9マスの盤上でプレイする将棋、その名も「9マス将棋」が発売された。日本将棋連盟監修・推薦、青野照市九段考案という由緒正しき商品である。


本来、将棋の盤には81のマスがある。9マスはその1/9であり、これは三目並べ(○×ゲームなどとも言う)のマス数と同じである。言うまでもなく、相当狭い。こんな窮屈な将棋って面白いの? というのが、やる前の正直な感想だ。

「9マス将棋」の遊び方


「9マス将棋」の遊び方はこうだ。

プレイヤーは、まず全40通りの初期配置パターンから1つ選び、駒を配置する。持駒はある場合もあるし、無しの場合もある。「入門」から始まり、「初級」「中級」「上級」と、難易度は徐々に上がっていく。

基本的なルールは、普通の将棋と一緒だ。自分の駒を進め、王を詰んだ方が勝ちとなる。しかし、9マスになっていることで、異なる点もある。駒が「成る」ことのできる場所だ。

普通の将棋の場合、盤の手前から三段目までを「自陣」(自分の陣地)、相手側にとっての手前三段目までを「敵陣」(敵の陣地)とする。駒が「成る」には、敵陣に駒を入れねばならない。一方、「9マス将棋」の場合は、敵陣にコマを入れて「成る」のは一緒だが、自陣も敵陣も「手前一段」となっている。

なお、持駒を敵陣に打った場合、次に動く時に成ることができるのは、普通の将棋と同様である。

まずは「入門」編から


では、じっさいにプレイしてみよう。まずは簡単な「入門」より、以下の初期配置を。



このパターンなどは、最初に〔香〕をここ(1三)に打ちさえすれば、以降の駒の動きは、動画のもの以外あり得ない。つまり、「答え」のある配置と言えるだろう。じっさい、「入門」に関しては、付属の「遊び方ガイド」に正解手順が掲載されている。

「初級」以降は、こうした答え合わせはないので、将棋初心者は、まずここをやり込んで感覚を掴むのがよろしいかと。

やはり「上級」は手強かった


久しぶりに将棋を指す筆者のような人間でも、「初級」あたりまでは、わりあいサクサクと進む。しかし、「中級」以上になるとそうもいかない。適当に駒を進めようものなら、打つ手を無くして行き詰まってしまったりする。

例えば、以下はもっとも難しい「上級」の初期配置の1つ。配置図には「〔角〕の打ち場所を発見できるかが、勝つポイントです」とアドバイスが添えてある。つまり、自分の持駒である〔角〕をどこに打つかで、その後の流れが大きく変わるということだろう。

まずは、初手を「2二角」(ど真ん中に〔角〕を打つ)としてみた。



負けた。同じ手でいろいろ試してみたが、再び負けるか、グズグズな展開になり「ダメだこりゃ」と諦めた。

では、初手「3一角」(1番左上に〔角〕を打つ)ではどうか。再び挑戦。



いろいろ試した感じでは、これで一応「こちらの勝ち」と言ってよいかと思われる。相手側がもうちょっと延命する展開もあったが、結果はほぼ一緒だった。もっとも、将棋に明るい方であれば、より良い手を思いつかれるかもしれない。その際はご容赦いただきたい。

<追記>
……なんてことを書いていたら、この記事がアップされるやいなや、エキレビ!ライターの大山くまおさんから、ツイッターでこんなメンションを頂戴した。
「最後の動画、3手目、2二角成で詰みじゃない?」
ほ、本当だ……。せっかく動画を撮るんだからと、ちょっとでも試合を長引かせようとして、無意識のうちに敵を延命させようとしていたようである。あらゆるパターンを試したつもりだったが、ぜんぜんまだまだだった。たった4つの駒しか使っていないのに……やはり将棋は奥深く、難しい。

9マスの醍醐味


駒が配置された状態から、王手の連続で相手の玉将を詰める「詰将棋」という遊びがある。いきなり王手から始まる助走ゼロな感じも含めて、「9マス将棋」に近いものを挙げるとすれば、ソレだろう。

大きな違いは、「詰将棋」は一方的に攻めるゲームであって、プレイヤーには守るべき〔王〕がいないこと。「9マス将棋」では、通常の将棋と同様に、自分が詰まれないようにしながら、相手をやり込める必要がある。

<追記>
筆者は、普通の「詰将棋」しか経験がないのだが、「双玉詰将棋」という、双方の〔玉〕が配置された詰将棋も存在することを、やはりツイッターでご教示いただいた。ありがとうございます(お恥ずかしい……勉強になりました)。

また、普通の将棋と同様に81マスで展開する「詰将棋」と違って、「9マス将棋」は、戦いの場が異常に狭い。そこで繰り広げられる至近距離での詰みつ詰まれつの戦いは、まさに駒同士の肉弾戦と呼ぶにふさわしい。

また、〔王〕の配置や持駒を変えることで、さまざまなバリエーションを作ることも可能だ。「遊び方ガイド」に掲載されている40パターンをやり尽くしたら、自作にも挑戦してみたい。

なお、対戦を前提に作られているゲームだが、「詰将棋」のように、充分1人でも遊ぶことができる(現に筆者は1人でプレイした)。夜、酒でも飲みながらダラダラと楽しむのも一興かと。もっとも、いきなりクライマックスから始まるゲームにつき、少々慌ただしいかもしれないが。
(辻本力)