これから行ける注目の花火大会は?(写真:アフロ)

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 散歩ばかりしているという作家で劇団「鉄割アルバトロスケット」主宰の作家・戌井昭人氏の週刊ポスト連載「なにか落ちてる」より、「オススメの花火大会」についてお届けする。

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 各地で花火大会が行なわれています。「もう行ったよ」という人、「これから行こうと思っている」という人。わたしは、この前の江戸川の花火大会に行ってきました。蒸し暑くて、クラクラしましたが、間近で見る花火は良いものです。江戸川の花火大会は、今回が初めてでしたが、隅田川の花火大会は結構行っていまして、学生のころ、花火大会の日に、かき氷を売るアルバイトをしていたこともあります。

 そのとき、一緒にアルバイトしていた友達が、氷削りの刃で手を切り、削った氷に血がかかりました。友達は、痛かったのと動揺したのもあって、「大変だ! イチゴのかき氷になっちゃったよ」と騒ぎはじめました。そんなことよりも、「早く怪我を手当てしなくちゃ」と、応急処置をしました。以来、わたしは、イチゴのかき氷を見ると、ちょっと怖いのです。

 浅草に住んでいたころは、うろうろしていれば、ビルの谷間から、花火を見ることができました。そして町に漂ってくる火薬の匂いを嗅ぎながら、「いいもんだ」などと思ったりしていたものです。一度、隅田川沿いのマンションに住んでいる方の部屋へ招待していただいたことがあり、そこで見た花火は最高でした。しかし30分くらいすると、豪雨になって、稲光が走り、中止になってしまいました。帰り途、町を歩く人々は、濡れ鼠状態、壮絶な光景でした。

 あと伊東の花火大会も、海の家でアルバイトをしていたときに見たことがあります。砂浜に寝転んで、海から上がる花火は、とても良いものです。それと以前住んでいた屋上の小屋からは、多摩川の花火大会を見ることができました。

 このようにズラズラと花火大会の思い出を書いていたら、単に自分が、花火好きのオメデタい野郎に思えてきましたが、実際にそうなのかもしれません。

 では、そんな花火好きのオメデタい野郎が一番オススメする花火大会をご紹介します。それは「北区花火大会」です。荒川河川敷、赤羽付近で行なわれます。まず時期が秋で、今年は10月8日、いまからでも余裕で間に合います。あまり混んでいないので、これまた最高です。

 さらに大会自体が、なんだかのんびりしていて、去年は打ち上げる場所の近くに屋形船が停泊、それがなかなかどかずに、30分以上遅れてスタート。今年は、停泊させない手段を考えて欲しいのですが。さらに音楽と合わせて打ち上げる花火もなんだかちぐはぐだったりして、とても楽しかった。人混みや、きっちりプログラムされた花火大会はもう結構という方には、とてもオススメの「北区花火大会」なのです。とにかく今年も楽しみです。

■いぬい・あきと/1971年東京都生まれ。作家。「鉄割アルバトロスケット」主宰。2008年小説家デビュー。『ひっ』『ぴんぞろ』『まずいスープ』『どろにやいと』が芥川賞候補に。『すっぽん心中』で川端賞受賞。著作『俳優・亀岡拓次』が映画化。8月24日にDVDが発売。散歩ばかりしている。

※週刊ポスト2016年9月2日号