食卓の一皿に「完璧なアワ」をつくるための科学

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泡は、小さな気泡がたくさん含まれた液体にすぎない。が、寒天やゼラチンなどの増粘剤を混ぜることでそれは「泡」になる。料理に使われる泡を、科学の視点でひも解いてみる。

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泡は、上品にも下品にもなる。ミシュランレストランで上品な飾り付けに使われるエスプーマのように、実にしゃれたものをつくることもある(エスプーマは、スペイン語で「泡」の意味。スペインのレストラン「エル・ブジ」の料理長フェラン・アドリアによって確立された、あらゆる食材をムースのような泡状にすることができる調理法)。

あるいは、イビザ島のクラブで年に一度開催される人気の高い泡パーティーのように、なんとも品のないものになってしまうこともある。この記事では、上品なほうの泡を追求しよう。

泡とは、小さな気泡がたくさん含まれた液体にすぎない。その構造を、増粘剤のような役割を果たすものが支えている。

グラス1杯のジュースにたくさんの空気を吹き込むと、泡となったあとですぐに空気は抜けてしまう。だが、増粘剤を混ぜ合わせたジュースに空気を注入すると、増粘剤がその気体を捕らえ、泡が形成されるのだ。増粘剤には通常、寒天(原料:海藻)やレシチン(原料:大豆)、またはゼラチン(原料:動物の皮や骨)が使われる。

では、米料理メディア『ChefSteps』のスタッフによる、完璧な泡をつくる方法を紹介しよう。まず、泡に適した液体を温め、ゼラチンを入れてよくかき混ぜる。ゼラチンは分子レヴェルで見ると、常温では三重の螺旋構造になっている。だが、温めた溶媒で溶かされるとこれらの螺旋がほどける。

すべてが溶けたら、ゼラチンを混ぜた液体を氷を敷き詰めたボウルの中で冷やしてから、泡をつくる専用のサイフォンに注ぎ込む。そして、サイフォンの中で亜酸化窒素と混ぜ合わせれば、空気のように軽いふんわりとした泡ができるのだ。

このとき、ゼラチンのタンパク質によって気泡の周りに膜が形成されている。このおかげで、泡が形を保てるだけでなく、泡が互いに衝突して大きな泡になってしまうことがないのだ。

液体に入れるゼラチンの量を増やすほど、つくられる泡は厚くなる。相当な厚さの泡をつくるには、混ぜるゼラチンの割合を2.5パーセントにする。カクテルに最適な薄い泡にするなら、その割合は0.75パーセントだ。冒頭で紹介したようなエスプーマは、こうした最も薄い泡を指している。

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