ピッツァ・フリッタ

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目の前に“揚げ餃子のお化け”があらわれた。
ふっくらとキツネ色に揚がり、直径28cmの皿からはみ出したその様は、まるで揚げ餃子の親分である。
もちろん、餃子ではない。

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ピッツァの生地にリコッタチーズ、サイコロ状に切ったパンチェッタコッタ(ベーコンの一種)を載せる。その上に黒胡椒をガリガリと引き、ちぎった燻製モッツァレラを盛る。
生地を重ねあわせたら、生地を密着させるため、何度も空手チョップをおみまいし、油で揚げる。

これが8月4日横浜市内にオープンした、ピッツェリア「ラ・フィーリア・デル・プレジデンテ」でイチオシの「ピッツァ・フリッタ」(1680円)である。

食べかたには、コツあり!

ふつうのピッツァと同じように、ナイフとフォークで切って食べるものだと思っていたら、「ちょっと待ってください」と今井憲さんが声をかけてくれた。

今井さんはこの店のピッツァ職人。

「ピッツァ・フリッタをおいしく食べるにはコツがあります」と今井さんが実演してくれた。

昔、お好み焼き屋の老舗「染太郎」で、お好み焼きの焼き方の極意を教えてもらったことがある。ヘラで押してはならないというのだ。「せっかくおいしそうにふくらんだのだから、女性のように、やさしく扱え」と厳命された。

ところが、このピッツェリアでは、ふっくらとふくらんだ揚げピッツァを、フォークとナイフで押しつぶし、ぺっちゃんこにして食べろというのである。

「押すことで、中心に集まったパンチェッタコッタが均等に散らばり、よりおいしくなります」

揚げてあるのにぐどさがまったくなく、軽い仕上がり。
カリッと揚がった食感、パンチがきいた黒胡椒、チーズの風味がよくマッチしている。

乱暴な言い方をすると、カルボナーラの味に似ている。卵こそ使っていないが、乳製品のリコッタチーズと燻製モッツァレラ、ベーコン、黒胡椒が醸し出す味わいは、カルボナーラにちょっと似ている。

近頃、ピッツァ・フリッタを出す店が増えているようだが、この店はナポリで人気の「ラ・フィーリア・デル・プレジデンテ」の日本進出第1号店だ。

「ピッツァ・フリッタはナポリ本店の一番人気で、横浜の店でもその味を再現しています」

「水牛」からできたモッツァレラ「モッツァレラ・ディ・ブッファラ」

ラ・フィーリア・デル・プレジデンテ。日本語に訳すと、大統領のピッツァ職人の娘。
ナポリ訪問中のクリントン前大統領に、ひとりのピッツァ職人がピッツァをふるまった。そのピッツァをクリントンがたいそう気に入った。

それが自慢の種で、ピッツァ職人は独立した際、「イル・ピッツァイオーロ・デル・プレジデンテ」(大統領のピッツァ職人)をナポリに開業した。
その娘マリアがナポリで始めたのが、ラ・フィーリア・デル・プレジデンテである。

マリアには、日本で開業したいという思いがあった。できればナポリと同じ港町でと考えていた。横浜市内にあるイタリア食材のインポーターとタッグを組むことになったことから、横浜で開業したというのである。

本場ナポリピッツァを提供するため、横浜のインポーターが扱うナポリ産の食材を使っている。
小麦粉はナポリ産100%。モッツァレラもナポリ産。ナポリの本店や、ナポリのピッツェリアが愛用するイオヴィーネというチーズ工房産を選んだ。

そのモッツァレラには2種類ある。牛乳で作ったタイプと、水牛で作った「モッツァレラ・ディ・ブッファラ」だ。
本来は水牛で作ったものが、モッツァレラだった。

ところが、水牛の数が減ってきたこともあり、水牛以外で作ったものも近年、モッツァレラと呼ぶようになった。

モッツァレラ・ディ・ブッファラと、そうでないモッツァレラはどれだけ味が違うのか。
今井さんによれば、クリーミーさがまったく違うという。

実際食べ比べると一目瞭然。いや、一舌瞭然である。
水牛製のほうが、クリーミーで濃厚。しかも弾力がある。
今回注文しなかったが、イオヴィーネのモッツァレラ・ディ・ブッファラだけも食べられるので、いつも食べている牛乳で作った国産モッツァレラと比較してみると面白いかもしれない。

もちろん、この店でもナポリピッツァを代表する「マルゲリータ」を出しているのだが、ふつうのモッツァレラと水牛のモッツァレラを使った2種類のマルゲリータがある。
せっかくなので、水牛のモッツァレラで作った「マルゲリータ・ブッファリーナ」(1280円)を頼んだ。

生だと、水牛とそうでないものの違いが明確なのだが、焼いてしまうとわからなかった。
ふつうの「マルゲリータ」(980円)とマルゲリータ・ブッファリーナを食べ比べるとその違いが明確かも。

ナポリピッツァの名店が初出店したこともあり、ピッツェリア業界からも一目置かれている。
本場の味はなにがどう違うのか、試してみたい。本記事を見て、ピッツァ・フリッタのおいしい食べ方を覚えておくと、注目を浴びるかも。

ラ・フィーリア・デル・プレジデンテ
神奈川県横浜市中区常盤町5-59
045-228-8846
11時30分〜15時(14時30LO)、17時〜23時(22時LO)
日曜、第1月曜休