安倍晋三首相夫人の昭恵さんが今月、沖縄の反基地テント村や米ハワイの真珠湾を相次いで訪問した。「家庭内野党」を公言する昭恵夫人は、タカ派色が目立つ政権の“中和剤”的な役割を果たしているようだ。米ハワイにある真珠湾攻撃の追悼施設「アリゾナ記念館」

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2016年8月27日、沖縄の反基地テント村に米ハワイの真珠湾。8月に安倍晋三首相夫人の昭恵さんの動静が報じられた場所だ。いずれも夫は訪れにくい。原発政策に疑義を挟むなど「家庭内野党」を公言する昭恵夫人。タカ派色が目立つ政権の“中和剤”的な役割を果たしているようにも見える。

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昭恵夫人が8月6日に訪問したのは、沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設予定地につながるN1裏テント。建設に反対する市民らが座り込んでおり、ミュージシャンの三宅洋平さんらが同行した。

三宅さんは7月の参院選東京選挙区に無所属で立候補し、落選した。選挙ポスターには政権批判の急先鋒でもある山本太郎参院議員が一緒に写っていた。突然の来訪に市民らは戸惑いを見せたが、地元紙の取材に昭恵夫人は「映画『標的の村』を見て、実際何が起きているか自分の目で現場を確かめたいと思った」と話したという。

昭恵夫人は同県名護市辺野古の新基地建設にも批判的。昨年6月には週刊誌のインタビューで結婚前、石垣島の新空港建設に関し「飛行場を造るとサンゴ礁が破壊されてしまう」と首相とけんかしたことを告白した上、「本心を言うと、辺野古の飛行場も海の上には造らないでほしい」と答えている。

その後、昭恵夫人は自身のフェイスブック(FB)で22日、米ハワイ・オアフ島の真珠湾を訪れたことを紹介した。自ら主催する「日米国際海洋環境シンポジウム」に出席するためハワイを訪問した際に立ち寄ったもので、FBに追悼施設「アリゾナ記念館」で手を合わせる写真を投稿し、「お花と祈りを捧(ささ)げました」と書き込んだ。

昭恵夫人の真珠湾行きは、安倍首相訪問の地ならしではとの臆測も招いたが、菅義偉官房長官は22日の記者会見で「夫人の訪問は私的なものだ」と指摘。安倍首相の真珠湾訪問については「全く予定にない」と強調した。

首相の真珠湾訪問は歴代政権の懸案事項の一つ。国内に「謝罪に追い込まれる」などの反対論が根強く実現していない。今年は1941年12月8日(現地時間7日)の真珠湾攻撃から75年。オバマ米大統領の広島訪問の「返礼」の意味もあり、リオデジャネイロ五輪閉会式で土管からマリオ姿で突然登場したように安倍首相が「電撃訪問」すれば、持論の「日米同盟の強化」にも格好の好材料になるのだが。

その一方で昭恵夫人は保守層への気配りも忘れていない。戦後70年の節目だった昨年は5月、8月、12月と3回にわたり靖国神社に参拝した。3回目は日韓外相会談で慰安婦問題が一応決着したのと同じ12月28日。

FBでは戦争を賛美していると中韓両国などから批判が強い遊就館にも足を運んだことを明記。「家族に宛てた手紙や遺書を読むと胸が苦しくなります。どんな気持ちで戦火に散っていたのだろうか…多くの遺影が語りかけてきます」などとつづっている。(編集/日向)