今年の8月は北海道に、1週間という短い期間に3つの台風が上陸しました。川が氾濫し、畑や道路、住宅が冠水し、土砂崩れなどで道路や線路が寸断されるなど、その被害は甚大です。特に被害が大きかった北見市周辺はタマネギの大生産地で、今まさに収穫をしようとしていたところに3つの台風が…。収穫を待っていたタマネギが水に漬かってしまい、来春までのタマネギの収穫量が先細るのは必至とみられています。さらに、タマネギを運ぶ「タマネギ列車」も線路の寸断により不通となっています。料理に欠かすことができないタマネギ。今後の品質、収量、価格はどうなるのでしょうか。


観測史上初、1週間で台風が3つ上陸。堤防決壊、土砂崩れなど、北海道東部に大被害。

この8月、北海道では17日(水)に台風7号が上陸したあと、21日(日)に台風11号、23日(火)には台風9号が上陸しました。例年はほとんど台風が上陸しない北海道ですが、1年のうちに台風が3回上陸するのは、観測史上初めてのことです。さらに、1週間という短い期間に3つの台風が上陸するのは前代未聞です。
降水量も平均を大きく上回り、北見市常呂川(ところがわ)では堤防から水があふれだしたほか、釧路市の隣の白糠(しらぬか)町や知床の羅臼(らうす)町では土砂崩れ、各地で床上浸水、JR石北線ではレール下の路盤が流され、一部列車が不通となっています。


日本一のタマネギ生産地で畑が冠水。石北線の寸断で「タマネギ列車」も不通。

8月26日現在、台風による北海道の農地の被害は延べ10,844ha。トウモロコシが倒れ、タマネギやビート、ジャガイモや小豆の畑が浸水、ビニールハウスや牛舎なども被害を受けました。特にタマネギにおいては、生産量日本一を誇る北海道の北見市周辺が豪雨に見舞われたため、今後のタマネギの価格が心配です。
さらに、北見から旭川へタマネギを運ぶ臨時貨物列車、通称「タマネギ列車」が、JR石北線の寸断により、不通となっています。タマネギをはじめ農産物を北見から運ぶ大動脈ですが、JRによると復旧には月単位の時間がかかるとのことで、農業関係者は、これから収穫期を迎える農産物の輸送が滞るのではと懸念しています。
〈参考:北海道新聞2016年8月27日号33面「台風余波 タマネギ高 北見の畑冠水、貨物は不通、道外も不作」〉

「タマネギ列車」に使われる機関車DF200形。

「タマネギ列車」に使われる機関車DF200形。


「今年のタマネギは高いな…」と思っていたところに台風直撃。カレー店も困った…。

スーパーで買い物をしていると、「今年はタマネギがやけに高いなあ」と感じていた方も多いのではないでしょうか。実際、今年のタマネギは例年の3割高〜2倍の値段、3個300円ほどで販売されています。夏までは、タマネギ生産が全国第2位の佐賀県産が出回りますが、今年は病気により不作となったため、品薄状態が続いていたのです。
例年だと9月になれば北海道産が出回るので、「いずれ価格が下がる」と、スーパー関係者は客に言っていました。ところが、そろそろ北海道産の出荷が始まり、タマネギの価格が落ち着く…と思っていた矢先のトリプル台風で、タマネギ畑が浸水してしまいました。収穫前のタマネギが水に漬かったため、供給できるタマネギの量が減ってしまうのは必至です。
タマネギを大量に使うカレー店など、外食産業や飲食店では、今年はタマネギが品薄で価格も高く、かといって販売価格に転嫁するわけにもいかず、タマネギの高騰は頭の痛い問題でした。そこにきてのタマネギ畑の浸水被害。一般消費者も飲食店も、今後のタマネギの収穫量と価格がどうなるか、気になるところです。

例年の北見のタマネギ畑。

例年の北見のタマネギ畑。


天候不順で生育が遅れていた十勝の小豆に、さらに台風が。浸水被害で品質や収量が心配。

北海道では今年の6月、低温や長雨などの天候不順が続き、農産物の生育が全体的に遅れていました。国産小豆の生産地、北海道の十勝などでも、主要生産物である小豆の生育が遅れていたところに、この8月、3つの台風が直撃しました。小豆畑が浸水してしまい、一部では葉が落ちて、収穫ができなくなりました。最終的に今年の小豆はどれくらい収穫できるのか、これからの天候に期待が寄せられるところです。
ホクレンによると、小豆の在庫は足りているとのことで、菓子メーカーなどの需要には応えられそうですが、小豆の価格は少しずつ上がっているようです。和菓子を扱う業者からは、国産の小豆が確保できるか、価格がどれほど上がるのか、懸念する声が聞こえています。
〈参考:北海道新聞2016年8月28日号「十勝など道産小豆 生育遅れに台風追い打ち」〉
北海道に台風が1年に3回も上陸するのは観測史上初めてのことです。それだけでも珍しいことなのに、それが1週間という短い期間に、北海道の東側に集中してしまいました。知床の羅臼では土砂崩れで道路が寸断され、今でも孤立している地域があり、懸命な土砂の撤去が進められています(8月28日現在)。農水省では、現在判明している台風被害の範囲であれば、タマネギの価格に大きな影響はないとしていますが、今後も台風の上陸が続けば、さらに被害が拡大するかもしれません。消費者にとっては、料理に欠かすことができないタマネギの価格が気になりますが、それとともに、道東の浸水した畑や住宅、道路や線路の早急な復旧・復興を願わずにはいられません。