わが子の可能性をできるだけ広げてあげたいと思うのが、親心。

「でも、わたしも算数は苦手だったし、うちの子にもあんまり期待できないわ……」なんて、最初からあきらめてしまっているママはいませんか?

それは大きな勘違い。子どもが暗算や計算を上手に早くできるかどうかは、先天的なものとはまったく関連がないことが最新の脳科学研究で明らかになっています。

それどころか、小さいころから「数」を意識した生活を送ることで、子どもの社会性や思いやりといった情緒面の発達も促すことができるというのです。

『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』(久保田カヨ子・久保田競共著、ダイヤモンド社)から、算数力が子どもの発達によい影響を与える理由、そして算数力を伸ばすトレーニング4つをチェックしてみましょう!

■数字を教材にすることで「脳」が育つ

本書は、脳科学に基づいた独自の育児法が人気の“カヨ子ばあちゃん”こと久保田カヨ子さん、夫で脳科学の権威・久保田競さんの共著。

数の概念を扱う力=算数力が脳に与える影響が、最新の脳科学研究に基づいて解説されています。

「数字」を扱うことで鍛えられるのは、脳の前頭前野と呼ばれる部分。

しかし本書によれば、この前頭前野がよく働くことのメリットは、単に「計算ができるようになる」「算数の成績がよくなる」ことだけにとどまりません。

社会性をもったひとりの人間としてバランスよく成長するために、おおいに役立つことがたくさんあるのです。

■前頭前野を鍛えてバランスよい人間に

前頭前野の働きには、具体的にどんなものがあるのでしょうか。

たとえばなにかの作業をする際に、その方法や時間配分を考え、ダンドリよくする能力。おおまかな塊からおよその量の見当をつける「概算」も前頭前野の領域です。

寿司職人が手の感覚で正確にシャリの量をつかみ取ることができるのは、この働きによるもの。子ども同士の場面でも、たとえばおやつをみんなで分けるときなどに活きてきます。

さらに、美しいものを見て感動する感性が育ちます。脳科学の実験では、優れた数学者が数式や数の配列を見て美しいと感じているとき、前頭前野の前の内側部分が働いていることが判明しました。

そして、これは普通の人が美しい芸術作品を見たり、美人の顔を見たりした時に働く場所だったのです。

前頭前野がよく働くと社会性が生まれ、人づきあいがうまくなります。相手の気持ちもわかるようになり、情緒や思いやりも生まれます。

ひいては就職や結婚もうまくいったり、健康で長生きする傾向もあったりすることが、最新の脳科学研究で裏づけられています。

■算数力アップする4つのトレーニング

このように、「算数力」のアップはひいては人間としての成長も大きく促してくれます。

本書で紹介する「算数力アップのトレーニング」のなかから、1〜3歳ごろから取り入れられる4つのエッセンスを抜き出してみましょう。

(1)できるだけ両手を使う

手先を使うことは、脳の発達に大きな影響を与えます。

1〜3歳頃は、利き手を意識せず両手両足を同じように動かすことが重要。両手が十分に使えるようになったあとで、おのずと「使いやすい手」が決まってきます。

使いやすい手が決まっている場合も、反対の手をしっかりと使うよう意識してあげましょう。

(2)「時計の針」を意識した言葉がけ

幼児には、目で見た情報が伝わりやすいもの。リビングなどにアナログ時計を置き、「針がここまできたら、お片付けね」などと語りかけて時間感覚を身につけさせましょう。

「もう3時だから、おやつね」「2時から1時間も寝ていたね」など、数字を入れて言葉をかけてあげると、さらに効果的です。

(3)「タイマー遊び」で時間感覚を磨く

秒針のあるアナログ時計を使い、1分間「アーーー」と声を出し続ける遊びです。

日常にあるもっとも身近な数字は「時間」です。1分の長さを体感することで、時間というもの自体の意味をつかむ手助けになります。

息が続かなくても大丈夫。「ちょっとお休みして、また声を出してね」と声がけし、親子で楽しく声出し遊びをしてみましょう。

(4)ひとケタのたし算・ひき算の「お経式暗算法」

ひとケタ同士、答えもひとケタのたし算、ひき算をお経のように唱えるトレーニング。

暗算をくりかえすと、神経細胞のつながり(シナプス)ができて関連細胞の数も増え、前頭前野がよく働きます。

本書には、おふろに貼ってたのしめる「お経式暗算法」ミラクルシートがついていて、すぐに取り入れることができるのも、うれしいですね。

脳のトレーニングは早いほどいい、ということも、脳の研究から明らかになっています。

脳は外からのはたらきかけによって刺激を受け、神経細胞の間にシナプスというつながりができていきます。この刺激への反応がもっとも活発になるのが1〜3歳ごろなのです。

本書には、すぐに取り入れられる「算数力アップ」の習慣が数多く登場します。すべて著者ご夫婦、競さんの視点から見た脳科学的根拠と、カヨ子ばあちゃんの子育て経験、育児メソッドに裏付けられたもの。

わが子の可能性を大きく広げてあげるためにも、手に取ってみたい1冊です。

(文/よりみちこ)

 

【参考】

※久保田カヨ子・久保田競(2016)『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』ダイヤモンド社