武藤嘉紀(撮影:岸本勉/PICSPORT)

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8月29日、日本代表には多くの選手が合流した。本田圭佑、岡崎慎司、吉田麻也、酒井高徳、武藤嘉紀だ。この5人は軽めの別メニュー。また、長谷部誠と香川真司もさらに別のメニューをこなした。まだ合流していないのは、清武弘嗣と原口元気で、試合前々日にやっと全選手が揃うことになる。

そんな別メニュー組が多かったせいか、この日は冒頭15分だけを公開する予定が練習開始3時間前に急きょ全部公開されることになった。そしてメニューはドリル的な要素が多く、戦術的な動きはなかった。つまり、日本代表は試合前2日間だけ戦術を確認し、初戦のUAE戦に臨むことになる。

そんな時間がないためだろうか。疲労回復メニューだけと推測されていた酒井高と武藤は、ゆったりとしたペースではあったが酒井高が左サイドからクロスを上げ、武藤が中央でフィニッシュするトレーニングも行った。その中のクロスの一本が、武藤が想定しているよりも体の後ろに流れた。

すると武藤は一度ボールに背を向けるように180度回転し、かかとでゴールに蹴り込んだ。柔らかなタッチの美しいシュートだったのだが、これをヴァイッド・ハリルホジッチ監督は見逃さなかった。

すぐさま武藤の側に近づき、自分の体の後ろに来たボールをボレーする動きを自らやってみせる。どうやら武藤のプレーが実践的ではないと思ったのだろう。武藤は神妙な面持ちで話を聞き、再びトレーニングに戻っていった。

生真面目、真剣、そしてピリピリムードというハリルホジッチ監督の様子がわかる一幕となった。

【日本蹴球合同会社/森雅史】