Photo by Nicolas Alejandro Street Photography

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 地球の反対側から数々の名勝負、名場面を見せてくれたリオデジャネイロ・オリンピックが終幕した。日本勢の大活躍もあっておおいに盛り上がったが、唯一日本中が凍りついた瞬間があった。女子レスリング・フリースタイル53kg級決勝、そう吉田沙保里(33)が敗れた時だ。

 <霊長類最強の女><敗北を忘れた女>などなど、単に<強い>という表現では収まらない存在であった吉田。事実、公式戦119連勝(注1)、世界選手権13連覇(注2)を成し遂げ、4度目のオリンピック金メダルに手をかけていた。日本、いや世界の女性アスリート史上トップクラスの選手なのは間違いない。

 そんな吉田に憧れてレスリングを始めた、今回の日本の金メダリストたち。ついに吉田を破った米国のヘレン・マル―リス選手(24)も、「サオリは憧れだった」とリスペクトを隠さない。吉田が女子レスリングの地位を上げ、すそ野を広げてきた。まさに生ける伝説だ。だから、

「たくさんの方々に応援して頂いたのに、銀メダルで終わってしまって申し訳ないです」

 と、うなだれる必要はまったく無い。間違いなく、日本中が吉田沙保里を誇りに思っている。だからこそ、彼女の去就も注目されるのだ。

■吉田が選ぶ今後の進路はまさかの?

 アニマル浜口(68・注3)は娘の浜口京子(38)が五輪で敗退するたび、次回の開催地を大声で連呼。「次を目指せ」と鼓舞していた。しかし、これだけの栄光を築いた33歳の吉田に、すぐに「2020年東京オリンピックで再び金を」と言いだす向きは、少ない。

 吉田本人も、いったんは「東京を……」と言いかけたが、

「今はすぐにやる気にはならない。引退も頭の中には出てきた。今まで引退というのは全然なかったんですけど……」

 と熟考モードへ。恩師・栄和人コーチ(56)の言うように、しばらくは母校・至学館大の大学院に籍を置き、指導者としての勉強をするのがリーズナブルな進路と思われた。が……

■吉田に忍び寄る黒い影

「吉田を担ぎ出そうとしている人たちが居て、彼らが五輪前の超豪華な<吉田壮行会>を取り仕切ったんです」(スポーツ紙記者)

 都内のホテルで開催された会は北島康介(33)、澤穂希(37)、吉田秀彦(46)ら(注4)スポーツ界VIPはもちろん、芸能界、政界、財界からも大物が参加。五輪壮行会としては異例の総勢1000人を超えるお祭り騒ぎとなった。

 主催したのは(株)うぼんと、(株)ドリームファクトリーワールドワイド。

「それぞれ、総合格闘技イベント<RIZIN>の榊原信行実行委員長(52)と高田延彦統括本部長(54)が深く関わっている会社です。つまり彼らは、吉田沙保里を総合格闘技へ引っ張ろうとしている。狙いは大晦日のテレビ生中継でのデビューでしょう」(前出・記者)

 にわかには信じがたいが、吉田の総合格闘技デビューが実現したら世界的な注目を集めるのは間違いない。しかし心配もすぐに二つ浮かぶ。まずは余計なお世話だろうが、結婚願望の強い吉田が婚期を逃すのではないか(注5)? という点。

 そして――榊原実行委員長と高田統括部長といえばRIZINの前身、PRIDEからの中心メンバー。PRIDEは反社会勢力との深い関係が問題視されて、解体へ追い込まれた経緯がある。榊原実行委員長は「今度はクリーン」と言っているが……。

 吉田沙保里の人生だけに、彼女がどういう選択をしようと自由。しかし国民栄誉賞受賞者である吉田は、本人が思う以上に少年・少女の憧れであり、規範となることを求められている。賢明な判断を期待したい。

(注1) 公式戦119連勝…いったん途切れるが、その後また58連勝。
(注2) 世界選手権13連覇…いまも継続中。
(注3) アニマル浜口…京子の父で、元IWA世界タッグ王者のプロレスラー。アマレス経験は無い。
(注4) 吉田秀彦ら…引退しているが敬称略。
(注5) 婚期…吉田は元なでしこの澤に恋愛・結婚相談をよくしているが、澤に言わせると「サオリは焦り過ぎ!」だそうだ。

著者プロフィール


コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ