元有名ハガキ職人『サービスカード高柳』さんのストイックすぎるラジオ生活「1週間に77枚は最低ノルマでした」

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「ハガキ職人」と聞いてどんなラジオネームを思い出しますか?

ハガキ職人とは、ラジオに優秀なお便りを送る常連リスナーのこと。最近はハガキではなく、メールやSNSのハッシュタグを使った投稿が多く、メール職人やネタ職人とも呼ばれています。

私が学生時代に夢中で聞いていた、ニッポン放送のオールナイトニッポンのハガキ職人で、ひときわ印象に残っているラジオネームがあります。

その名も『サービスカード高柳』。調べたら、なんとラジオの放送作家をしているじゃないですか!

というわけで、ハガキ職人時代や、放送作家になってからのお話をたっぷり聞いてみました。

<サービスカード高柳さん>

1997年〜2006年までニッポン放送、文化放送、TBSラジオなどの各番組で有名ハガキ職人として活躍。

現在は、放送作家として8つのラジオ番組を担当している。

浪人生から有名ハガキ職人に

--どのラジオ番組でハガキ職人をしていましたか?

有名どころだと、ナインティナインさんのオールナイトニッポン、ロンドンブーツ1号2号さんのオールナイトニッポン、西川貴教さんのオールナイトニッポン、ゆずさんのオールナイトニッポン。

他にも、放送局や時間帯を問わず、様々な番組にハガキを送っていました。

--『サービスカード高柳』というラジオネームの由来は?

中学時代、ラジオ好きの友達がいたんですが、僕が浪人生になってから疎遠になってしまって。

そんな彼らがもしラジオを聞いていたとしたら、ラジオネームを聞いて「あの高柳だ!」って気づいてもらえるようなキーワードを入れようと思いました。

そこで、中学生の頃よくモノマネしていた、地元のCDショップの店長のセリフ「サービスカード持ってんの?」から“サービスカード”というキーワードを拝借して苗字とくっつけてみました。

実際に、友人から連絡がきて気づいてもらえたみたいです。

--ハガキ職人になるきっかけは?

浪人生の時にとてつもなく暇で、本当は勉強しなきゃいけないんですがラジオばっかり聞いていました。

で、たまたま家にハガキがあったので、なんとなく1枚だけ送ってみたらそれが読まれたんです!それから嬉しくて毎週送るようになったのが始まりですね。

そのうちネタを送ってないとラジオを聞く時にもやもやするようになって、例えばコーナーが4つあったとしたら、全部送らないと心から楽しめない。

例えるなら、日本人選手が出ていないオリンピックを見ている感じ。全然見られるし楽しいけど、参加している感がなくて気持ちが入らないんですね。

ハガキ代は総額90万円超え

--ネタはハガキで送っていましたか?

当時は携帯電話もパソコンもあまり普及してなかったので、ハガキを送るのが主流でした。

“1週間に77枚ハガキを書いて、1日5ネタ採用される”というノルマを設定して、それに向けて頑張って書いていました。

番組によっては、採用数のレースをやっている時があるので、その時は1つでも上の順位になろうと書きまくってましたね!77枚は最低ノルマで、レースの時は、意を決して200枚書くときもありました(笑)

--そうなると気になるのはハガキ代ですが…。

1997年の8月〜2006年の6月まで、だいたい9年間ハガキ職人をやっていました。

特に最初の5年間は熱を入れて書いていて、後半はその半分ほどの量を書いていたので……(暗算をしながら)ざっくり計算して90万円くらいですかね。ムキになって1週間に200枚つぎ込んでる時もあったので、本当はもっといってると思います。

郵便局で販売している5円安い「広告付きのハガキ」というのがあって、足繁く郵便局に通って販売されていたらまとめ買いしていました。たった5円でも、400枚買ったら2000円安くなりますからね!

--ハガキ1枚につき、1つのネタを書いていたのでしょうか?

ネタの出来と、番組によって使い分けていました。

自分の中で読まれて欲しい100点のネタと、ボツにはしないけどまあまあかなってネタがあるんですよ。だから100点のネタは1枚単体で出して、70点80点くらいのはまとめて出します。

あとは、番組のスタッフの好みに合わせます。スタッフによっては、1枚1ネタでドカンと書いた方が響く人と、1枚1ネタは狙いすぎだと思う人がいるんですよ。

あと、同じ番組に同じ広告のハガキを送るのはいやでしたね。いろんな柄の広告付きハガキを買い集めて、バラバラの広告がついているものを選んで書いていました。

同じ広告だと同一人物だってわかるじゃないですか。そうすると、「じゃあどっちかのネタにしよう」ってなるのかなと思って。

同時に2つのラジオを聞く

--ハガキが読まれた時の心境は?

大体読まれる時は、「住所」「ラジオネーム」の順で読まれるんですけど、まず自分の住所が読まれた時にバンと喜びがきて、ラジオネームでまたバンときて……でも次が重要なんです。ネタがウケるかウケないか。

パーソナリティーの方は優しいので笑ってくれるけど、「心からウケているのか?無理させてないか?」と気にしますね。

そのネタでトークが盛り上がったらヨッシャーってなるけど、すぐ次のネタにいったら「あ、ウケてないのか」って。

--ちなみに打率はどのくらいでした?

番組によって違いますが、感覚的には2割くらいは読まれていたと思います。

人気番組は競争率が激しいですが、深い時間にやってる番組や、人気番組の裏番組とかは穴場なので、そういったところは読まれやすかったです。

--え、裏番組までチェックしてるんですか?

当時ラジカセが2台あったので、主力の番組を生で聞きつつ、CMいったらそっちの音を下げて裏番組の音量を上げて聞いてました。

裏番組のコーナーが始まったら大きめにかけて、でも主力番組の方も薄めに流しておいて、動きがあったらいつでもFAX送れるように待機してました。

--ネタはいつ考えるんですか?

基本的には、「よしっ考えよう!」と思って考えます。考えるモードになってるので、ネタはどんどん出ましたね。

テレビ見たり、歩いている時にふと思いついた時は、無印良品で買ったメモ帳に記録してました。

ハガキが読まれるコツは「見やすさ」

--ハガキを書くときのこだわりはありますか?

これはハガキ職人それぞれこだわりがあると思うんですが、今僕が放送作家として選ぶ側になってやっぱりそうだなって思ったのが、第一に「見やすいこと」。

話はすごく面白いのに、字が汚いとうまく頭に入ってこないんですよね。その人の話のポテンシャルを発揮しきれないんです。それはすごくもったいない。

あとたくさんのお便りを読んでいて、たまにキレイな字が入ってくるとそれだけで気持ちが明るくなるんです(笑)

だからできるだけ、字はキレイに書いた方がいいです。

--イラストを書いたり、派手にデコレーションするのはどうですか?

その人の個性に合っていれば良いと思います。

読まれやすさに繋がるかはわからないですけど、覚えてもらった方がパーソナリティーも親しみやすくなりますね。

ただ、あまりにもデコレーションしすぎるのは、かえって印象が悪くなりますね。

パーソナリティーが結婚を祝福

--パーソナリティーとの交流はありますか?

交流というとおこがましいですが、放送作家になってから挨拶をさせていただきました。昔のラジオネームを言って、覚えてくれているとうれしいです。

また、土屋礼央さんをはじめ、一緒に番組をやっていたパーソナリティーの方々が結婚式の披露宴に参加してくださることもありました。

--ハガキ職人同士の交流はありますか?

昔のラジオではよく出待ちがあって、ファンの方やハガキ職人がラジオ局の前で待ってたんですよ。それに参加して、ハガキ職人と連絡先を交換することはありました。

その後、ウェブのBBS(掲示板)が流行って、各番組のBBSでハガキ職人とコミュニケーションをとって、パーソナリティーのライブで会うということはありましたね!

今はTwitterで検索すればいいし、Facebookをやってると「友達ですか?」って気を利かせて教えてくれるじゃないですか。だから今だったらラクだなって思います。

--現在も親交があるハガキ職人は?

エビスマンさん、シーブックたけのりさん、シオンJrさん、ダビッツのメガネさん、楽屋ニュースさんなど、いろんな方と今でも交流があります。

--ハガキ職人時代に一番心に残っていることは?

西川貴教さんのオールナイトニッポンで、映画の試写会にリスナーを招待して、ラジオの生放送と中継をするってイベントがあったんですよ。

僕も参加したいとハガキを送ったらそれが読まれて、「試写会に高柳がいるぞ、ステージに上がれ」って西川さんに言われて、1000人を前に足が震えて頭がまっしろになりました。

しかも、そこで“輪になって踊ろう”というコーナーをアドリブでやったんですよ。その時になんて言ったかは覚えていません(笑)

放送作家を目指し上京

--放送作家になるきっかけは?

大学卒業後、一般企業に就職したんですが、社会人3年目の時に、好きなラジオが2つ終わったんですよ。そこでオールナイトニッポンロスになり、急にハガキを送るエネルギーがなくなっちゃったんですね。

そのタイミングで会社の人事異動の話があって、どうせ新しい環境になるなら放送作家を目指すという道もあると思い、埼玉から東京に引っ越しました。

東京に来てから、たまたまラジオのお手伝いをする機会があって、そのお礼にとニッポン放送を案内していただいたんです。

そこで様々なスタッフを紹介していただき、あるラジオで人手不足だという話を聞きました。

その番組スタッフが僕のことを知っていて「放送作家に興味ある?」と声をかけてくださって、見習いとして関わらせていただいたのが始まりです。

偶然にも、ニッポン放送を案内してもらうきっかけをくれたラジオ番組で、今僕がメイン作家をしています。

--現在担当している番組は?

・ミューコミ+
・ももいろクローバーZのSUZUKIハッピークローバー
・angelaのsparking!talking!show!
・竹達彩奈のオールナイトニッポンモバイル
・JA全農カウントダウンジャパン
・冴えないラジオの育てかた
・神田莉緒香のKANDAFUL RADIO
・吉川友のShoewroom

の8つです。

--ハガキ職人から放送作家になる方は多いですか?

多いですね。ハガキ職人出身の方もいますし、芸人さんや脚本家さんから放送作家になる方もいます。

特に深夜ラジオは、ハガキ職人出身の方が多いと思います。

--テレビ、雑誌、WEBなど様々なメディアの中でラジオを選んだ理由は?

参加できるっていうのが一番の理由ですね。パーソナリティーの方が、自分に話しかけてくれるような感覚になるし、ハガキを読んで会話をしている感じが身近で心地いいんです。

実は雑誌の投稿コーナーにも送ってたことがあり、それはそれで楽しかったです。ラジオは受け身なんですけど、雑誌は自分で見にいかないといけないんですよね。

少年ジャンプの投稿コーナーに載った時に、西川貴教さんがそれを読んでラジオで言ってくれた時はダブルで嬉しかったです!

--今ハガキ職人になるとしたらどの番組がいいですか?

1つには決められないんですが、やっぱり深夜ラジオが好きなので、オールナイトニッポンとJUNKには送りたいですね。

--復活してほしいラジオは?

2つあって、1つは『西川貴教さんのオールナイトニッポン』。西川さんは今も短い番組をやっているんですが、やっぱり2時間のボリュームで聞きたいですね。

もう1つは、小堺一機さんと関根勤さんがやっていた『コサキンDEワァオ!』。これは一番最初に聞いてたバラエティラジオで、僕の原点なんです。

ハガキ職人時代を思い出しながら、懐かしそうに語ってくれたサービスカード高柳さん。

ラジオを聞くだけではわからなかった、苦難やサクセス・ストーリーを知ることができました!