ディスクユニオン新宿ロック専門館、池部さんに『個人的に熱いロックの名盤』を聞いてみた

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学生時代、新たな音楽との出会いを求めて通っていたのがCDショップ『ディスクユニオン』。

特に新宿エリアには、ロックやジャズなど各ジャンルの専門館が密集しており、1日かけて巡ることもありました。

そんな音楽好きが集まるこのお店のスタッフは、きっと耳が肥えた音楽マニアに違いない!

そこで、ディスクユニオン新宿ロック新品ストアの池部さんに「個人的に熱いロックの名盤」を教えていただきました!

<池部 幸太さん(36)>

ディスクユニオン新宿ロック新品ストアのスタッフ。

趣味はバンド。ギター、ベースを担当し都内を中心に活動している。

 PSYCHEDELIC MOODS/THE DEEP

1963年頃ビートルズやローリング・ストーンズが登場し、世界中の若者がこぞってバンドを始めだしました!

このバンドブームは、様々なカルチャーと融合して、新たなロックの形を生み出していきます。

本盤は、ロックとマリファナやLSDといったドラッグカルチャーが融合した「サイケデリック・ロック」というジャンル。

フィラデルフィアの老舗レコード会社「CAMEO PARKWAY」の提案によって企画されたもので、世界で初めて“PSYCHEDELIC(サイケデリック)”の名前が冠された作品です!

ボブ・ディラン等を輩出したグリニッジ・ヴィレッジ周辺で、ひときわ異彩を放っていたシンガーソングライター、ラスティ・エヴァンスの指揮の元、腕利きのスタジオ・ミュージシャンを集め、たった2日間で録音されました。

下地となっているのは、素朴なガレージサウンドですが、エキゾチックなヴィヴラフォン、ティンパニー、さらに赤ちゃんや怪鳥の鳴き声がサウンド・エフェクトとしてプラスされている、「エキゾ・サイケの始まりにして終着点」とも言える名作。

個人的にサイケデリック元年と思っている1966年から、今年でちょうど50年。そんな半世紀の節目に、ぜひ聴いて欲しい一枚です!!

It’s All A Part Of Me (Stereo)
The Deep
¥ 250
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△任れば愛を/坂本慎太郎

日本語ロックの頂点に立った(と私は思っています)、ゆらゆら帝国のギターボーカル坂本さんのソロ3作目です。

本盤のフォーマットは、CD、LP、カセットテープの三種類。うち、カセットテープは予約購入できず、発売日にオープンするWEBショップ及び3〜4店舗のレコードショップのみでの取り扱いでした。

そんなプレミアム感に惹かれ、発売当日(一般的に水曜日発売の作品は火曜日がフライングゲット日)、取扱店の開店時間に合わせて訪問し手に入れました!

仕事後、音楽スタジオへ向かい、全身鏡が震えるほどの爆音で洗礼を浴びるかのように初聴を迎えました。

こういった行動は、自身の人生の中で“栞を挟むような行為”として認識しており、音を聞いた瞬間に風景がフラッシュバックする、ある種のボケ防止効果があるのです。

発売日が待ち遠しい、フィジカルなものを手にしたい、音楽に対する原初的なワクワクを与えてくれる作品です!

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シンガーソングライター井手健介によるバンド名義『母船』のファースト・アルバム。

「えー、これがロックですか?」という声もあるかもしれませんが、当時無職の人間がなけなしの退職金に手を付けて制作したと聞けば、粋で崖っぷちでロックだということが頷けるでしょう。

『母船』は流動的にメンバーの出入りがあるスタイルで活動しています。

当初の楽曲アレンジは、ベルベット・アンダーグラウンドやニール・ヤングを想起させる曲が多かったのですが、後に強力なバックアップメンバーが参加することとなり、井手健介の楽曲と声、歌詞に寄り添う作品へと仕上がっていきます!

録音は山梨某所にて合宿形式で行われ、山本達久(ds)、須藤俊明(b)、石橋英子(p,flu)らとの一発録りスタイルでベーシックを録音。直感的なCメロ作成やインプロによる長尺ソロ録音もあり、フレッシュで生々しいプレイの数々を収める事に成功しています!

クラシック・ギターによって爪弾かれるメロウでアシッド・フォークなテイストを纏いつつも、洗練された緻密なリズムとアレンジが曲の良さを引き立てており、晩夏の秘蔵盤的な一枚に昇華したスタジオ・マジックも堪能できる好盤です。

PHILOSOPHY OF THE WOLRD/THE SHAGGS

米ニューハンプシャー州のフリーモントに暮らす8人家族のウィギン家。

一見普通の家族と思われるが、変わり者で厳格な父オースティンは、娘を外界の学校に通わせることをNGとし、自宅で通信教育を受けさせ、あろうことか世界的な音楽スターにするべく着々と少女たちを純粋培養させていきます。

そして1969年、スーパーマーケットを改装した録音スタジオに3人姉妹を半ば無理やり連れて行き、本盤を吹き込むこととなったのです!

次女ドットによるポップでへんてこなメロディ、そして外界との接触を断たれたからこその流行から逸脱したイノセンスが爆発する、良く言えば「プリミティブ(原始的な)」つまるところ「ド下手」な演奏が詰まった奇跡の一枚です。

これまでにも数々の再発がされてきた本盤ですが、2016年9月にLIGHT IN THE ATTICより再発決定。今回は久しぶりのLP再発も兼ねており、ディスクユニオン特典の妄想帯も見逃せません!

Philosophy of the World
The Shaggs
¥ 200
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ISAN LAM PLEARN/ANGKANANG KUNCHAI

大注目のレコード会社「em RECORDS」からリリースされている、タイの音源再発シリーズ。その中でも、特に話題を集めた作品がこちら。

ロック好きの中でタイ音楽はあまり聴き馴染みがないかもしれませんが、ならばこれから聴くのにうってつけな一枚です!

声に抑揚を持たせ語りを行うジャンル「モーラム」と、タイ独自のメインストリームなバンコク主導の歌謡ジャンル「ルークトゥン」。決して交わることが無く、またタブー視もされていたカテゴリの禁断の融合……これが本盤を名盤たらしめる核となっています。

主人公であるアンカナーンは、タイ東北部にあたるイサーンで生まれる。幼少から国を代表するモーラム歌手に弟子入りをして、10代半ばには天才少女として楽団の主役歌手にまで躍進。16歳で“歌えるモーラム歌手”としてデビュー作の本盤を出した。

楽団のプロデューサーである天才スリン・パクシリがペンをとった表題曲「イサーン・ラム・プルーン」では、なんとモーラム楽団がロックバンド化し、ルークトゥンのノリで演奏をはじめるという正に掟破りの演奏をしました!

こうして生まれた「ルークトゥン・イサーン」という新ジャンルは、爆発的な人気を博していくこととなるのです。そして2016年9月、御年60歳となる2度目の来日公演が決定!ぜひ生歌を体験してください。

Isan Lam Plearn
Angkanang Kunchai
¥ 250
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作品の聞きどころや、制作秘話などマニアックな情報をたくさん教えていただきました!

全て聴いてみましたが、個人的にはい痢PHILOSOPHY OF THE WOLRD/THE SHAGGS』が、池部さんの言う通り絶妙なリズム感でクセになりました!

普段手に取ることがなかったアーティストも、この機会にぜひチェックしてみてください。