“オレは白装束が嫌いだから、棺桶には自分の服を着て入りたい”とよくいっていたんです。

 結局、奥さんはそのことを忘れていて白装束姿で納棺された。それを見て、“死ぬ時くらい自分の思ったように死にたいな”と思い、葬儀社に相談に行くことにした」

 葬儀社によっては料金や会場の規模に加えて、「葬儀場に自分の趣味の品を飾りたい」「好きだったバンドの曲を流したい」といった希望を伝えることもできる。

 また、「遺影に使いたい写真」を指定したり、「祭壇」や「棺」「骨壺」の選定などをした上で、すべてパッケージ化されたセットプランを選べるところもある。

「最近では、読経や戒名などの宗教儀礼をなしにしてほしいといった簡略化のリクエストが増えている。とにかく簡素な家族葬にしてほしいという方も多いです。こだわる人では、返礼品や通夜ぶるまいをどうするかといったことまで決めたがる方もいますが、そのような要望にもできる限り対応するようにしている」(都内の葬儀社関係者)

 一方で、注意しなければならないのは、生前に葬儀社と相談していたことで、逆に家族にとってのトラブルのタネになってしまうケースがあることだ。NPO法人「葬儀費用研究会」の冨永達也・事務長が語る。

「相談していた内容が家族と共有されていないと、悪徳葬儀社の場合は、営業担当者が『生前に故人が望まれていましたよ』といって高額なプランを提示してくるケースもあるんです。家族も確かめようがありませんから、『最後の親孝行ですよ』の殺し文句で押し切られてしまう」

 また、いざ葬儀を執り行なうとなると、どうしても不測の事態も出てくる。いつ死ぬかはわからないので、故人が使いたかった葬儀場の日程が埋まっていたりすれば、家族は他を探すしかなくなり、生前に見積もっていた費用通りにいかなくなることもあり得る。

※週刊ポスト2016年9月9日号