急に我慢が出来ないほどの尿意をもよおして漏らしてしまったり、頻尿になる渦活動膀胱。悩まされる人は40歳以上で900万人近くに上るという。命に関わる病気ではないが、仕事や睡眠が妨げられるなど、生活に支障が出る可能性がある。

 東京・葛飾区に住む男性(60)は、10年ほど前から急にトイレに行きたくなり、頻尿にも悩まされるようになったという。多いときは1日12回以上もトイレに行き、我慢できずに漏らしてしまうこともあった。受診した日大板橋病院で「渦活動膀胱」と診断された。
 この渦活動膀胱は、膀胱が縮み、過敏に働くことで起こる。急に尿意をもよおして漏らしてしまったり、昼も夜も頻尿になる場合もある。その割合は加齢とともに増加し、70歳以上では3割以上の人がこの病気に罹っているとされ、40歳以上でも12.4%という推計もある。ちなみに、男女差はない。

 昭和大学病院泌尿器科の担当医はこう説明する。
 「女性は加齢や出産で膀胱や尿道を支える筋肉が伸び、弱くなることで起こるようです。一方の男性は、前立腺肥大症によって尿道が圧迫され、膀胱に負担がかかって起こることが多い。膀胱には、腎臓で集められた水分と体内の老廃物を尿として保持する機能があり、膀胱が一定の大きさに達すると尿意を脳に伝え、排尿を行う働きをします。渦活動膀胱では、膀胱の大きさに関係なく尿意を発生しやすくなり、頻尿が起こってしまうのです」

 具体的な症状としては、尿意切迫感(急に排尿したくなり、これ以上我慢すると漏らしてしまいそうになる)、頻尿(1日8回以上の排尿)、夜間頻尿(睡眠時間中に1回以上排尿に起きる)、切迫性尿失禁(排尿したくなってすぐに我慢できずに失禁しまうこと)がある。
 ただし、同様な症状をきたす他の原因が明らかな場合もある。たとえば下部尿路の炎症、感染症、悪性腫瘍、尿路結石などの場合は、治療方法が異なるため渦活動膀胱からは除外されるという。
 「症状が進行すると、排尿を意識的にコントロールしにくくなり、切迫した尿意が起こりやすくなるため、トイレに行くのを我慢することが出来なくなってしまう。そのため、トイレに行く途中で漏らしてしまったり、集中できず仕事にも支障をきたす。さらに、寝ている最中に尿意で目が覚め、睡眠不足になってしまうことが度々あります」(同)

 国立長寿医療研究センターの吉田正孝集中治療部長はこう言う。
 「夜間に何度もトイレに行きたくなる“夜間頻尿”は、高齢者の場合、転倒や肺炎リスクを高め、寿命が短くなるとの研究結果もあります。夜間頻尿の原因は、寝る前の水の飲み過ぎや飲酒などの生活習慣、あるいは前立腺肥大、渦活動膀胱などといった病気の可能性が考えられます」