ソフトバンクによるARMの買収が明らかになり、ソフトバンクグループの株価は急落しました。多くの投資家が、この買収を割高と受け止めたからです。しかし、孫社長の頭の中には、来るべき将来の姿が見えているようです。そのキーワードは、「シンギュラリティー」。

今月の知りたがりテーマ●コンピューターが人間を超える日

ソフトバンクが英国のARM社を買収したことに驚いた人は多いはず。買収金額の約3兆3000億円は、日本の企業の買収案件としても過去最大です。一見、割高に思えるこの買収は、孫正義社長が言うように本当に割安な買い物なのでしょうか?

通常、M&A(企業の合併・買収)の交渉は、営業利益に減価償却費を足した「EBITDA」の5倍から始めるようです。しかし、今回の買収金額はARMのEBITDAの約 70 倍。割高に見えて当然です。

ARMは、コンピュータの頭脳になるCPUの設計図を提供し、ライセンス料を稼ぐ企業です。同時に、その設計図を提供された企業がCPUを作った分だけ、ロイヤルティー料がARMに入る仕組みになっています。すでにスマホのCPUシェアは、ARMが8割を占めています。

今後、IoT(モノのインターネット)化が進めば、ARMのCPUの需要はさらに増すとみられています。そして孫社長は、ある現象が起こることで、IoT化は爆発的に伸びると考えています。

その現象とは、シンギュラリティーと呼ばれるもの。日本語では技術的特異点。コンピューターが発達して、その知能が人類の知能を凌駕する時点のことを指しています。技術開発と進化の主役が人間からコンピューターに移るのです。それは、2045年に到来するといわれています。

なんだかSF小説のような話ですよね。でも大真面目に何が起こるかが研究されてい ます。現に、昨年には総務省で研究会が発足されました。

その研究会資料を見ると、2020年には自動運転が本格的に稼働し、2025年に翻訳サービスの代替、2030年にはホワイトカラーの秘書業務などが代替されてくる未来が描かれています。投資資金の源泉である爐給料の未来〞も、これから考える必要が出てきそうですね。

Masumi Sai 崔 真淑
Good News and Companies代表
神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。現在は、日経CNBC経済解説部のコメンテーターとしても活躍している。