レストランの客席をそのまま舞台セットとして使用

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食事を楽しみながら演劇を鑑賞する、新しい形のエンターテインメント「劇メシ」が、この夏、注目を集めている。劇場ではなくレストランをステージとして、観客と同じ目線で繰り広げられる、約60分間のストーリー。その魅力を探るべく、8月27日に千秋楽を迎えた第2弾公演「あさきゆめみし 恋は化学!?」を、記者が体験してきた。

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今回お邪魔したのは、東京・原宿にある、ハワイアン&メキシカン料理レストラン「アロハアミーゴ原宿」。ここの2階を貸し切って、「あさきゆめみし 恋は化学!?」が上演された。店内奥の階段を上り、2階のダイニング席へ。正直なところ、「ここで本当に演劇が?」と、一瞬とまどいを覚えた。中央にややスペースがあるものの、普通のレストランと何ら変わりはない。照明や舞台セットなども、一切見当たらないのだ。

「皆さんが日常の中で足を運ぶ、食事の場であるレストランに、演劇を持っていこうと考えました」と話すのは、本作の協力プロデューサー、小宮誠さん。一部の演劇ファンを除き、劇場へ足を運ぶことに敷居の高さを感じる人も多い。「ぜひ1度、芝居に生で触れる体験をしていただければ」とアピールする。

映画を製作していたチームで演劇を始めようと思い立った時、何か新しいフォーマットをつくりたいと考え、誕生したのが「劇メシ」だという。映像とも違う、演劇とも違う「劇メシ」の魅力を、小宮さんはVR(仮想現実)に例える。

「7月に上演した第1弾の公演では、ステージを設けずに店内360度、すべての空間で芝居を行いました。8月はそこから少し形を変え、お客様が中央のステージを360度囲むスタイルに。どちらも、席によって役者の表情や見える景色が異なる点が、劇メシの面白さだと思います」

小宮さんの話を聞き、ますます楽しみになってきた記者。第2弾公演のチケット代には、軽めの料理2品とドリンクが含まれており、着席するとスタッフが各テーブルに運んできてくれる。もちろん上演中に飲食することも可能だが、開演前と終演後の時間に食事を楽しみ、上演中は芝居に集中する人が多いという。記者もお酒と料理を味わいながら、開演までの時間を待つことに。

せっかくなので、「劇メシ」と「アロハアミーゴ原宿」のコラボメニューも注文してみた。同店の看板メニューであるメキシカン揚げクレープ「チミチャンガ」にアレンジを加えた「あさきゆめミチャンガ」は、ベリーやマンゴーを添えることで、恋する女性の気持ちを表現した一品。

パッションフルーツとバナナを使ったトロピカルドリンク「コイ・バナ」は、その名の通り、甘酸っぱい恋をイメージして作られているという。今回の演目「あさきゆめみし 恋は化学!?」は、婚活がテーマの話というだけあり、乙女心をくすぐるラインアップだ。見た目もキュートで、甘く華やかな味わいを楽しめた。

食事も大方食べ終わり、一息ついていたその時、店内に大きめの音量で音楽が流れ始め、いよいよ芝居がスタート!アナウンスがあるわけでもなく、照明が落ちることもない。スッと日常に演劇が降りてくる、不思議な感覚を覚えた。ストーリーの中に、自分も自然と入り込んでいくようだ。

物語は、恋に夢見がちな“歴女”の言栄と、結婚を戦略的に掴み取ろうとする“リケジョ”の理子が、婚活に参加すべくカフェにやってくるところからスタートする。どこか様子のおかしいイケメン・柏木と、童顔のアニオタ・光輝も登場し、奇想天外な恋の駆け引きが繰り広げられる、というものだ。

個性豊かなキャラクターと、テンポよく畳み掛ける台詞、随所に散りばめられたユーモア、役者陣の高い演技力に、すっかり魅了されてしまった。ストーリーの中で、観客にアドリブで話しかける場面もあり、通常の舞台にはない一体感も面白い。自分も参加しているような感覚があるからこそ、舞台の持つ“生もの”の良さが、よりリアルに伝わってくるように感じた。上演中は何度も声を上げて笑い、「一体誰と誰が結ばれるの!?」と最後までワクワクが止まらない!間近で見る役者の表情も迫力があり、大満足の60分間だった。

今回見逃してしまった方のために、9月11日(日)からスタートする次回作「CHOOSE DAY」の情報をご紹介!「劇メシ」第3弾は会場を東京・渋谷の「神南軒」に移して実施。なんと、料理の提供スタイルをビュッフェ形式に変更するという。チケット代は6760円と、第2弾公演より少し割高になるが、今まで以上にしっかりと食事も堪能できるはずだ。

記者が鑑賞した第2弾はコメディだったが、第3弾は「選択」をテーマとしたヒューマンドラマ。8人の男女が、悩みながらも結婚や恋愛、仕事、家庭などの選択を重ね、人生を歩んでいく物語だ。「観たら泣いてしまうと思います」と、小宮さん。チケットは「劇メシ」で検索の上、公式サイトから予約できる。感動必至のストーリーと、人気店のビュッフェが融合した新しいエンターテインメントを、この機会にぜひ体験してみてほしい。【ウォーカープラス編集部/水梨かおる】