4月にフェニックスで開催されるスペースアクセスは、年間数多ある宇宙のイベントの中でもNewSpace度がかなり高い。技術色が強く私がいるのは場違いであることを自覚しつつも、ここは私にとってNewSpaceのふるさとのようなところと感じている。今年で23回目、当初から同じ人が1人で仕切っている。


スペースアクセスの名のとおり、ドラスティックなコスト削減を目指した宇宙ベンチャーによる宇宙輸送機開発が中心ではあるが、推進系、宇宙機、環境利用、深宇宙、投資や政策など、あらゆる革新的商業宇宙の要素満載の上、NASAやDARPAなどの政府系やOldSpaceも入り混じったコミュニティを形成、最先端の発表の場になっている。


 


DARPAのXS-1


スペースアクセス2016の初日、この日にDARPA(米国防高等研究計画局)から正式にXS-1のフェーズ2と3の提案募集の発表があったタイミングで、XS-1プロジェクトマネージャージェス・スポナブルからXS-1の現状と今後についての講演があった。スポンナブルは昨年9月に室蘭で開催された「第3回航空宇宙輸送システムに革新をもたらすための飛行実験シンポジウム」でもDARPA Hypersonic and Access to SpaceのタイトルでXS-1についてのインターネット登壇している。


DARPAのXS-1は航空機のように運用されるオンデマンドで衛星を打上げる第一段再利用・上段は使い捨て型無人機の開発を目指した実験機プログラム。5Mドル以下のコストで約1.5〜2トンをLEOに投入、10日に10回の高頻度で打上げることが可能なマッハ10の機体を開発する。2014年7月、フェーズ1にボーイングとブルーオリジン、マステンとエクスコア、ノースロップとヴァージンギャラクティックの3チームが選定された。


フェーズ2と3では1社が選定され、いよいよ開発段階となるが、獲得できる開発費は140Mドルと十分ではない。企業側も資金を投入するマッチング方式によるPPPで開発、機体の開発と一連の飛行試験を2020年までに実施する。DARPAは4月末にフェーズ2と3のプロポーザーズ・デイを開催、今後5月中に提案書募集、7月に提案書締め切り、10月に発表の予定となっている。4〜5チームの提案が予想されている。



XS-1のイメージ図 ©DARPA


 


再利用型開発レース


再利用パネルでは、長年再利用型宇宙機の開発に関わってきているパネリストにより、今、まさにスペースXとブルーオリジンが繰り広げる再利用型開発レースが過熱している中、技術や経済性などについてテンションの高い議論が行われた。


スペースXは、商業有人機開発では2015年に有人ドラゴンの射点脱出やパワードランディング試験を実施、ファルコン9の第1段ブースターの回収は2015年クリスマス前に陸着回収成功、2016年4月、ちょうどスペースアクセス2016の期間中には洋上のドローン船での回収に成功した。第1段ブースターが再利用されれば30%の打ち上げコスト削減、現在の61.2Mドルから42.8 Mドルになる見通しであり、世界衛星オペレーターのSESは再利用第1段ブースターを使った部分再利用型ファルコン9の顧客になると名乗り出ている。


一方、ブルーオリジンは2015年11月にサブオービタル機ニューシェパードのテスト飛行で100km越えを達成、ロケットの垂直陸着回収とカプセルのパラシュート回収に成功、以降同じ機体で100km超えのテスト飛行と回収を繰り返し、強烈なエポックメーキングが続いている。。ボーイングの有人機スターライナー、シエラネバダの有翼機ドリームチェイサー、ULAのバルカンロケット、サブオービタルではヴァージンギャラクティックのスペースシップ2やエクスコアのリンクスなど、再利用型宇宙機の開発競争は真只中。技術開発もさることながら、再利用型がもたらす破壊的なコスト力はどれほどのものになるのか注目されている。



スペースXファルコン9第一段(左)とブルーオリジンのサブオービタル機(右)©Business Insider(スペースXとブルーオリジンの映像をもとに作成)


 


冬眠から目覚めたアルマジロ


まるでサークル活動のようなアルマジロの白いTシャツを着た集団が、今でもまっさきに浮かぶスペースアクセスの風景であり、懐かしい。アルマジロはイグゾスになり次のステップに進んだ。


イグゾス・エアロスペースシステムズ&テクノロジズはサブオービタル機SARGE(Suborbital Active Rocket with Guidance) の打ち上げでスペースポートアメリカと5年間の契約、2016年末にNASAのペイロードなど一連のデモ打ち上げを行う。2017年には6打ち上げの契約がある。50〜100kgの主にバイオや医療分野のペイロードを、ペイロード受け取りから翌日打ち上げ、毎週1回打ち上げを目指している。


イグゾスは2014年にアルマジロ・エアロスペースのエンジニアチームが、新たに石油やIT資産家からの投資を得て蘇った宇宙ベンチャー。ゲームソフトで資産を築いたジョン・カーマックが2000年に創業したアルマジロは、2012年7月にFAAから最初の商業運行認可を取得、その年の10月にスペースポートアメリカでドイツとアメリカのペイロードを載せた垂直打ち上げ型STIG-Bでサブオービタル商業運行一番乗りを果たした。ところが、2013年1月の打ち上げ失敗で資金が尽き、その後、冬眠宣言をして活動を中止していた。



STIG-AIIIでインフレータブル打ち上げ ©Armadillo Aerospace


 


マルガリータポンプ


プログラムは夜10時半まで、その後のネットワーキングを盛り上げるのはフローメトリックのロケットポンプで作るマルガリータ…。ふぅ〜。