【試乗】発売延期のトヨタ・プリウスPHVは「本当に使える」プラグインハイブリッド!

写真拡大 (全36枚)

100km/hオーバーでも余裕のEV走行

業界内で「現行プリウスの大本命」といわれているプリウスPHV。発売は今冬だが、ひと足早くプロトタイプの試乗会が開催されたので、リポートしよう。

会場は千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイ。決してサーキットをガンガン攻めるクルマではないが、発売前のプロトタイプということで、サーキットでの試乗となった。

ピットレーンに並べられたプリウスPHVは、見た目からして違う。MIRAIほどではないものの先進的。それでいて、プリウスよりも重厚さを感じさせるものだ。

さらに車内に乗り込むと、11.6型ディスプレイが圧倒的な存在感を発揮。全体のデザインは変わらないが、メッキパーツはプリウスと違いサテンメッキとするなど、質感も高められている。

ステアリング右下のパワーボタンをオン。シフトノブをドライブに入れ、ゆっくりと走り出す。タイムを競うイベントではないので、ほどほどのペースで走るが、エンジンはまったく掛からず、EVのまま。アクセルを全開にするとエンジンが掛かりやすくなるとのことだったので8〜9割ほどの踏み込みに抑えて加速していく。

今回のプリウスPHVは、従来の駆動用モーターに加えて、発電用のジェネレーターをモーターとしても活用する「デュアルモーターシステム」を採用している。通常は駆動用モーターのみで走り、さらにパワーが欲しいときにはジェネレーターの駆動力も加わり、ワンランク上の加速感が得られるわけだ。

トルクフルな走りでグイグイと加速していった結果、なんと120km/hまでEVだけで走ることができた。コースの関係でそれ以上は試すことができなかったが、トヨタのテストコースでは135km/hまでEVのみで走れたとのこと。駆動バッテリーに余裕があれば、日常的な買い物などほとんどのシーンで、EVのみで走れそうだ。

ノーマルのプリウスよりもワンランク上の快適性

質感の高い乗り味にも注目だ。軽快なフットワークが魅力のプリウスに対し、プリウスPHVはより重厚なイメージ。トヨタの新プラットフォーム「TNGA」はそもそも低重心なプラットフォームだが、大容量のリチウムイオンバッテリーの荷室床下搭載などにより、さらに低重心化を促進。正確でバランスよいハンドリングは、より大人向けの味付けといえそうだ。制振材や吸音材などもプリウス以上に使われており、車内の快適性もワンランク上といった印象だった。

プリウスPHVでもうひとつ注目なのが、世界初のソーラー充電システムだ。従来のプリウスのソーラーパネルといえば、駐車中の車内換気にのみ使われるものだったが、今回はルーフ上のソーラーパネルによって発電した電力をソーラーバッテリーと呼ばれる一時保管用電池に充電。それを定期的に駆動用バッテリーに送り込むことで、駆動用バッテリーへの充電を可能にしている。

ソーラー充電システムによるEV走行距離は、晴天の日の屋外など最適な状況で最大6.1km/日。平均では2.9km/日分とのこと。つまり月〜金まで2.9km×5日貯めたとして14.5km分。サンデードライバーの人が近所に買い物に行く程度なら、太陽光発電だけでまかなえてしまうのだ。

マンション住まいなど自宅駐車場に充電設備が持てない人でも、わずかながら駐車中に充電できるのは嬉しいのではないだろうか。ちなみに従来の普通充電(AC200V/AC100V)に加えて、今回は急速充電にも対応している。

先代のプリウスPHVは、通常のハイブリッドモデルと70万円近い価格差がありながら、代わり映えしない外観、EV走行距離の短さなどが災いし、「失敗」といってもいいほどの不人気モデルになってしまった。

その反省点を生かして開発された新しいプリウスPHV。今回は「価格アップ分も納得してもらえる性能の違いがある」と関係者が語るなど、性能が高められたことで価格アップが懸念される。

しかし一方で、さらなる普及を目指したいとのトヨタ側の思惑もあり、大幅な価格上昇はないのではないか? とも考えられる。今回プロトタイプに試乗し、今冬の発売が、俄然、楽しみになってきた。
(文:CARトップ編集部 三澤正充/写真:増田貴広)