『日本の豆ハンドブック』長谷川 清美 文一総合出版

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 おめでたいときに好んで食べられる"お赤飯"。この赤飯の豆といえば一般的に小豆が使われますが、地方によっては小豆以外の豆を入れるところもあるのだとか。

 たとえば、小豆は煮たり蒸したりすると、腹が割れてしまうことがありますが、それが切腹を連想させることから、関東を中心に腹割れしにくい大角豆を使う地域が多いそう。大角豆は小豆とよく似ているものの、へその周りが黒いのが特徴だといいます。

 あるいは北海道では、"十六ささげ"という大角豆を入れたり、金時豆の甘納豆を入れる赤飯も。さらに秋田県湯沢市は"てんこ小豆"、新潟県妙高周辺では"赤飯ささげ"というエンドウ、広島県安佐北区白木町では"ゴキネブリ"、大分県宇佐市では"赤みとり""黒みとり"といったように、各地方によってさまざまな豆が赤飯に使われているそうです。

 ちなみに小豆は、幼い子どもの麻疹や風邪が無事に治った際、神様への感謝として、小豆の入ったおにぎりを桟俵(米俵の両側に当てる藁の蓋)に載せて橋のたもとに置くという使われ方もしていたとか。こうした習わしからも、小豆は祭礼行事に欠かせない神様とつながる豆だと考えられていたことが伝わります。

 日本のハレ食の代表ともいえる小豆。一方で弔事の際には、白いんげん豆を使う地域が多いともいいます。

 茨城県常陸太田周辺の白いんげん豆は、"白蒸かし"と呼ばれる葬儀のおこわに。蒸かしたもち米に入れるのだそうです。

 あるいは岐阜県飛騨市山の村集落では、鎌倉時代から作り継がれている"白たまご"という地の色が透き通るように白い球形のいんげん豆が、弔事のためだけに各家でいまも作り続けられているそう。皮が破れないように煮る秘伝の方法で甘煮にし、精進お膳の真中に添えるのだといいます。

 本書『日本の豆ハンドブック』では、こうしたさまざまな豆を写真付きで紹介していきますが、もし本書で気になった豆を実際に購入した際には、冷凍、冷蔵保存がオススメ。虫の発生を防ぎたいのならば10℃以下の冷蔵保存を、虫に加え乾燥を防ぎ鮮度をも保ちたいのであれば冷凍保存をするのがもっとも良い保存方法なのだそう。

 インターネットをはじめ、各地方の道の駅や直売所などでも購入できる豆の数々。多くの豆は秋頃に収穫されるため、その頃を狙って道の駅巡りをすると新たな豆との出合いがあるかもしれません。