エアビーアンドビーのウェブサイト。港区と打てば部屋がズラッと出てくる。ホストへの評価はゲストの口コミなどで決定される(撮影/大野洋介)

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 熱戦の続いたリオ五輪を見て、私も参加したい! と思った人も少なくないのでは。五輪を身近に感じて、より楽しむ方法を教えます。

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 15年、日本を訪れた外国人は、過去最高の1974万人(観光庁)に到達した。五輪に向け、まだ伸びると見られる。都内主要18ホテルの稼働率は、8割を超える状況(日本経済新聞 7月16日付)が続いている。

 ホテルが足りない。4年後はどうするのか。注目されるのが民泊だ。あまった部屋、一軒家──そんな物件を持つ個人と、旅行者をマッチングするITサービス「エアビーアンドビー(以下エアビ)」が、13年の日本上陸後、物件登録者(=ホスト)は急増。部屋さえあれば、SNSを始めるのと同じぐらい登録は簡単で、副収入も得ることができる(都心相場は1泊1万円前後)ときている。

 エアビ日本法人の公表データによれば、国内物件数は4万(7月時点)。昨年は138万人以上の訪日外国人が利用し、経済効果は5207億円だった。リオ五輪では、110カ国以上5万5千人以上の利用が見込まれ、1年前と比べると利用者は42倍だという。

 よし、20年東京五輪も民泊で万事解決──。その前に障壁がある。ひとつが、ホストが「通報」されるリスクだ。

●マンションから退去も

 東京都渋谷区で3年間ホストを続ける男性(30代)は、SNSで仲間と交流してきた。昨年から、「物件を退去させられた」と聞くケースが増えた。近隣から管理組合に苦情が入って、マンションから退去させられた。役所に通報が入って、旅館業法違反となりホストを続けられない。多くの民泊は旅館業法の定める設備基準を満たしていないグレー領域だから、ここを突かれると苦しい。理由はそれだけではない。多いのが、

「知らない外国人、怖い」

 という苦情だ。都内で十数軒の物件を運営していた男性ホスト(40代)は、4軒で退去を余儀なくされた。賃貸のマンション物件。所有者と「民泊OKの」の合意をとったのに、近隣から通報された。住民からは「感染症のリスクがあるから」などと保健所を通じて言われた。

 大阪府の50代女性と60代男性の夫婦も、ホスト歴3年で十数軒を運営する。夫はリタイア後にホストを開始した。訪日外国人との交流を続けるうち、虚脱状態だった生活にハリが出たが、複数物件で近隣住民からの通報が入った。不動産サイト掲示板に「変な中国人が出入りしている」と書かれ、愕然とした。

 ホストと近隣住民との摩擦は、エアビ日本法人も認識しているようだ。代表取締役の田邉泰之さんはこう言う。

「直近の動きとして、(エアビサイト上に)ホストと近隣の皆様との橋渡しをする相談窓口を設置している」

 エアビホストへの苦情だと判明した場合は、ホストに「懸念」として伝える。が、懸念の核心が「外国人アレルギー」だった場合、プラットフォーマーの管理能力を超えはしないか。これは、日本社会全体の問題だ。

●民泊新法は進むか

 ネックだった法整備は進む兆しがある。通称「民泊新法」の有識者検討会(観光庁と厚生労働省)は、最終報告書まで及んでいる。主な方向性は三つだ。「消防法や衛生設備の規制は緩和」する。次いで、「年間提供日数は180日以下」とし、「家主居住型/家主不在型の区別に応じ、規制の重さが変わる」というものだ。管理面で不安のある「家主不在型」は、「管理者」に管理委託する方向が検討される。自民党「ちんたい議連」は、賃貸住宅管理業者や、宅建業者が「管理者」としてビジネス参入できる環境整備を狙う。

 あと4年で、日本の民泊文化はどこまで成熟できるのか。(編集部・岡本俊浩)

AERA 2016年8月29日号