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●プロジェクタとケーブルレスで手元のPCを接続する方法
毎日、どこかのオフィスで必ず行われているであろう会議。規模の大小はさまざまだが、大規模な会議になればなるほど、参加者の数は増し、場合によっては、発表者それぞれが登壇するたびに自分のPCとプロジェクタを接続する作業を行い、その間、ほかの人はボーっとして待ち、時間の無駄だよなぁ、と思った経験は誰にでもあると思う。

また最近のノートPCは機種によって、外部出力がHDMI、mini/micro-HDMI、VGAなどと多岐にわたることもあり、接続のために変換ポートが必要だったり、VGAケーブルはあるがHDMIケーブルがなくて、あたふたしたり、手元のPCには追加の情報があるんだけど、わざわざそれを知らせて、プロジェクタに写すために手間をかけるのもな、と思った経験は1度や2度はあるはずだ。とかく、会議にまつわるこうした準備は意外と面倒で、本来、交わすべき議論の時間を奪うことにもつながる。

実は、そんな手間を省き、複数のプレゼンを一気に写すことを可能にする技術がある。Intelが「Unite」と呼ぶソリューションだ。まさに会議を円滑化するためにIntelが開発したもので、今回、同社から編集部の会議用に、一式をお借りすることができたので、その使い勝手の検証を行ってみた。

○Uniteの概要とソリューションの構成

まずは、Uniteそのものの説明をもう少し詳しくしておこう。UniteはWindowsを搭載した小型PCを「HUB(ハブ)」としてWi-Fiルータ(アクセスポイント:AP)およびプロジェクタと接続しておき、それと「Uniteソフトウェア」と呼ぶHUBと連携するソフトをインストールしたクライアントPCで構成され、発表者は手元のクライアントPCからHUBを経由してプレゼンを行うこととなる。また、別のクライアントPCが割り込んで、プレゼンをスクリーンに並べて表示したり(最大4つのPCからの同時表示に対応。手元のクライアントPCにプレゼンを表示するだけなら20台程度までであればパフォーマンス的には問題ない)、プレゼン資料に線を引いたりすることも可能なほか、ファイルの共有も可能だ。

HUBの対応OSはWindows 7/8/8.1/10で、vProテクノロジーに対応している必要がある。とはいえ、現状、Intelおよび同社のパートナー企業からUniteのHUBとしてのソフトウェア(Intel Unite Hub)がセットされた小型PCを購入する必要があるので、ユーザーはそれほどハードウェアの性能を気にする必要はない(今回のレビューではNUCを借りたが、DellやLenovo、HPなどからも対応ソリューションが提供されている)。ちなみにかかるコストはこのHUB用PCの購入費用程度で、ソフトウェアを別途購入する必要などはない。

またクライアントPCとしても、Windows 7/8/8.1/10およびMac OSX10.9以降に対応している機種であれば、vProテクノロジーに対応している必要もないので、ほぼ性能は気にする必要はない(1GB以上のRAMと1GBのストレージの空き容量が必要程度)。そのほか、使用するAPにしても、基本的にはどのようなものでも対応は可能だ(今回のレビューでは、バッファロー製のWi-Fiルータ「WCR-1166DS」をお借りした)。今後はAndroidプラットフォームやiOSクライアント、Google Chromeブラウザなどのサポートも行われる予定だという。

○利用前の下準備

UniteではケーブルでPCとプロジェクタをつながない代わりに、Wi-Fi(有線も可)でHUBとクライアントPCを接続して利用するので、そのための設定を行っておく必要がある。最初に設定するのはHUBとなるが、今回のレビューでは、すでにHUB側のソフトのインストールおよびセッティングを終えた状態でお借りしたこともあり、詳細な設定手法については割愛させていただくが、簡単に説明すると、Unite Hubのインストーラを起動し、8桁以上の共有キー(Shared Key)を決定しつつ、出てくる手順に沿って設定を進めていくだけ、とそれほど面倒なことはない。はじめて使うとき、デスクトップにあるUniteのアイコンがクリックして立ち上げると、共有キーの入力が求められるので、決めておいた8桁以上の文字数列を入力することで、使えるようになる。

一方のクライアントPCは専用ソフト(Intel Unite Client)をインストールしておくだけで良い。1つ注意点は、専用ソフトをどうやって入手するか、ということ。実はHUB側が有しており、HUBのUniteを起動した画面上に記載されている「Download From」という項目に記載されているアドレスをHUB側のブラウザで入力してダウンロードするか、実際にインストーラが置かれているフォルダからコピーして、各クライアントPCにインストールする必要がある。ちなみにインストール時にHUB側で決めた共有キーの入力を求められるのだが、ここで間違えてしまったとしても、Uniteの設定画面(6桁のPINコード入力画面の右下の歯車のアイコンをクリックすると立ち上がる)の「共有キー」に正しいものを入れなおしてやることで、HUBと接続することができるようになる。ちなみにこの方法は、ほかのUniteのHUBに接続する際にも利用できる。

●Intel Uniteの実際の使い勝手は?
○実際に使ってみた

HUBとクライアントPCの設定が終わったら、実際に使う段となる。その手順を確認してみよう。

まずはHUBのデスクトップ上に配置された「Intel Unite」のアイコンをクリックしてHUB側のソフトを起動。

すると、初めての起動の場合、先だって決めた8桁以上の共有キーの入力が求められ、それを入力することで、前述したクライアントPC用インストーラのダウンロードアドレスのほか、HUBへアクセスするための6桁のPINコードと8桁以上の共有キーが表示される。

HUBをこの状態としつつ、クライアントPCの「Intel Unite」のアイコンをクリックして起動すると、「画面への接続」としてPINコードの入力が求められるので、HUB側に表示されている6桁の番号を入力して少々待って、「準備完了」と表示されれば、後は使うだけだ。

実際の使い方としては、「共有」を押すとクライアントPCの画面がプロジェクタに表示されることとなる。

ここまでが1人で発表する場合であるが、会議では、複数人が発表したり、追加の資料を提示したり、Webサイトを確認したり、といったことも多々ある。Uniteでは最大4台のクライアントPCの画面を同時に表示することが可能なため、いちいちプレゼンと資料の画面を遷移させたり、別のPCに繋ぎかえる、といった作業を経ることなく、シームレスにそれらを閲覧することが可能だ(同一ネットワーク上にアクセスできる数は20台程度ともっと多い)。

また、実際にプレゼンをしているクライアントPCから、「引継ぎ」を押すことで、別のクライアントPCがプレゼンの主導権を握ることも可能なため、各自から資料を集めて1つのパワーポイントにまとめるといった手間や、発表者が入れ替わるたびにケーブルの抜き差しをして個別のPCに繋ぎかえる、といった手間を省くことができる。

さらに、「プレゼンテーションの表示」機能を用いると、プロジェクタに映し出されているプレゼンに対し、4色のラインマーカーを用いて、重要なところなどを目立たせることができる注釈機能が利用できる(描いた線はプレゼンで使用しているクライアントPCの上部にある設定画面の「注釈を維持」にチェックを入れるとそのまま残せるほか、「リモート注釈を有効にする」をオフにすると、他のPCからの書き込みを不可にすることもできる)。ちなみに、この機能、Macでは対応していないので、Macユーザーは注意が必要だ。

このほか、「ファイルの共有」機能を活用することで、追加資料などをその場で配布することも可能だ。配布された側は、「ファイルの共有」のアイコン上に共有されたファイルの数が表示され、実際にダウンロードを行うと、「受信したファイル」というフォルダがデスクトップ上に作成され、その中に送られてきたファイルが格納される(この機能もMacでは対応していない)。

○Uniteが日本で流行る可能性を考える

実際にUniteのソリューションをセッティングから、会議での利用まで一通り使ってみたが、使い方が分かっていれば会議でのケーブル周りを気にしなくて済むので楽になる、というのが実直な感想である。というのも、このソリューション、実は日本語化された情報が非常に少ない。結構なページ数のユーザーガイドをIntelは提供しているのだが(パートナー企業のWebサイトからでも入手可能)、現状、筆者が確認した最新版であろうバージョンに至っても英文のみのままであり、細かい使い方や設定方法はこれを読み解いていくか、直感的に使って試すか、といったところである。

確かに、とりあえず使ってみる、というレベルであれば、マニュアルの有無を気にしないで使える完成度であるし、付属している簡単な日本語のマニュアルでそこまでは何とかたどり着けるので、ほぼ問題はないとも思えるが、上述したような各種機能を活用したり、設定を変更するといった、使いこなす、というためにはやはり少なくともユーザーガイドを読み解く必要があるが、英語の数十ページにおよぶ文章を読むのに抵抗を感じる人も少なくないだろう。

そう考えると、企業内で会議の準備や、会議中のPCの切り替えなど、面倒だと思っている人は少なくないだろうが、そうした人たちがそこまでして無理にUniteを入れて手間を省こう、とは思えない。英文のユーザーガイドを読み解く労力をかけるくらいなら、ケーブルの抜き差しをした方が楽、と思う人の方がおそらく多いだろう。使ってみた側からすればUniteは、会議として確保された時間を真に会議する時間としてフル活用するする上では、それなりに良いソリューションとも思えたが、使う人を増やすためにも、やはりユーザーガイドの日本語化など、ハードルを下げていく必要があるのではないかと感じた。

(小林行雄)