準備を怠ると大変なことになりかねない(写真はイメージ)

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毎年恒例の「24時間テレビ『愛は地球を救う』」(日本テレビ系)で2016年8月27日から28日にかけ100.5キロマラソンを完走した林家たい平さんだが、「慢性化している」という右ひざ痛持ちだ。ツイッター上ではたい平さんのひざの悪化を心配する声が上がっている。

不慣れな長距離走には健康リスクがつきまとう。特に、持病を持っている人の場合はどんな準備が求められるだろうか。

膝トラブルの原因は走るのに必要な筋力がないから

マラソン挑戦発表後に開いた16年5月29日の会見で、たい平さんは「正座すると右ひざが痛く、数年前からサポーターを巻いている。もし痛めたら本業の落語にも影響してしまう」と、ひざへの懸念に言及。トレーニング中の姿を取り上げた8月2日放送の「スッキリ!!」(日本テレビ系)でも、「ひざはもう慢性化しちゃってる。うまく付き合いながらゴールする」と気を遣っている様子だった。

8月28日、たい平さんは無事100.5キロを完走。ゴール後もしばらく立ったままで出演者と話していたが、ツイッター上では「膝の故障が心配」「膝をお大事にして下さい」「無事でありますように」といった声が多く出た。

もともとランニングはひざに負担がかかる。まつだ整形外科クリニック(埼玉県熊谷市)の松田芳和院長は同院のブログで、「歩く際に膝にかかる負担は体重の約3倍、階段の昇降やランニングでは体重の5〜6倍かかる」と体重に比例して負担が増していくと指摘し、「肥満になれば膝にかかる負担は増えていきます」と述べている。

ひざに持病を抱える人が長距離マラソンにトライする場合、十分な備えが必要だ。日本体育協会公認アスレティックトレーナーの西村典子氏は、11年5月8日付の生活情報サイト「オールアバウト」の記事で、ランニングによるひざへの負荷に対する準備の仕方を述べている。ポイントは「一気にたくさんではなく、少しずつ体を慣れさせる」。膝トラブルの原因は、走るのに必要な筋力がないためだとし、スクワットや爪先立ちによる下半身の筋力トレーニングをすべきだという。また、運動前後のストレッチは柔軟性を高め、ひざ関節への負担を軽くするという。実際に走るときも、5〜10分程度から始め、ウオーキングも織り交ぜて少しずつランニングの時間を増やすよう勧めている。

準備ゼロで東京マラソン走り心筋梗塞

2007年の24時間マラソンでは、萩本欽一さんがランナーを務めた。当時66歳という高齢でヘビースモーカーでもある萩本さんが酷暑の中で長距離を走る点を挙げ、医師がつくる「日本禁煙学会」が、「医学的に見てきわめて非常識である」とした。

とは言え24時間テレビのマラソンランナーは例年、専属トレーナーのもとで数か月かけてトレーニングを積む。こうしたバックアップが何もない状態で、健康に不安を抱える一般ランナーがいきなり「無謀な挑戦」をしたら、命に関わる事態になりかねない。

その例と言えそうなのが、09年に東京マラソンを走ったお笑い芸人の松村邦洋さんだ。走っている最中に心筋梗塞で倒れ、救急車で搬送された。倒れた直後の応急処置が適切だったため後遺症も残らずに回復できたものの、16年4月4日放送の「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系)に出演した松村さんは、「まったく運動しないでマラソンに挑んでしまった」と、楽観的に考えていた自分を反省していた。

熊本日日新聞(電子版)の11年12月13日付記事によると、スポーツ中に突然死する人は年間130人程度おり、最も多いのが「ランニング」の25%強。多くは不整脈や心筋梗塞による心停止で、準備運動不足やラストスパートでかかる心臓への急な負荷が原因と考えられるという。記事の中で熊本大学大学院の伊藤雅浩講師(生体機能学)は、安全のため、最大心拍数の目安(220から年齢を引いた数)を知っておき、脈拍を上げすぎないように走る速さを管理するのが大切だと話す。練習中も「主観で判断せず、最大心拍数の目安の85%を超えないよう心掛けてほしい」と呼びかけている。