西川周作(撮影:長瀬友哉/フォート・キシモト)

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8月28日、ワールドカップ予選に向けた日本代表の合宿がスタートした。西川周作東口順昭林彰洋のGK3人はこれまで以上の緊張感を持って集合したに違いない。

7月14日、日本サッカー協会は代表チームのリカルド・ロペスGKコーチを契約満了とし、新たにエンヴェル・ルグシッチ新GKコーチを招へいすると発表した。リカルドコーチはハビエル・アギーレ前監督と同時に就任しており、アギーレ監督が離職した後もチームに残っていた。だが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督とは練習前に口論になっているシーンも目撃されており、今回は監督の意向に沿ったコーチが招集されたのもと思われる。

GKコーチが予選の途中に交代するのも、また、それが3次予選の直前というのも異例の事態。さらにこれまで代表のレギュラーGKを務めていた川島永嗣が労働ビザの関係でフランスのFCメスに登録できておらず、監督もクラブで正GKの位置につくまで招集しないと明言しており、ここにきてGKの序列も変わろうとしている。

川島に続く試合出場数を誇る西川には、ミックスゾーンに現れたとき、いつもの笑顔がなかった。

「コーチが変わったこと自体に驚きました。経験のあるコーチをということで、ハリルホジッチ監督が呼んだと思います」

「優しそうなGKコーチですが、やるときは試合モードの顔になる。メリハリはしっかりしていると思いました。いろんな経験をしている方なので、学ぶという姿勢を持ってこの合宿に臨みたいと思います」

「正面から少しずれたボールを足をしっかり運んで取るようになどという基本の指示はリカルド前コーチと一緒でした。GKで一番大切なのは基礎だと思うので、確実なものをしっかりと確実にやりながら、その幅を広げていきたいと思います」

「出る選手が責任を持ってワールドカップ、絶対出るんだという強い気持ちを持ちながら、初戦をしっかり勝ちたいと思います」

「自分もしっかりピッチに立って日本代表に貢献したいという強い気持ちで来たので、なんとしてもチームに勝利をもたらして、無失点で勝っていきたいと思います。

予選の前だからか、あるいはまた横一列からの競争だからか、西川はニコリともせず淡々と答え続けた。最後の質問が終わった後、「ありがとうございました」といいながら、やっと笑みを浮かべる。その表情から、この一戦がチームにも個人にも持つ意味が浮かび上がってきた。

【日本蹴球合同会社/森雅史】