第一印象について語る植松晃士氏

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 世の中のオバさんたちに健康かつ美しく生きていくために、ファッションプロデューサーの植松晃士さんがアドバイス。今回は、“外見”と“第一印象”について語ります。

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 皆さま、ご機嫌よう!

 まだまだ厳しい暑さが続く毎日。ハンカチで額の汗を押さえつつ街を歩いていると、「こう暑いとおしゃれなんて、どうでもいいわ」という呟きが聞こえてきそう。

 前回は帝国ホテルで見かけた素敵なマダムのお話をいたしましたが、実はあの日、ほぼ同時進行で“どうでもいいわ軍団”にも遭遇しておりました。

 ロゴ入りのTシャツに芥子色のズボン。足元はスニーカーとも呼びにくい紐靴。「あら、探検家?」と言いたくなった枯葉色の帽子をかぶり、ポシェットを斜めがけ。そしてドスドスと歩く様は、帝国ホテルの雰囲気にマッチしていたとは、お世辞にも言い難いものでした。

 年齢はせいぜい50代後半くらいでしょうか。張りのある大きな声でお話しするので、すれ違う人は思わず振り返って見ていました。

 一方、私が心の中で「和製ココ・シャネル」とお呼びした素敵なマダムは多分、80才を超えていたと思います。黒のシルキーなブラウスを同色のタイトスカートに合わせ、足元は3cmくらいのローヒール。長めのパールのネックレスをしていらしたのが印象的でした。

 年齢的にはマダムのほうがひと世代上。この現象を見てもよくわかるように、女性のおしゃれ心の崩壊は、年齢ではないんです。

 80才を超えても、「女性として美しくありたい」と思うかたは美しく、たとえ50代でも、「もうどうでもいいわ」という気持ちがファッションに表れてしまった女性は、それなりに老いていくのが、現実でしょう。

 それにしても姿かたちも言動も、どうでもいいように見える女性たちは、何を考えているのでしょう。

 東京の帝国ホテルに観光に来ているのですから、多分、お体はまだまだお元気なはず。もちろん「旅先だから」という理由もあるのかと思いますが、それを差し引いても、ロゴTシャツにズボン姿は、あり得ないと思うのですよ。

 だって、後ろ姿だけ見たら、オジさんかオバさんか見分けがつかないんですよ。あの姿で年齢を重ねながら、今後の余生を生きていかれるのかと思うと、他人事ながらとても悲しい気分になります。

 実は私、少し前にフェイスブックで拝見した動画に衝撃を受けたんです。それはユニセフが、あるひとつの社会実験を行った動画です。実験とはひとりの少女にきれいな格好と汚れた格好をさせて、それぞれ路上に立たせ、街を行き交う大人が少女にどんな反応を示すかを調べる、というものでした。

 結果はきれいな格好をしているときには、大人たちは「お母さんは?」などと少女に声をかけ、心配してくれるのですが、同じ少女に汚れた格好をさせると、大人の態度はとても冷たく、彼女を気遣ってくれる人はいませんでした。実際の実験では、人々のあまりの冷たさに少女は泣き出してしまいました。

 身なりで、人を判断してはいけないというのは、正論です。正しい考え方です。でも第一印象では、外見がものをいうのは紛れもない事実。その人を判断するたったひとつの情報ですもの。

 もしもあなた自身が汚れた格好ときれいな格好を選べる境遇にいるのなら、人々の親切を引き出すきれいな格好をしていたほうがいいに決まっています。これからの高齢化社会に向かって、「まあ、かわいいおばあちゃん!」と思われるようになりましょうよ。

 オバさん、万歳!

※女性セブン2016年9月8日号