正義の密告のつもりでも……。

働く女性にまつわるSNSのビジネスマナーについて解説している、8月の女子マナー診断。最終回は、勤務中のSNS投稿についてです。

質問者はPR会社に勤める三崎純子さん(仮名 29歳)。「同僚のブログが昼間にアップされています。内容は化粧品のことや、その日に食べたレストランのメニューなど、勤務にまったく関係ないもの。完全にサボりだと思います。怠けている人がいると部内の雰囲気も悪くなるし、仕事に支障がでます。でも、直接本人に言えば、人間関係が悪くなるような……。総務に報告すべきなんでしょうか」

鈴木真理子さんに教えていただきましょう。

本人に直接伝えるのがベター

業務委託などで、成果物、納品物で報酬を得ている雇用形態の場合は、締め切りさえ守ればどのように時間をやりくりするかは本人にゆだねられます。しかし、正規雇用でも、非正規雇用でも、拘束されている時間の対価としてお給料をもらっている立場、勤務時間中に仕事と関係ないことをしているのはいけませんね。

その方は、パソコンでSNS投稿しているのでしょうか。そうであれば、本人は仕事に精を出しているように見えるのでバレないと思っているのかもしれません。それとも、こっそりトイレや外出中にスマホなどから投稿しているのでしょうか。いずれにしても、給料泥棒と言われてもしかたがない行為です。

しかし、いきなり総務部に言うのは密告のようでおすすめできません。総務から上司に連絡が入れば、上司の監督不行き届きということになり、上司に恥をかかせてしまいます。そうなれば、誰が密告したのかという犯人探しが始まり、どんどん事が大きくなって、最悪、あなたに責任がのしかかることも……。

もし、三崎さんが直接、その相手に言える関係を築いているとすれば、本人に「ばれているよ」と教えてあげるのがベストです。相手が先輩などで、言いにくいときには、まずはあなたと年齢の近い、話しやすい先輩に相談してはいかがでしょうか。

できるだけ投稿者の傷跡が小さくて済むように対応してあげてください。いずれあなたが感謝されますよ。

本当に勤務中に投稿しているの?

いきなり総務部に言ってはいけない理由がもうひとつあります。それは、SNSには、投稿予約ができるシステムがあるからです。

三崎さんは、その方がSNSを「実際に投稿している」現場を見たのでしょうか。質問には「勤務時間中に投稿されている」と、インターネットに表示されたものに気づいたように書かれています。でも、それは、投稿予約によってアップされたものかもしれませんよね。また、お昼休み時間だったらどうでしょう。彼女のSNS投稿が、“勤務時間中”でない可能性も大いにあります。

総務部が調査に乗り出し、本人に確認したりなどと始まったときに、もし、三崎さんの誤認だったら? それこそ恥ずかしい思いをするのは三崎さんです。

先週も、「人のことが気になるのは自分が満たされてないせいかも」とお話させていただきましたが、三崎さんが彼女のプライベートの行動を「目に余る」と感じるのは、うらやましいという気持ちが働いていませんか。総務部に報告すべきかという相談には、彼女の足をひっぱってやりたいという気持ちが見え隠れしているような……。

意地悪な気持ちでいると、あなた自身の心もすさみ、おブスになってしまいます。同僚の方なんですから、チームですよね。一緒に向上して一緒にハッピーになる、そんな気持ちで仕事に取組み、職場の雰囲気をよくしていってください。



■賢人のまとめ
ことを荒立てないためにも、本人に忠告すること。その場合もあなたが不快に思っているということを伝えるのではなく、「ばれているよ」など、相手のためにこっそり教えてあげたたという気持ちを伝えて。そうすれば、あなたの誤認だった場合のリカバリーも簡単です。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『もう必要以上に仕事しない!時短シンプル仕事術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部に迫るヒットとなる。 

(株)ヴィタミンMサイトhttp://www.vitaminm.jp/