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大型で非常に強い台風10号が北日本か関東に上陸する恐れが出てきている。8月30日には大きな被害がもたらされる可能性もある。

8月22日に関東地方を直撃した台風9号の影響では、東京都内ではビルの看板や外壁がはがれ落ち、ケガ人も出た。報道によると、葛飾区では、雑居ビル3階に入っている飲食店の看板の表面をおおっていた縦80センチ、横2メートルのアクリル板が落下。下を歩いていた20代女性にあたって、女性が軽いケガをした。

また、武蔵野市のJR三鷹駅近くでも同日、ビル4階の外壁タイルがはがれ落ちた。タイルは、60代の男性に直撃して、男性が軽いケガを負ったという。周辺では、風や雨が猛烈に強くなっていたという。

幸いにも大ケガに至らなかったようだが、台風の影響で建物の一部が通行人にあたってケガをした場合、建物の所有者やテナントは法的責任を負うのだろうか。齋藤裕弁護士に聞いた。

●台風で看板が落ちることは「欠陥」といえるのか?

「建物の一部が崩れ落ちるなどして通行人にケガをさせたような場合について、民法には『工作物責任』という規定が定められています(民法717条)。

この規定では、土地の工作物(建物など)の設置または保存に瑕疵(欠陥)があることによって、他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者あるいは所有者が賠償責任を負うことが定められています。

したがって、建物の看板やタイルがはがれ落ちるなどして、歩行者がケガをしたような場合、こうした欠陥があったと認められれば、『土地の工作物の設置又は保存に瑕疵がある』として、建物の所有者らが賠償責任を負う可能性があります」

台風の影響ではがれ落ちたような場合、「欠陥があった」と言えるのか。

「裁判例からすると、毎秒20メートル程度の風で壊れる程度であると瑕疵(欠陥)が認められる可能性が高いと思われます。

その程度の風で壊れてしまうのは、耐久性などの観点から問題があり、建物の保存に瑕疵があったと判断される可能性があるからです。

他方、毎秒50メートル程度の風で壊れたとしても、それだけでは瑕疵(欠陥)があったとはされない可能性があります。

最終的にどの程度の風に耐え得る強度が求められるかは、その構造物に関する法令の定めや、その地方において、それまでどの程度の強さの風が観測されたかなどによることになるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
齋藤 裕(さいとう・ゆたか)弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。サラ金・クレジット、個人情報保護・情報公開に強く、武富士役員損害賠償訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:新潟合同法律事務所
事務所URL:http://www.niigatagoudou-lo.jp/