連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第21週「常子、子供たちの面倒をみる」第124話 8月25日(木)放送より。 
脚本:西田征史 演出:安藤大祐


あららららら あららららら・・・
想像はしていたが、123回のへんな音楽も美子(杉咲花)の表情を映さないのもいたずらに思わせぶりな演出でしかなかった。
美子は交際している大昭(上杉柊平)から結婚をほのめかされていることを常子(高畑充希)に告げる。
嬉しい話のはずが、なぜか美子は心配そう。長女の常子が先に結婚してほしいと気にしているのだ。また、常子が本音を決して出さないことも引っかかっている。
でも常子はいまの状況が幸せと言う。
「よい方がいれば恋はしてみたいなあっていう気持ちもある」と常子。

常子「弱音はくのが苦手なのね」
美子「弱音はいちゃってよ」
常子「わかった、やってみます」

これじゃあますます弱音はけないよ。常子も大変だ。
だが、それでナットクしていいのか。いや、いかんだろ。女だけで30年近く、喜びも悲しみも、あの戦争まで共にして生活してきた家族って、こんなだろうか。もっとお互いのことを言葉にしなくてもわかりあいいたわりあい、それでいてどこか気詰まりな部分もありと、もっともっとデリケートなものじゃないだろうか。

デリカシーの足りなさは、「あなたの暮し」でトースターを批判された中小企業の描写にも表れる。
批判を書かれたメーカーの一社・ちとせ製作所の社長(螢雪次朗)が怒鳴り込んでくるが、花山(唐沢寿明)は頑として譲らない。大手と並べられては・・・と弱さを言い訳にする相手に「(商品に)責任をもて」と正論を吐く。
それもそうだが、会社に改めて話に行った常子が、取引先から断られて困っている社長の姿を見て何も言えずに帰ってしまうという場面をつくることで、なんだか弱い者虐めをしているように見えてしまう。

そこで、今日の ほとほと姉ちゃん その1


常子が目の当たりにしてしまった、自分たちの正義感によって傷つく人もいるってことを描きたいのかもしれないが、そういう複雑なことを丁寧に描くことが得手ではないのはもうわかりきっているので、粗悪品にもかかわらず、大手のブランドイメージだけで売り上げを誇っているような会社の真実を暴くことだけを主眼にしても良かったのではないか。そのほうが視聴者の溜飲は下がるだろう。
それとも、125回以降、ちとせ製作所が「下町ロケット」みたいに困難から再生するところを描くのだろうか。それならそれで楽しみだが。そこに時間かけてる余裕はないよねえ・・・。

 今日の ほとほと姉ちゃん その2


星野家に通う家政婦さん。遅くまでいられなくて常子に交替するが、個人経営の家政婦さんなのか? 斡旋会社から派遣されているわけじゃないのだろうか? 遅くまでいられる家政婦さんを星野の繁忙期だけ来てもらうってことはしないのだろうか。

世間には、ドラマをそんなに細かく観ずに雰囲気だけ楽しんでいる人もいれば、ドラマをちゃんと整合性のある作品として楽しみたい人もいる。想像力が豊かで省略された部分を自己補填できる人もいるし、わかっていてもなおちゃんと描いてほしいと望む人もいる。そのどれも満足させるドラマをつくることが理想とするならば、今回はモチーフの人や雑誌は実際のとこどうなのか? と興味をもたせた結果、その凄さを際立たせるために、あえて穴をつくって悪役を引き受けているとしか思えない。
(木俣冬)
本日26日金曜日よる7時30分〜NHKBS プレミアム「美の壷」にて「日々を美しく暮らす 花森安治」が放送される。