市販のドッグフードが原因で犬の精子が激減!?

ノッティンガム大学の研究チームによって、この26年の間にオス犬の精子の質が著しく低下しており、さらに成犬の精子や睾丸、一般的に市販されているドッグフードから環境ホルモンが検出されたことが発表されました。

Nature Science Reportに掲載された論文(英語)をご覧になりたい方はこちらhttp://www.nature.com/articles/srep31281

調査の内容と結果

ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、カーリーコッテッド・レトリーバー、ボーダーコリー、ジャーマンシェパードの5犬種の種犬数千頭を対象とし、26年間にわたり、毎年42から97頭の精子を調査した。
その結果、1989〜1998年では毎年2.5%、2002〜2014年では毎年1.2%ずつ精子の減少が見られることから、着実に精子の数が減っているとの結論が出た。
また、これらのオス犬から生まれた子犬に、高い確率で停留精巣という異常が見られる。

調査のサンプルとなった精子からは、他の動物で生殖機能を混乱させることが証明されているレベルの濃度で、フタル酸ビスやポリ塩化ビスフェノール153などの環境ホルモンが検出された。
これら環境ホルモンは、ドライ、ウェット、月齢別などに関係なく、一般的なドッグフードから同様に検出されている。

研究チームのリーダーが語った研究結果のポイント

オス犬の生殖能力低下が報告された初めての事例である。研究チームは、環境汚染による影響と考えている。環境ホルモンと、精子や睾丸、ドッグフードの汚染との関連についてはより研究を深める必要がある。犬と人とは同じ環境にあり、この研究は両方に対する環境の影響についての問題提起である。

市販ペットフードは安全なのか

何をどこまで信じたらいいの?

近年でも、2007年と2014年にアメリカでドッグフードが原因で多数の犬が死亡した事件は記憶に新しく、以前からドッグフードの安全性を疑問視する声は絶えません。
一般的に問題視されている理由を整理してみます。

使用される原材料や添加物の種類、成分表示に関する法律、規制が甘すぎるよく見かける表示の「○○ミール」の内容が見えてこない含まれる油脂の質と酸化が心配本来なら食用でない部位や病気動物の肉などが使われているのではないか長期保存でもカビが生えないというナゾ(強い防腐剤使用の可能性)本当に良質な素材を使っているにしては単価が安すぎる

ペットフード安全法があるから大丈夫?

環境ホルモンといえば、まず最初に心配になるのが添加物です。
例えば輸入フードの場合、AAFCO(全米飼料検査官協会)承認かどうかが一つの基準となりますが、添加物までは完全に網羅していないと言われます。
一方日本では、2007年のアメリカのドッグフードのメラミン混入事件を受けて、平成20年にようやくペットフード安全法が公布され、添加物表示の義務づけが始まりました。
しかし、消費者側としては、下記のようにいくつか気になる点があります。

「製造に使用した添加物」は表示義務があるが、「原材料に含まれる添加物」までは義務づけられておらず任意表示である。

→有害な添加物を含む原材料が使われていても分らない。

原材料を海外から輸入しても、最終的に製造加工するのが日本であれば「日本産」と表示できる。

→国内基準に合わないものや、原料となる家禽類が口にした飼料などに深刻な添加物が含まれているおそれも否定できない。

販売用ペットフードを開封し量り売りする小売店は、製造行為に当たらないので製造業者としての届け出は必要ない(ただしフードの表示義務はある)。

→開封時の異物混入の可能性がある。

以上のように、愛犬には安全なフードを与えたいと真剣に考える飼い主側からすると、不安要素は多々残ります。

こうした疑問に関して、環境省のHPに「ペットフード安全法に関するQ&A」がありますので、興味のある方は、ぜひいちど目を通されることをお勧めします。
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/qa.html#Q3-7)

また、こちらは業者向けですが、フードの記載義務などが分かりやす書かれているので、あらためてフードをチェックするときの参考にしてください。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/petfood/

ドッグフードは雑貨扱い

人間が口にする食品については食品衛生法が適用され安全がはかられていますが、ドッグフードをはじめとするペットフードは適用外で雑貨扱いとなります。

そのため、

人間の食べ物では許可されない添加物でもドッグフードに使用できる。量によっては表示しなくてよい添加物もあり、実際には使用されていても「無添加」表示ができる。

といった懸念が相変わらず残ります。

おやつやおもちゃも心配

おやつもドッグフード同様、雑貨扱いですし、おもちゃも人間の子供用のような安全規格はありません。
アメリカで2009年に行われた調査では、国内で販売されている400種類のペット用玩具・ベッドなどの45%から毒性が検出されたという報告もあり、考えようによってはドッグフードより不安な物が多く出回っているかもしれません。

まとめ

ドッグフードが原因で犬の精子が激減しているという研究発表を受けて、あらためてドッグフードの基準を振り返ってみました。

ペットフード安全法は大きな一歩とはいえ、

原材料が海外のものでも最終加工が日本であれば「国産」と表示可能記載義務のない添加物が含まれていても「無添加」と表示可能

といったあいまいさがあり、まだまだ表示全てを鵜呑みにはできません。

ただし、どれだけ表示義務が厳密化されても、根本的な食の安全確保は難しいものがあります。
ドッグフードに対する不信感から手作り食が人気ですが、犬達に不可欠なタンパク源である肉類も、安全かどうかとなると疑問が生じます。
人間が口にする食肉ですら、生育の過程で使用される抗生物質や加工後の発色剤などが問題視されています。
では野生の駆除鹿なら安全かといえば、彼らがが口にする水や植物も、環境悪化による汚染が深刻化するかもしれません。
こう考えて行くと全くもって八方ふさがり。

食と健康の関係はまだまだ研究途上で結果が見えていない部分もあり、いま分っている範囲内で最も安全な道を選ぶほかないのが現状です。
今後、ますます手作り色に切り替える人が増えてくることが予測されますが、今の時点では、せめてドッグフードの基準を人間の食品と同等に上げてほしい、というほかありません。