バックアップメンバー入りを示唆された中村は、「それは嬉しいですよ。現役である以上、そこ(日本代表)にはこだわりがあります」と語った。(C)SOCCER DIGEST

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 8月25日、ロシアワールドカップ・アジア最終予選を戦う日本代表メンバーが発表された。
川崎からは大島僚太と小林悠が選出されたが、最大のサプライズといえば、ハリルホジッチ監督からバックアップメンバーとして示唆された「35歳の選手」かもしれない。
 
 メンバー発表があったこの日、庄子春男GMからの着信を見た35歳の中村憲剛は、「俺…何かやったかな?」と、とまどったという。それもそうだろう。日頃、クラブの強化部長から自分の元に連絡が来ることなど、特別なことがない限り、まずないからである。
 
「普段、(庄子GMから)かかわってくることがないですからね。『バックアップメンバーらしいぞ』と言われて、『はっ?』って言いました(笑)」
 
 中村が思わず聞き返してしまったのも無理はない。現在の年齢は35歳。これまでハリルホジッチ体制下では、長く代表の中盤に君臨し続けていた遠藤保仁や、チームメートでもあるJリーグ3年連続得点王・大久保嘉人といった同世代のベテラン勢は選出されてこなかったという背景がある。自身のパフォーマンス抜きに、年齢という区切りで代表への門が閉じられつつあったことは、本人も感じ取っていたからだ。
 
 それだけに、バックアップメンバーとはいえ、表情を崩して素直に喜びを口にした。
「それは嬉しいですよ。現役である以上、そこ(日本代表)にはこだわりがあります。ただ年齢のことをよく口にする監督なので、難しいのかなと思っていました。35歳ですからね。若いとは思わないけど、ちゃんとやっていれば、そういう風に評価してくれる監督だとあらためて確認できた。それが見えているところでやるか、見えないところでやれるかでは、自分の中でも全然違います。見てくれていることは光栄だし、モチベーションも上がります」
 
 中村が日本代表選手としてプレーしたのは、2013年6月のコンフェデレーションズカップが最後になる。2014年のブラジルワールドカップでは本大会の23名から落選し、予備登録メンバーに回った。約3年ほど代表から遠ざかっていることになるが、気持ちが離れたことはない。
「代表の試合は今も見ているし、常に追っています。ユウ(小林悠)やリョウタ(大島僚太)からも話は聞いていたし、いつでも準備はしていました」
 
 自身のパフォーマンスも復調している。7月には右足首の怪我で離脱したが、全治3〜4週間の予定をわずか2週間で戦列復帰。ボランチでのポジションでは正確な技術と戦術眼でゲームコントロールとチャンスメイクを担い、トップ下のポジションで出場すれば、ゴールに直結する仕事をして結果を出し続けた。

 前節の浦和との天王山では、ハリルホジッチ監督が視察する中、見事なシュートで日本代表GK西川周作が守るゴールマウスをこじ開けている。今季のJ1リーグで年間首位を走る川崎を牽引し続けている大黒柱であるという自負もあるだろう。もし代表に入っても、そこで気後れすることはない。
 
「ユウとリョウタが入っている時点でフロンターレのサッカーを評価してもらっているのだと思っています。そういう意味での自信はある。自信がなければ、あの(日本代表)集団には入っていけない。それに自分みたいなタイプは、(代表には)あまりいない。それをいつ、どう使うかは監督の自由。選手は、いつどんなときでもベストを尽くさないといけないと思ってます」
 
 そしてなにより大きいのが、その経験だろう。実際、中村は代表選出が見込まれていた小林悠に自身の2度の最終予選の経験談を話していたという。
 
「最終予選はちょっと別物で、3次予選とも違って独特な空気がある。初戦が大事だし、そういう空気感を伝えておきたいと思いました。伝えるだけでも全然違うので。今の(代表の)主軸は予選を経験しているけど、その選手だけで戦うだけじゃないですから。ベンチを含めた23人で良い雰囲気で戦って欲しいと思っていたので」