西田栄喜(にした・えいき)   菜園生活「風来」(ふうらい)代表。大学卒業後、バーテンダーとなる。その後、ビジネスホテルチェーンの支配人業を3年間勤務。その後帰郷し、1999年、知識ゼロから起農。小さなビニールハウス4棟、通常農家の10分の1以下の耕地面積である30アールの「日本一小さい専業農家」となる。3万円で購入した農機具などで、50品種以上の野菜を育て、野菜セットや漬物などを直売。生産・加工・販売を夫婦2人でやりながら、3人の子どもたちと暮らす。借金なし、補助金なし、農薬なし、肥料なし、ロスなし、大農地なし、高額機械なし、宣伝費なしなど、“ないないづくし”の戦略で、年間売上1200万円、所得(利益)600万円を達成。基準金額95%未満でも105%超でも反省する「売上基準金額経営」を実践。地域とお客さんとのふれあいを大切に、身の丈サイズで家族みんなが明るく幸せになる農業を行う。著書に『小さい農業で稼ぐコツ』がある。【風来HP】http://www.fuurai.jp/

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借金、補助金、農薬、肥料、ロス、大農地、高額機械、宣伝費ぜんぶなし!
しかも、夫婦2人、初期投資は143万円だけ!
なのに、年間売上1200万円、所得(利益)600万円も「幸せに稼いでいる」人物が、石川県能美市にいるという。
それを聞いた本紙記者は、初めて北陸新幹線に乗り直行!東京から金沢まで約2時間半、そこから在来線で30分。そこにそびえ立っていたのは……
ビニールハウス4棟、サッカーコートの半分、通常農家の10分の1の耕地面積=たった30アールしかない「日本一小さい専業農家」で、「菜園生活 風来(ふうらい)」代表の西田栄喜氏(48)。
かつてオーストラリア中をオートバイで走っていた西田氏は、元バーテンダー、元ホテル支配人だったという。
いま、風来では「怪現象」が起きている。
それは、2000円の野菜セットに送料2800円(沖縄)出す人もいて、野菜セットは「3週間待ち」というのだ。
日本海を臨む「日本一小さい農家」で、いったい何が起きているのか?
『農で1200万円!――「日本一小さい農家」が明かす「脱サラ農業」はじめの一歩』がいよいよ発売される著者に、「日本一小さくても幸せに稼げる農の秘密」を聞いた。

農業でも「幸せに稼げる」時代

「農業は最も幸せに稼げる仕事である!」

 これが1999年に起農して以来の実感です。

 ただこんなことを大っぴらに言うと、

「そんなに甘いもんじゃねえ」

 という声がたくさん聞こえてきそうです。

 実際、私が農業を志したとき、周囲の人たちからも、

「資金も経験もない素人には無理だろう」

 と散々言われたものです。

「脱サラ農家」の3大ポリシー

 資金も経験も広い土地もない私が、脱サラして農家になるときに決めたことは、

●農業の「固定概念」を捨てる
●しっかり「稼ぐ」ことを考える
●農業は目的でなく「手段」である

 ということです。

 農業は農産物を育てて売るだけという固定概念から脱却し、農業は田畑を舞台として何をしてもいいと考えると、可能性は無限に広がります。

 そして、しっかり稼ぐことを考える。これは、当たり前のようですが、農業の場合、自然まかせ、市場まかせと、外部要因にゆだねているところが意外に多い。
 これでは稼ごうにも稼げません。
 いかに自分主体にしていくかを考える。そして農家になった目的は、幸せになるということ。ここはブレない。

「ないないづくし」でストレスなし!

 そうしてきたところ、

●“借金なし”……起農資金を含め一切借金なし
●“補助金なし”……行政に一切頼らなくてもやっていける仕組み
●“農薬なし”……当初から農薬を使わない農法を実践
●“肥料なし”……途中から無肥料栽培に切替え
●“ロスなし”……予約販売、加工で野菜のロス(廃棄)がほぼない仕組み
●“大農地なし”……通常農家の10分の1以下の耕地面積の「日本一小さい専業農家」
●“高額機械なし”……3万円で購入した中古の農機具がメインプレーヤー
●“宣伝費なし”……これまで一度も有料広告を出したことがない

 と、これまでの一般的な農業ではありえないことに……。

 そして、こんな“ないないづくし”のおかげで「ストレスもなし」。

 対して、今の農業の常識と言えば……

「農業は儲からない」
「農業を始めるには、農機具・設備費など莫大な資金が必要」
「補助金がないと成り立たない」
「農業技術を習得するには時間がかかる」
「広い土地がないと無理」
「人手が必要」
「天候により収入が不安定」
「自然相手なので休みがない」

 など固定概念でいっぱいです。

 農林水産省の「農業経営統計調査」(2011年)によると、専業農家の平均年収は200万円、初期投資に約1000万円、兼業農家も含め日本の農家の平均耕地面積は2.27ヘクタールと言われていますが、専業農家で食べていく場合は稲作農家で20ヘクタール以上、畑作農家で3ヘクタール以上必要だと言われています。

 これだけ見ると、農家になるのは敷居が高く、実際なったとしても、続けていくのが大変と思われても仕方ありません。

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