1931年、当時の料理長・高石G圭氏が宮中晩餐会の料理を見て、開発、導入した歴史あるメニュー。普通のコロッケとは異なりイモは使わず、つなぎはべシャメルソース。180度の油で2分揚げた後にオーブンで5分焼くことで、表面をカリッとさせている。2470円(税込み。別途サービス料10%要)(撮影/写真部・松永卓也)

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 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、歌舞伎俳優の中村吉右衛門(きちえもん)さんが選んだのは、「資生堂パーラー 銀座本店のミートクロケット トマトソース」だ。

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 資生堂パーラーのクロケットを初めて食べたのは、小学校低学年の頃。養父である初代吉右衛門が歌舞伎座の楽屋で食べておりまして、それを分けてもらいました。戦後まもない頃のことですから、まだそういった洋食は珍しい。それで強い印象を持っております。

 養父は、このクロケットは消化がいいと思っていたようです。味の他に、そのあたりも気に入っていたのでしょう。普通のコロッケとは違いまして、ジャガイモではなくホワイトソースを使っているからでしょうか。揚げた後にオーブンに入れるそうで、脂っこくないのもいいのかもしれません。私はクロケットの他に、名物のチキンライスもいただきます。

 実母(松本白鸚夫人)も、私を資生堂パーラーに連れていってくれました。当時はまだ木造の建物でしたが、吹き抜けがあったように覚えております。このお店には、安心してうかがえる独特の雰囲気があります。私の孫に至るまで、5代にわたってお世話になっております。

東京都中央区銀座8−8−3 東京銀座資生堂ビル4〜5F/営業時間:11:30〜20:30L.O./定休日:月(祝日の場合は営業)

週刊朝日 2016年9月2日号