『やめてみた。本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方』(わたなべぽん/幻冬舎)

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 あなたが今、なんとなく閉塞感を感じているなら、ぜひオススメしたい一冊が、『やめてみた。本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方』(わたなべぽん/幻冬舎)だ。本書はジャンルとしては「物や思考の片付け」に入るのだろうが、何が何でも物を減らすぞ! という気負いはなく、捨てる捨てないの区別はこうしなくてはいけないという厳しいルールもない。

 これまでなんとなく使ってきた物や考え方、「これが普通」と思い使い続けていたものを改めて見つめ直し、自分には必要ないかもと思ったらやめてみる。やっぱり必要と思ったらまた使う。そんな自然体の試行錯誤を繰り返した結果、少しずつ生きるのが楽になったよ…という報告であり、とてもリラックスした雰囲気のコミックエッセイだ。

 著者のヒット作『スリム美人の生活習慣を真似してみたら 1年で20キロ痩せました』(KADOKAWA メディアファクトリー)と同様、かわいらしい絵柄を楽しみつつ「これなら私も出来るかも…やってみよう!!」と思わせる共感と励ましに溢れた一冊。

 著者の「やめてみた。」生活の発端は長年使った炊飯器の故障。スイッチを押しても全然動かない。既にお米は研いでいるし、どうしたら…。そこでふと目についたのが土鍋。土鍋炊飯は難しそうと思いこんでいたが、ネットでやり方を調べたら手順は簡単。そしてびっくりするほど美味しく炊ける。余ったご飯を冷凍しても、チンしたら炊飯器のそれとは比べものにならない美味さ!!

…炊飯器、やめてみようかな。重くて使うのがおっくうな掃除機もやめて、フロアワイパーにしてみよう。ガッチリ塗っていたコンシーラーやファンデーション、やめてみよう。何でもかんでも「すみません」と言っていたが、それはやめて「ありがとう」と言おう。

 こうしてやめてみたこと計31。一方で洗濯機は必要だから使う。スマホも、だらだらは使わないが、やめない。見直した上で採用するものもある。

 やめたりやめなかったり、試行錯誤の過程で自分の好みが何かがクリアになるのもいい。実はそれほど好きでなかったものを手放すことで、身の回りに大好きなものが増え、暮らしがいきいきと楽しくなっていく。何より自分を好きになれる。

 やめる、というのはなんとなく 後ろ向きな言葉だ。やめる、終わる、諦める…。それより取りかかりたいし、始めたいし、諦めずに続けたほうが「良い」感じがする。しかしやめることで始まり、拓けることも沢山ある。

 本書の舞台は家庭だが、この発想は会社でも応用できると思う。すっかり定着した「見える化」に続き、「やめる化」が必要な部分は多いはず。気になることをとりあえず「やめてみた。」ら停滞しもやもやしていた案件が効率よく流れ出すかもしれない。

文=青柳寧子