■連載/星野知大のBike&Run快体進書

 7月に行なわれた世界最大のサイクルロードレース「ツール・ド・フランス」(以下、ツール)はクリス・フルーム(イギリス)の2年連続3度目の総合優勝で幕を閉じ、8月には石畳の道もコースに含まれた「リオデジャネイロ五輪」(以下、リオ五輪)の自転車ロードレース競技も終了。そして、ここからはそれら多くのトッププロレースに投入された最高級モデルを含む2017年モデルが続々と発表される。

 2017年のロードバイクは、空力特性や軽量性を極限まで追求した旗艦モデルはもちろんのこと、各ブランドが培ってきた高い技術力を投下した価格10万円台のモデルに注目だ。次世代のロードバイクタイプであるディスクブレーキ搭載モデルや、トッププロチームのレプリカカラーをまとった意欲作まで、多くのモデルがラインアップされている。

 今回は、ツール・ド・フランス出場チームを中心に、各チームのトッププロ選手も使用する超高級モデルと、スポーツバイクに初めて乗る人も満足な10万円台モデルを紹介していこう。
※価格表記は税抜き(2016年8月15日現在)

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圧倒的な実力とチーム力でツール総合優勝を果たしたクリス・フルームの特別モデルも発売される

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リオ五輪で金メダルに輝いたファビアン・カンチェラーラが開発に関わった10万円台モデルも登場

◎性能と美しさを兼ね備えた流麗なフォルム! ツールを制した世界最高技術を実感

 2016年のツールを制したクリス・フルームを擁するチームSKYは、イタリアの名門ブランド“ピナレロ”を使用。同ブランドは今回のツール制覇によって12回目のチャンピオンバイクとなり、チームSKYとのパートナーシップは2020年まで継続することが発表された。

 チームSKYの走りを支えたのは、2014年のジロ・デ・イタリアで鮮烈なデビューを果たし、今なお高い人気を誇る『ドグマF8』。日本の東レ製カーボンを使用し、左右非対称の流麗なフォルムで高い性能を実現したこの旗艦モデルは、2017年も継続リリース(フレームセット61万5000円)。クリス・フルームのツール制覇を記念してツール優勝カラーであるイエローで彩られた特別限定モデル(フレームセット61万5000円)も発売される。

 さらに、クリス・フルームがツールの山岳ステージで使用した『ドグマF8』の軽量版『ドグマF8 XLIGHT』(フレームセット85万円)が世界限定200台でリリース。通常の『ドグマF8』と形状は同じだが、最新の東レ「トレカ T1100G UDカーボン」を使用するなど軽量性を進化させ、フレーム780g・フロントフォーク340gを実現。極限まで無駄をそぎ落としたため、ライダー体重+装備重量あわせて最大75kgまでの体重制限が設けられている。

 高級ブランドとしてのイメージが強いピナレロだが、その高い技術が投下された10万円台ロードもラインアップ。アルミフレームに流れるような形状のONDAカーボンフォークを装備した『プリマ』は、完成車14万3000円。42SLの小さめから56まで7サイズ用意されているので、小柄な人から身体に合ったサイズを選びやすい点もうれしい。

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ONDAフォークによって抜群の操作性を実現した、ピナレロのベーシックモデル『プリマ』

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『プリマ』は黒基調に蛍光イエロー・青と、白基調に黒・赤が入ったモデルの2カラー

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ツール優勝を祝うフルームとチームSKYの前には『ドグマF8 XLIGHT』が置かれている

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チームSKYカラーの『ドグマF8 XLIGHT』。42SLから59.5まで12サイズを用意

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ツール優勝記念のスペシャルカラー『ドグマF8』。フレームにはフルームのキャラクターである爛薀ぅ痢淵汽ぁ豊瓩離ぅ薀好箸入る

◎旗艦モデルの魅力が香る10万円台モデルが素晴らしい! リオ五輪チャンピオン2ブランド

■リオ五輪・男子ロードレースを制した質実剛健が魅力のスイスブランド“BMC”

 石畳の道でのメカトラブルや、テクニカルな下りルートでの落車など、サバイバルレースの様相を呈したリオ五輪の男子ロードレースを制したベルギーのフレフ・ヴァンアーヴェルマート。彼が使用しているバイクがスイスブランドの“BMC”だ。

 旗艦モデルの『Teammachine SLR01』(フレームセット46万円)は、チームマシンという名の通り、ヴァンアーヴェルマートも所属するBMCレーシングの選手たちの要望を反映し開発されたモデル。2013年に登場後も進化を続け、ツールやリオ五輪で活躍している。完成車としてはデュラエース、アルテグラ Di2、アルテグラをそろえており、2017年モデルではパーツアッセンブルが見直され、シマノ アルテグラ コンポーネント搭載で完成車58万円を実現した。

 さらに、そのテクノロジーをアルミフレームに応用し、バランスの取れた性能と手に入れやすい価格帯を実現した「ALR01」シリーズ(完成車16万9000円〜26万円)。旗艦モデルと同じジオメトリーを採用したことで、性能はもちろんのこと、見た目も上位モデルに迫る高級感を得ることに成功した。

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旗艦モデル『Teammachine SLR01』のジオメトリーを受け継ぎ、高い性能を実現した『ALR01』

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旗艦モデルの『Teammachine SLR01』。BMCレーシング仕様の白カラーは日本未発売

■2度目の金メダルに輝いた名選手が愛する米国ブランド“トレック”の充実ラインナップ

 4度の世界チャンピオン、さらに北京に続きリオ五輪の個人タイムトライアルでゴールドメダルを獲得したスイスの名選手ファビアン・カンチェラーラが所属するトレック・セガフレード。同チームが使用するバイクがアメリカの世界的人気ブランド“トレック”だ。ロードレースからMTB、キッズ用モデルまで幅広いラインアップを誇り、ロードバイクだけとっても、総合力に優れた「マドン」シリーズ、軽量性を追求した「エモンダ」シリーズ、石畳の荒れた路面でも高い性能を発揮する「ドマーネ」シリーズなどが用意されている。

 とくにカンチェラーラからのフィードバックによって開発された「ドマーネ」シリーズは、縦方向の振動吸収性を高めながら、横方向の剛性を上げてパワー伝達性を高める独自技術が採用され、本気でレース出場を考えているライダーから、ロングライドを楽しみたいホビーサイクリストまでオススメのシリーズとなっている。
 なかでも、アルミフレームを採用し、完成車15万6481円と比較的手ごろな価格でドマーネの乗り味を楽しめる『ALR 4』は、トレック・セガフレードのロゴが入った注目モデル。28Cの太めのタイヤが装着され、タイヤのエアボリュームによるクッション性の高さも魅力だ。

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シートチューブが独立の動きをしてサドルに伝わる振動を吸収する『ドマーネ ALR4』

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カンチェラーラのスペシャルカラーのオーダも可能。彼が持っているバイクは『マドン9』

◎まだまだあるゾ! ベストバイな2017年注目モデル怒涛のラインアップ紹介!!

■10万円台でディスクブレーキロード! コストパフォーマンスに優れる“ジャイアント”

 世界最大規模の自転車ブランド“ジャイアント”の魅力は、業界屈指の高性能と自社工場一貫生産ならではのリーズナブルなプライス。ツールを走るチームジャイアント・アルペシンカラーのレプリカモデル『TCR ADVANCED PRO TEAM』は、同チームが使用する旗艦モデル『TCR ADVANCED SL』(2016フレームセット30万円)のテクノロジーを受け継ぐADVANCEDカーボンフレームに、シマノ アルテグラを組み合わせながら完成車34万円を実現した驚きの一台だ。

 また、新登場のアルミロード“コンテンド”シリーズにラインナップされるディスクブレーキ装備の『コンテンドSL DISC』(完成車15万5000円)は、快適性と加速性を兼ね備え、とても10万円台ロードとは思えないひとつ上の上質な走りを楽しむことができるだろう。

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乗り心地のよいフレームやタイヤで、街乗り用としても使いやすい『コンテンドSL DISC』

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ジャイアント・アルペシンのレプリカモデル『TCR ADVANCED PRO TEAM』は数量限定発売

■世界最古の自転車ブランド“ビアンキ”から10万円台で買えるカーボンモデルが登場!

 創業130年を超した現存する世界最古の自転車ブランド“ビアンキ”は、ツールを走る超高級モデルから街乗りにも最適なデザイン性に優れるモデルまでラインアップ。ツールでオランダの強豪チームであるロットNLユンボによってデビューした『オルトレXR.4』(フレームセット41万円)は、振動除去性の向上も追求したカーボンエアロロードだ。

 さらに、ロットNLユンボのチームバイクにも採用されているビアンキのコーポレートカラーのチェレステは、根強い人気を誇る伝統の色。そのカラーをまとったカーボンフレームを採用しながら、完成車15万3000円を実現した『イントレピーダ Sora』は、アップライトな乗車姿勢で休日サイクリングなどにも使いやすい。

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チェレステ以外にもマットグラファイト、マットホワイトが用意されている『イントレピーダ Sora』

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人工衛星や軍事産業で実用化されている振動除去技術が投下された素材を採用の『オルトレXR.4』

■ツール出場3チームが使用する米国人気ブランド“スペシャライズド”の実力モデル

 アメリカの人気バイクブランド“スペシャライズド”は、2007年・2009年のツール総合優勝のアルベルト・コンタドールや2015年のロード世界チャンピオンのペーター・サガンを擁するティンコフや、その他多くの人気選手が所属するエティックス クイックステップ、アスタナのトッププロ3チームが使用。その3チームも使用する旗艦モデル「S-Works Tarmac」シリーズ(完成車83万円〜95万円)は、サガンが世界選手権で勝利したときにも乗っていた高性能&最上級モデルだ。カラーリングは異なるが、世界No.1の選手たちと同じモデルを乗ることのできる最高の一台となっている。

 また、幅広い価格帯がラインアップされているスペシャライズドのエントリーモデル『アレーE5スポーツ』は、完成車10万円という驚きのコストパフォーマンスを誇る注目作。入門用とは思えない色鮮やかなグラフィックも魅力と言える。

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無線変速機スラム レッドeタップが搭載された『S-Works Tarmac』は完成車90万円

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溶接部分も滑らかで、フレーム全体的にも美しい曲線を魅せる『アレーE5スポーツ』

■フランス宝くじ公社がスポンサーの人気チームFDJが使用する「ラピエール」

 ツール・ド・フランスに長年参加するフランスの人気チームFDJ(エフデジ)が使用する“ラピエール”。2016年で創業70周年を迎える同ブランドの旗艦モデル『ゼリウス SL』(フレームセット35万9000円)は、FDJがツールでも使用する。トップチューブからシートステイが流れるような一体形状となる特徴的なデザインに、フランス・トリコロールをイメージさせるカラーリングが魅力のハイセンスな一台だ。

 さらに、アルミフレームにカーボンフォークを装備し、完成車13万9000円を実現した『アウダシオ 200』には、FDJのチームバイクをイメージさせる赤・青・白のトリコロールがカラーリング。フレーム各所に配された四葉のクローバーデザインのFDJマークが気分を盛り上げてくれる。

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フレームのベースカラーやパーツにも黒色を多用して高いデザイン性を魅せる『アウダシオ 200』

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高いパワー伝達性だけでなく、快適性とのバランスに優れた旗艦モデル『ゼリウス SL』

■ツール出場常連チームAG2Rが使用する質実剛健なドイツブランド“フォーカス”

 長年ツール出場を続けているフランスの“AG2R ラ・モンディアル”が使用するチームバイクが“フォーカス”。ドイツのナショナルチームにも採用され、その質実剛健なモノ造りに定評がある。

 旗艦モデルの『IZALCO MAX』(フレームセット42万円)はどんな地形でもよく走るオールラウンドタイプとして開発された。2016年のツールでは、山岳が多くコースに含まれた第19ステージでAG2R ラ・モンディアルのロメン・バルデが優勝したことからも、とくに上りに高い性能を発揮することを証明。さらに、入門用ロード『CAYO AL TIAGRA』(完成車15万7000円)は、上位モデルCAYO CARBONと同じジオメトリーを持ち、インナーケーブル、テーパードフルカーボンフォークなど細部までこだわりを見せる。

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25Cの少し太めのタイヤを装備し、ロングライドにも使いやすい『CAYO AL TIAGRA』

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メンテナンス性の高さを優先し、フレームの外側にワイヤーを通した『IZALCO MAX』

■カーボンキラーのアルミモデルが人気の革新的アメリカンブランド“キャノンデール”

 アメリカ東海岸で誕生した“キャノンデール”は、アルミフレームを長年作り続け、現在、高性能上位モデルの多くに採用されているカーボン素材のモデルに迫る性能をアルミフレームで実現。「カーボンキラー」と呼ばれることもある高性能アルミモデルで人気の高いブランドだ。入門用モデルとして最適な『CAAD OPTIMO』は、完成車で11万5000円〜16万円と抜群のコストパフォーマンスを誇る。

 さらに、ツールにも出場するキャノンデール・ドラパック チームにはカーボンフレームを供給し、チームからのフィードバックで磨き上げられたカーボンモデルも多くラインアップ。ツールで選手たちが使用したカーボンフレームをベースにディスクブレーキ仕様となって2017年モデルとして誕生した『SUPERSIX EVO Hi-MOD DISC TEAM』(完成車122万円)は、次世代のプロレースで活躍が期待される超最先端モデルだ。

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『CAAD OPTIMO』は、同ブランドのエリートレースバイク『CAAD12』や『SUPERSIX EVO』と寸分たがわぬジオメトリーでレーシーな走りを実現

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ツール実戦投入に向けて開発が行われた旗艦カーボンモデル『SUPERSIX EVO Hi-MOD DISC TEAM』

■ツール&オリンピックで活躍する日本人トッププロ新城幸也も使用する“メリダ”

 ツールをはじめとしたヨーロッパのトッププロレースで活躍を続け、リオ五輪では27位で完走を果たした日本を代表するプロロード選手、新城幸也。彼が所属するチーム ランプレ メリダが使用するのが“メリダ”だ。
 
 量産タイプのロードフレームとしては世界最軽量級の軽さフレームセット重量985gを実現した旗艦モデル『スクルトゥーラ9000-E』(フレームセット32万9000円)や、ランプレ メリダのチームバイクである『スクルトゥーラ チーム』(フレームセット26万9000円)、さらにこれらの上位モデルのテクノロジーを受け継ぎながら完成車18万9900円を実現したエントリーカーボンロード『スクルトゥーラ4000』など、入門用〜最高級モデルまでコストパフォーマンスに優れるモデルが多くラインアップされている。

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UCI(国際自転車競技連合)のレース出場可能な規格もパスしている『スクルトゥーラ4000』

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チーム ランプレ メリダの選手仕様を感じるレプリカモデル『スクルトゥーラ チーム』

文/星野知大

ほしの・ともひろ。前進スポーツ案内人。1976年東京生まれ。自転車・ランニング・水泳を中心に、日本&世界の“前に進む”スポーツの大会プロデュース・MCとして飛び回るスポーツナビゲーター&ライター。2015年から日本最大の自転車ショー“サイクルモード”のMC兼ディレクターを務め、東京都三宅島の観光まちづくりアドバイザーにも就任した経験も持つ。

■連載/星野知大のBike&Run快体進書