■やっぱりポータブルカーナビは使いやすい!

 先日、知人との会話で驚いたことがあった。彼の愛車は、7年前に新車で購入した輸入車。クルマはまだまだ調子が良いし、気に入っているので買い換えはまったく考えていない。ただ新車時に合わせて購入したカーナビには不満を感じているという。

 聞けば「走行中の道からずれることが多く、地図も古いまま。まったく信用できない。とはいえ、今さらカーナビに十数万円もかけて買い換える気になれないし……」という。どうやら地図データの更新などしていない様子だ。そんな彼の解決策は「だから今はスマホを使っているよ。現在使っているカーナビでは表示されない新しい道も載っているし……」

 彼のカーナビがうまく機能しないのは、どうやら地図データの更新をしていないことに原因があるようだ。しかし、購入して7年も経過すると地図データの更新には、無料期間は過ぎ、おそらく数万円はかかるはず。また、確かにスマホの地図機能をカーナビとして使う人は多い。通信により渋滞情報も取得できる。

 しかし、スマホでは画面サイズが小さく、けっして見やすいとは言い難い。ましてや運転中に手持ちで確認したり、操作するのは危険だし違反行為だ。やはり、ナビゲーションは専用機がベストだと思うのだが、それだけでは彼が現状を変えるきっかけになりそうにない。そこで前から気になっていた、パナソニックのSSDポータブルカーナビ『Gorilla CN-G1000VD』を試用してみた。

 スマホの普及で、カーナビ市場も大きな変化が見られていると言われている。特に、ポータブルカーナビの市場への影響は大きく、この数年、撤退するメーカーも相次いでいる。ところがこの『Gorilla』シリーズは厳しい市場の中でも根強い人気に支えられているという。最新ポータブルナビの実力を知るには、最適なモデルだと思ったからだ。

■大画面化が進むポータブルナビ

『Gorilla CN-G1000VD』はコンパクトな箱に収められている。装着には特別な工具も不要。簡単にクルマに搭載することができるので、カー用品店以外、家電量販店でも発売されている。パーツは、モニター、GPS一体型のカーナビ本体と、クルマに装着するための専用台、シガーソケットから電源を取るコードとFM VICS用のアンテナで構成される。

 本体の画面は横長画面の7V型のワイドVGA液晶。これはセンターコンソールに収められるカーナビの標準的な画面サイズだ。視認性はこれらのカーナビと大差がない。またこの本体には16GBのSSDとワンセグチューナー、GPSアンテナ、バッテリーも内蔵されている。

商品はコンパクトな箱に収められて売られている。
商品はコンパクトな箱に収められて売られている。持ち帰り、自分で装着が可能であるお手軽さがポータブルカーナビの大きな特徴だ。

中には本体と本体を設置する専用台、電源やアンテナケーブルなど。
中には本体と本体を設置する専用台、電源やアンテナケーブルなど。

背面にSDメモリーカード用のスロットを搭載。
背面にSDメモリーカード用のスロットを搭載。MP、WMAの音楽ファイルやMP4の動画ファイルを収めたSDメモリーカードを使い、再生できる。

ワンセグチューナーを内蔵し、車内や外、家の中でも気軽にテレビが楽しめる。
ワンセグチューナーを内蔵し、車内や外、家の中でも気軽にテレビが楽しめる。

 早速、マイカーに装着してみた。装着位置は、安定して装着できるようダッシュボードの上でなるべく傾斜の少ない平面の上の装着することにした。装着には専用の台を使う。この台の接地面は粘着性のある吸盤状。この吸盤部の性能は格段に上がり、現在はダッシュボード側のデザインにより、多少の凸凹があっても、傷や汚れもつけず、ピッタリ装着ができるようになっている。

 またFM VICSの受信アンテナはフロントガラス内側の左上に貼る。アンテナはワイヤーで長方形をしている。FM放送波に乗せて配信しているVICS WIDEの情報を受信するためのものだ。『Gorilla CN-G1000VD』にはポータブルカーナビでは初めて新交通情報サービスVICS WIDEに対応しているのだが、この特徴についてはもう少し後に紹介しよう。本体とアンテナの装着に要した時間は約20分。初めての人でも、簡単に装着ができるはずだ。これで準備完了だ。

ダッシュボード上に専用台を装着。そこにナビを取り付ける。
ダッシュボード上に専用台を装着。そこにナビを取り付ける。ダッシュボードへは特殊な吸盤で止められている。

FM VICSアンテナはフロントガラス内側左上に貼る。
FM VICSアンテナはフロントガラス内側左上に貼る。フィルムアンテナなので視界を妨げることはない。

■自車位置精度を高めた、2大要素

 電源を入れると、画面に「Gorilla」のロゴマークが表示されナビが表示され地図画面へ。この時点ですぐさま自車位置が正確に表示された。「カーナビだもの、当たりまえでしょ」と思う方もいるかもしれない。その通りなのだが、それでも電源を入れた直後に自車位置を正確に表示するポータブルカーナビは、かなり優秀と言っていいだろう。

 据え付け型のカーナビは、GPS以外、車速やハンドルの角度などのデータから演算し、自車位置を割り出していた。しかもそのクルマにとって最適化を図っているので、地図データが最新であればズレることはほとんどない。その点、ポータブルカーナビは、GPSのみで自車位置を割り出す。

『Gorilla CN-G1000VD』は、従来のように米国のGPSに加え、日本の真上に位置する国産の準天頂衛星システム「みちびき」、そしてロシアの衛星「グロナス」にも対応。対応する衛星の数が増えたことで、高層ビルや樹木など、多少の障害があっても、より正確、しかも素早く自車位置を表示することが可能だ。

 さらに驚いたのが、地下道やトンネルなど、GPSが受信できない場所を走行していても、ほぼ、正確に表示する点だ。実際に、都心のビル群や立体交差、首都高の海底トンネルを走ってみたが、自車位置は常に正確だった。ちょっと不思議に思えるほどだ。

 これは『Gorilla CN-G1000VD』に内蔵されたセンサー「Gジャイロ」によるものだ。「Gジャイロ」は上下、左右、そして加速度を感知する。直進か右左折か、坂を登っているのか下っているのか、または高速道路か一般道路かを識別できる。

 しかしこの性能には残念ながら限界がある。約20kmにもわたる首都高の山手トンネルでは、当初は正確に表示していたが、途中、渋滞で停止したあとは、ナビ画面の表示は止まったまま。しかし、地上に出た途端に再度現在地が正確に表示された。表示までに1秒もかかっただろうか、と思ったほどだ。

GPS電波を受信できないトンネル内も正確に表示。
GPS電波を受信できないトンネル内も正確に表示。しかし、渋滞にはまったり、長距離のトンネルなどをそうこうしたりする場合は難しい。

■渋滞回避ルートを探索。目的地まで快適、スムーズに

 また『Gorilla CN-G1000VD』で注目したのが、ポータブルカーナビで始めて「VICS WIDE」対応した点だ。これまでのポータブルカーナビや、低価格帯の据置型カーナビに採用されていたVICSはFM放送を活用した「VICS-FM」だ。これは広範囲の主な幹線道路の渋滞情報などの交通状況はわかるのだが、渋滞を回避するルート探索や、刻々と変わる交通状況に応じて新しいルートを探索し直す機能などには非対応だった。

 しかし「VICS WIDE」は伝送容量をVICS多重放送の約2倍に拡大。渋滞・規制の情報も素早く、受信できるのだ。『Gorilla CN-G1000VD』はこのデータを活用し、目的地まで、交通状況画が変わると、渋滞を避けたルートを自動的に探索する「スイテルート案内」機能に対応している。

 今回、使ってみてでも都心を走行中に表示されたが、新ルートの探索も素早く、同様の機能を搭載した備え付け型のナビと比べ、遜色はなかった。「スイテルート案内」は他にも多くの機能があるのだが、据置型の上級モデル『美優ナビ』と比べても、ほぼ同等だったことにはただただ驚かされた。

目的地までのルート探索。
目的地までのルート探索。この場合も渋滞情報などを考慮したルートを探索する。

交通状況が変わったことを「VICS-WIDE」で受信すると、自動的に新ルートを提案。
交通状況が変わったことを「VICS-WIDE」で受信すると、自動的に新ルートを提案。このとき、新旧ルートの違いと、短縮時間も表示する。

「VICS-WIDE」は交通状況だけでなく、豪雨や火山噴火、地震による津波など気象や災害による情報もナビ画面に割り込んで表示することもできる。 「VICS-WIDE」は交通状況だけでなく、豪雨や火山噴火、地震による津波など気象や災害による情報もナビ画面に割り込んで表示することもできる。
「VICS-WIDE」は交通状況だけでなく、豪雨や火山噴火、地震による津波など気象や災害による情報もナビ画面に割り込んで表示することもできる。

「VICS WIDE」を活用して自動探索したり、情報を考慮したルート探索のレベルは3段階
「VICS WIDE」を活用して自動探索したり、情報を考慮したルート探索のレベルは3段階。好みに合わせて設定ができる。

■カーナビの生命線、地図データは常に「最新」でいられる

 地図データの視認性も良く、操作はタッチパネルを採用し、しかもレスポンスもいい。ドライブを終えると、走行時のアイドリング時の長さ、急発進や急加速などのデータから試算するエコ度もわかる。ドライブをゲーム感覚で楽しむことも可能だ。またエンジンを切り、アイドリングなどで震えるわずかな振動なくなると、自動的にスタンバイモードに。またエンジンをスタートさせると、すぐに再起動するなど、芸が細かい。

エコ運転の制度がわかる「ecoドライブ情報」。
エコ運転の制度がわかる「ecoドライブ情報」。『Gorilla』シリーズの特徴のひとつ。

 先にも記したが、据置型のナビと比べ、引けを取らないデキだ。また地図データの更新についても今後3年間無料で更新ができるのだという。地図データの鮮度はカーナビの生命線と言って良い。どれほど高精度なカーナビでも、地図データが古ければ、意味をなさない。時に都心近郊は有料道路も今後の開通予定が目白押しだ。

 さて、先の知人にとっても良い選択になると思う。据置型のカーナビはAV機能も備えた物が多い。現状のオーディオ機能は活かしつつ、不満だったナビを最新モデルに代替できる。しかもポータブルカーナビだから、着脱も容易。つまり、内装はオリジナルを維持できるのだ。数年後、仮に愛車を買い換えることになったとしても、『Gorilla CN-G1000VD』を別のクルマで使用したり、新たな愛車にそのまま使うなど選択肢は増えるのだから。

■関連情報
http://panasonic.jp/car/navi/products/G1000/

文/中沢雄二