『天久鷹央の推理カルテ』(知念実希人:原案、いとういのぢ:キャラクター原案、緒原博綺:漫画/新潮社)

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 中学生に見えるほどの童顔。だが、その頭脳は明晰、博覧強記…。そんな天才女医が登場するあの本格的医療ミステリーがついに漫画化された。原作・知念実希人氏、キャラクター原案・いとういのぢ氏、漫画・緒原博綺氏の『天久鷹央の推理カルテ』(新潮社)は、累計40万部を突破した大人気シリーズ「天久鷹央シリーズ」のコミカライズ版。これに、小説のファンたちは、発売前から「きたーッ!これはテレビドラマ化も待ったなしだ!」「アニメ化もお願いします!」などとさらなる期待が高まっているらしい。

 原作の「天久鷹央シリーズ」がここまで多くの人を魅了しているのは、本格的な医療ミステリーがライトに軽快なテンポで楽しめるという点のみならず、登場するキャラクターがどの人物も愛くるしい点にある。コミカライズ版では、小説版でのテンポそのままに、天久鷹央を始めとするキャラクターを、より愛らしく、いきいきと描き出す。

 統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門は、天才女医・天久鷹央の能力を最大限活かすべく、各科で「診断困難」と判断された患者が集められている。コミカライズ版第1巻で登場するのは、「河童に会った」と語る少年。「人魂を見た」と怯える看護師。「突然赤ちゃんを身籠った」と叫ぶ女子高生…。どの事件も一見、超常現象としか思えないが、摩訶不思議な事件にはどれも思いもよらぬ「病」が隠されているのだ。

 天才女医・天久鷹央はあまりにも愛らしい。小さい身体で自由きままに過ごしている姿や、口いっぱいに食べ物を頬張る姿。その幼い子どものような姿は、あらゆる患者に診断を下す姿とは、大きなギャップがある。鮮やかに謎を解いていくシーンは圧巻!犯人を出し抜いて罠にはめ、追い詰めるシーンはドキドキさせられ、ときに、犯人を騙すべく、鷹央がコスプレを披露するのも可愛らしい。

 謎を解き明かすためだったら手段を選ばず、部下の小鳥遊優を事件解決のためにこき使うのも原作のまま。1話では、鷹央は「河童探し」のために、小鳥遊に幾晩も徹夜を強いるなどの横暴を振うが、鷹央の可愛らしさを見ていると、どうも憎めない。鷹央と小鳥遊の凸凹コンビは絶妙。周りからは、「恋人同士」と勘違いされ、うざ可愛い研修医・鴻ノ池舞からは冷やかされてばかり。小鳥遊はウンザリしているようだが、信頼し合えているからこそ、2人は名コンビたりえているに違いない。お似合いの2人の今後の行方がどうしても気になる。

 元々の小説版のファンも小説版を読んだことがないという人も、天久鷹央の魅力にどっぷりとハマり込んでしまうに違いない。今までの医療ミステリーとは一線を画する、新感覚の医療ミステリーをぜひとも手にとってほしい。

文=アサトーミナミ