モノへの感度を高める、週末の「静物デッサン」【30代からの趣味学】

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30代から新しい趣味を始めるなら、自分の可能性を広げてくれる未知なるものに挑戦してみませんか?

今回ピックアップした趣味は、人生にアートの視点を与えてくれる「静物デッサン」です。

静物デッサンとは、目の前に置かれたものをペンや鉛筆、木炭などを使って紙に描き出すことを目的にしたもので、デッサンの語源がフランス語であることから、英語圏では「ドローイング」とも呼ばれます。

美大・芸大の入試テストで毎年出題される静物デッサン。画家や芸術家の基礎をつくる大切なものであり、物を観察する眼や表現の技法など、多くのことをデッサンから学ぶことができます。

「静物デッサン」は何がおもしろいのか?



初心者が簡単に始められるおしゃれでおもしろいアートな趣味である静物デッサンを紹介_1

例えば、テーブルの上に置かれたリンゴを描くとします。

デッサン未経験の人であれば、まずはリンゴの輪郭をできるだけ正確に描こうとするはず。しかし、専門的に言えば、3次元の世界には「輪郭」という線は存在しません。そのため、輪郭線をくっきり描いてしまうと、どうしても立体感のない平面的な絵になってしまいます。

では、デッサンでは何を描くべきか? ひと言でいえば、それは「影」という答えになります。

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デッサンとは、物体の輪郭線ではなく「影」を描くことで絵を完成させます。色彩情報に惑わされることなく、光と影のコントラストを紙に再現する作業が必要になるのです。

また、描くためにはモチーフの形を頭の中で正しく理解しないといけません。一般的に「リンゴ=丸くて赤い果物」というイメージがありますが、リンゴをよく観察してみると、もっといびつな形をしていることが分かります。

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興味がある人は近くのスーパーでリンゴを手に取り、上からじっくりと眺めてみてください。個体差はあるにせよ、どのリンゴも「緩やかな五角形」をしているはずです。このことを頭で理解しているかどうかで、デッサンの正確性は格段に変化します。

デッサンが面白いところは、そうした人間の「思い込み」や「固定観念」を客観的に知れるところにあります。目の前にあるものをそのまま描くには、まずは正確に観察する必要があり、そうした物の本質を知ろうとする作業は、結果的に芸術を観る眼を養うことにもつながります。

と、ちょっと難しい話になってしまいましたが、とにかくデッサンが上手くなるにはたくさん絵を描いて、上手い人の作品をたくさん観察すること。「御茶の水美術学院」のYouTubeチャンネルでは、デッサンの描き方から、完成までのプロセスを動画で紹介しています。



デッサンを始めるために必要な道具



鉛筆



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初心者の方は「鉛筆」から始めるのがおすすめ。まずは6BからHBぐらいまでをそろえましょう。同じHBでもメーカーによって芯の硬さは違うので、いくつかのメーカーを試して自分好みの鉛筆を見つけてみてください。

画用紙



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「画用紙」には表と裏があり、ざらざらしている面が表になります。デッサン上級者になれば、このざらざらした凹凸が質感を表現するのにとても重要になってきます。

カッター



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デッサンで使用する鉛筆はカッターで削るのが基本。その理由は、デッサンでは鉛筆を寝かせて描くため、芯の部分を長く出す必要があるからです。使いやすさで選ぶなら「OLFA」がおすすめ。

練り消しゴム



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鉛筆デッサンでは、絵の修正に「練り消しゴム」を使うと便利です。消耗品なので、黒くなったら新しいものに交換しましょう。

イーゼル



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絵を立てられる「イーゼル」は、初心者にこそ使ってほしいアイテム。横目でモチーフを観ながらデッサンができるので、絵の上達も早くなります。

デッサンスケール



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「デッサンスケール」は、絵の構図を決めるときに使うツール。紙の規格によって縦横比が変わるので、紙に合ったスケールを購入しましょう。

フィキサチーフ



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完成したデッサンは「フィキサチーフ」を散布して画用紙に定着させます。室内で使うとちょっと臭うので、ベランダなどの屋外で使いましょう。

デッサンを始めたい人におすすめの本



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Amazonでベストセラー1位になっているのが『基礎から身につくはじめてのデッサン―形のとり方から質感まで鉛筆デッサンの基本がわかる』。何から始めたらいいのか分からない人は、まずはこの本でデッサンの基礎を理解しておきましょう。

初心者が簡単に始められるおしゃれでおもしろいアートな趣味である静物デッサンを紹介_12

Kindle版をお探しの方には『デッサンの基本 (ナツメ社Artマスター)』。鉛筆の削り方から丁寧に解説しています。

本格的にデッサンを学びたくなったら?



Male Artist Working On Painting In Studio

デッサンの基礎もわかり、絵を描くことが楽しくなってきたという人は、近所のワークショップや絵画教室に通ってみてはいかがですか。

デッサン上達の近道は、上手な人の絵をたくさん見ること。デッサンも他の趣味と同じように、相談できる先生や、いっしょに勉強する仲間がいたほうが長続きするというものです。

手軽に始められて、人生を豊かにしてくれる趣味「静物デッサン」。

これまでアートや芸術に触れることがなかった人も、デッサンを通して新たな自分を発見してみてはいかがですか。

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