堅実女子の悩みに、弁護士・柳原桑子先生が回答する本連載。今回の相談者は、三浦真澄さん(仮名・34歳・契約社員)。

「私は、四国にある小さなメーカーで契約社員をしています。ここはまだ、男尊女卑な土地柄だと感じることもありますが、実家で生活し、そこそこ楽しく生活しています。でも、先日、転職してきて来た正社員の男性(42歳・既婚者)から、しつこく食事に誘われ、1回は応じたのですが、みんなもいると思ったら、私達2人きりだったんです。それで、妙な雰囲気になってしまい、酔ったふりして気分が悪くなったと言ってあわてて帰りました。

その後も、何回も誘ってくるので、毎日がゆううつ……。彼はオラオラ系と言うか、ちょっと怖いところがあって、断ったら軽く嫌味を言われたり、”年増のブス”と陰口を言われたりしているようです。それなのに、まだ食事に誘ってきます。さらなる嫌がらせをされた場合を想定して、どう対策をしたらいいでしょうか。彼は男性社員を巻き込んで、私をハブにしそうなんです。そういういじめに遭った場合、どんな証拠をあつめておくといいでしょうか?」

 柳原桑子先生からの回答は……!?

このケースの場合、しつこく誘う上司の男性が既婚者ということ。2人だけで食事をしたという事実があると、相手の妻から不貞を疑われてしまうことが想定されます。

もちろん、食事をしただけでは、即不倫とされることはありません。しかし、妻から疑われてしまう可能性が高くなります。地方在住とのことですが、もしかしたら、2人で食事をしているときに妻が鉢合わせてしまうことや、彼ら夫婦を知る人に、あなたと彼が食事をしているところが見られてしまい、妻に報告されることだって想定できます。

妻から疑いの目で見られてしまうことは、不利に働くケースが多いことを頭においてください。

ですので、上司からの誘いを断るときに、「奥さんに知られたら大変ですよ。食事はみんなで楽しく行きましょう」というニュアンスを盛り込むと角が立たないと思います。いかがでしょうか。

しかし会社の雰囲気や、上司のパワーバランス的に、それが難しいとあなたが判断し、断った後に嫌がらせを受けたらどうすべきか……これは個人で悩むよりも、会社の相談窓口に相談して、部署異動や配置換えなどを含めた対処をしてもらうことが考えられます。

相談しても状況が変わらず、風当たりが強くなった場合は、労働基準監督署や労働問題に強い弁護士に相談を。解決のためには、内容にもよりますが、このケースだと、“証拠”が必要になることが考えられます。

例えば、上司からどのようなことをされたのかを残した日記やメモ。このときのポイントは受けた攻撃内容だけでなく、その場に居合わせた人の名前、ニュースや天気など客観的な内容とセットで記しておくと信憑性が高いと判断されます。

あとは録音です。嫌がらせを受けた時の音声を記録しておくと、証拠として有効です。ただ、会社にいる間、延々と録音モードにしておくわけにはいきません。相手の行動パターンを知り、“ここだ”という時にレコーダーのスイッチを入れる人が多いようです。これらの証拠を集めてから相談に行くと、正確な内容とともに相談ができ、早期の問題解決につながりやすくなります。

そもそも、このような問題に巻き込まれないため、あるいは巻き込まれたときに冷静な対応を取るためにも、会社の相談窓口を把握しておくことや、自分に味方をしてくれる証人になってくれる人は多い方がよいので職場で孤立しないように心がけるとよいでしょう。

上司から誘われるのが嫌で、会社に行くのも気分が重く……。



■賢人のまとめ
2名での食事は不貞を疑われる可能性が高いことをおさえて。会社での自分の立場が悪くなる前に、相談窓口などの把握をしておくこと。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/